Googleクロールバジェットの新ルール、AI用クローラーと「取り合い」に──サイトが見に来てもらえる回数の話
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あなたのサイト、Googleは全ページを見に来ているとは限りません
Webサイトを持っている方に、少し意外に聞こえるかもしれない話をします。
Googleは、あなたのサイトのすべてのページを毎日見に来ているわけではありません。「見に行く回数」には上限があり、その範囲内でやりくりしています。
ページ数が10ページくらいの小さなサイトなら、あまり気にする必要はありません。ですが、商品が1,000点あるECサイトや、記事が500本あるメディアサイトになると話は変わります。全部を見てもらえず、一部のページがいつまでも検索結果に出てこない、ということが起こり得るのです。
この「見に行く回数の上限」について、Googleが2026年7月に公式の説明を書き直しました。そして、これまで書かれていなかった重要なことが明記されました。AI用のクローラーも、通常のクローラーと同じ枠を使っているということです。
順を追って、できるだけ専門用語を使わずに説明していきます。
そもそも「見に来る」とは、どういうことなのか
Googleは、世界中のWebサイトを自動で巡回するプログラムを走らせています。このプログラムがページを訪れて内容を読み取り、その情報をもとに検索結果を組み立てています。
イメージとしては、図書館の司書が本を1冊ずつ手に取って中身を確認し、目録に書き込んでいく作業に近いです。目録に載っていない本は、利用者が探しても出てきません。同じように、Googleに読み取られていないページは、検索結果に出てきません。
ただ、司書の手は無限ではありません。1日に確認できる冊数には限りがあります。Googleも同じで、1つのサイトに対して「今日はこのくらいまで」という上限を設けています。
この上限は、サイトのサーバーに負担をかけすぎないための配慮でもあります。無制限にアクセスされたら、サイトが重くなってお客様に迷惑がかかりますからね。
今回明記された、いちばん大事な変更点
今回の改訂で明確になったのは、この上限を、Googleのすべてのプログラムが分け合っているという点です。
Googleが動かしているプログラムは、検索のためのものだけではありません。AIの学習や、AIが答えを作るために情報を集めるプログラムもあります。これらが、同じ枠を共有しているというのです。
何が起きるかというと、こういうことです。AI関連のプログラムがあなたのサイトをたくさん読みに来ると、そのぶん、検索のためのプログラムが読める量が減ります。枠は決まっているので、どちらかが多く使えば、もう一方は少なくなる。
いま、AIによる情報収集は急速に増えています。つまり、これまでと同じ状態のサイトでも、検索用に使われる枠が知らないうちに圧迫されている可能性がある、ということです。
「うちは老舗だから優遇されている」は通用しません
もうひとつ、今回はっきりしたことがあります。
枠の大きさは、ドメインの年齢や被リンクの数で決まるものではありません。すべてのサイトが同じ控えめな水準からスタートし、そこから実績で枠を広げていく仕組みです。
では何で決まるのか。主に3つです。
サーバーの反応の速さ。アクセスしたときに、どれだけ早く返事が返ってくるか。反応が安定して速ければ、Googleは「このサイトはもっとアクセスしても大丈夫そうだ」と判断して、同時に読む量を増やします。
エラーが出ていないか。サーバーがエラーを返したり、「アクセスが多すぎます」という応答を返したりすると、Googleは即座に遠慮します。枠が縮みます。
実際に人が見に来ているか。人気があって更新頻度の高いページは、Googleも頻繁に確認しに来ます。逆に、誰も見ず更新もされないページは後回しになります。
10年運営してきたサイトでも、表示が遅ければ枠は小さい。開設したばかりのサイトでも、軽くて速ければ枠は広がる。そういう仕組みだと明記されたわけです。
Before→After:意識すべきポイントが変わります
これまでの考え方(Before)
「たくさんページを作れば、そのぶん検索に出るチャンスが増える」。ページ数を増やすことが正義とされてきた面があります。カテゴリの組み合わせで自動生成されるページを大量に作る、という手法も一般的でした。
これからの考え方(After)
「限られた訪問回数を、大事なページに使ってもらう」。中身の薄いページが大量にあると、Googleの限られた訪問回数がそこに消費されてしまいます。本当に見てほしい商品ページや記事に、枠が回らなくなる。だから、不要なページを減らすことに価値が出てきます。
増やすことから、選ぶことへ。ここでも同じ方向の転換が起きています。
EC・Web運営の現場で、具体的に何をすればよいか
専門知識がなくてもできることから並べます。
まず、表示速度を測ってみる
「PageSpeed Insights」というGoogleの無料ツールにサイトのURLを入れるだけで、速度が数値で出ます。まずは自分のサイトが今どういう状態かを知ることから始めましょう。特にスマホでの表示速度が重要です。
画像を軽くする
サイトが重い原因の多くは画像です。スマートフォンで撮った写真をそのままアップロードしていませんか。それだけで1枚が数メガバイトになります。商品写真が10枚並ぶページなら、それだけで相当な重さです。画像を圧縮するだけで、体感できるほど速くなることがあります。
使っていない機能を止める
WordPressなどで、使っていないプラグインが入ったままになっていませんか。動いているだけで処理が増え、表示が遅くなります。棚卸しをして、使っていないものは削除しましょう。
売り切れ・終了ページを整理する
ECサイトでよくあるのが、販売終了した商品ページが延々と残っているケースです。数千ページ規模になっていることも珍しくありません。これらが訪問回数を食っている可能性があります。完全に削除するか、関連商品へ案内するページにまとめるか、方針を決めて整理しましょう。
絞り込み機能が生むページに注意する
「色で絞り込む」「価格帯で絞り込む」といった機能があるサイトでは、その組み合わせごとに別々のURLが生まれていることがあります。組み合わせは掛け算で増えるので、あっという間に数万ページになります。ここは専門知識が要る部分なので、心当たりがあれば制作会社に相談してみてください。
サーバーの契約を見直す
格安の共用サーバーを使っていて、アクセスが増えるたびに重くなる。そういう状態なら、サーバーの見直しが最も効く改善策になることがあります。月に数千円の差で、状況が大きく変わるケースもあります。
数字にすると、どのくらいの影響がありそうか
ここも慎重にお伝えします。「速くすれば売上が◯%上がる」という数字は、状況によって違いすぎるので書きません。
ただ、流れとしてはこう考えられます。表示が速くなれば、Googleが読みに来る回数が増えるかもしれません。読まれる回数が増えれば、新しく追加した商品ページが検索結果に出るまでの時間が短くなる可能性があります。反映が早くなれば、季節商品やキャンペーン商品を出すタイミングを逃しにくくなるかもしれません。
そしてもうひとつ。表示が速いことは、お客様にとっても快適です。読み込みを待たされてページを閉じてしまう人が減れば、それ自体が売上につながります。Googleのためだけの改善ではない、というのが救いのあるところです。
AI検索の観点では、さらに重い意味を持ちます
私たちがAI検索対策を重視する立場から見ると、今回の改訂はもう一段深い意味を持っています。
AIが答えを作るとき、参照するのはWebサイトの中身です。読み込まれていないページは、AIの答えにも登場しません。当然といえば当然ですが、ここが見落とされがちです。
従来のSEOでは、読み込まれていなくても「検索結果に出てこない」というわかりやすい形で気づけました。ですがAI検索では、そもそも候補にすら入っていないことに気づきにくい。「なぜかうちだけAIに紹介されない」という状態が、実は単純に読み込まれていなかった、というケースは十分あり得ます。
加えて、AI向けの特別なファイルを用意すればAIに引用されやすくなる、という話が一部で出回っていますが、Googleはそうした手法に否定的な姿勢を示しています。近道はない、ということです。
やるべきことは地味です。サイトを軽く保つ。エラーを出さない。不要なページを整理する。そして、本文の中に大事な情報をきちんと書く。特別な仕掛けより、この基本のほうが確実に効きます。
立場別の受け止め方
個人でブログを書いている方へ
記事数が100本以下なら、この話はあまり気にしなくて大丈夫です。ただ、画像を軽くすることだけはやっておいてください。読者にとっても快適になりますし、手間のわりに効果が大きい改善です。
Webサイトを運営されている方へ
まずは自社サイトのページ数を把握することから。「何ページあるか答えられない」という状態なら、そこが出発点です。把握したうえで、そのうち何ページが実際に見られているかを確認すると、整理すべき対象が見えてきます。
ECサイトを運営されている方へ
商品数が多いサイトほど、この話は切実です。特に、販売終了商品の扱いと、絞り込み機能が生むURLの2点は、一度専門家に見てもらう価値があります。新商品を登録したのに検索結果に出るまで何週間もかかる、という自覚があるなら、それはまさにこの問題が起きているサインかもしれません。
編集部の考察:土台の話が、また前に出てきました
SEOの世界では、話題が周期的に移り変わります。ここ数年はコンテンツの質やAI対応が中心でした。「良い記事を書けば評価される」という考え方が広く共有され、それ自体は正しいものでした。
ですが今回の改訂は、その手前に土台があることを思い出させます。どんなに良い記事を書いても、読みに来てもらえなければ存在しないのと同じです。
そして今、その土台をめぐる状況が厳しくなっています。AI関連の情報収集が急増し、限られた枠を分け合う相手が増えたからです。これまでと同じ運用をしていても、実質的に不利になっていく可能性がある。
筆者が興味深いと感じるのは、対策が「増やす」ではなく「減らす」方向である点です。ページを減らす。画像を軽くする。使わない機能を止める。SEOといえば足し算だった時代から、引き算が効く時代に変わってきました。
これは、リソースが限られている小規模事業者にとっては、悪い話ではないはずです。大量にページを作れる資本力より、無駄をそぎ落とす判断力のほうが効くようになったのですから。
まず、自分のサイトの重さを測ってください
今日お伝えしたことは、どれも派手ではありません。表示速度を上げる、不要なページを消す、画像を軽くする。地味な作業ばかりです。
ですが、この地味な部分こそが、検索でもAIでも「見つけてもらえるかどうか」を分けています。どれだけ良い商品を扱っていても、どれだけ丁寧な記事を書いても、読みに来てもらえなければ始まりません。
難しく考えなくて大丈夫です。まずは無料のツールに自分のサイトのURLを入れて、速度を測ってみてください。数字が出た瞬間に、やるべきことが見えてきます。
土台が整っていないサイトに、いくら良いコンテンツを積んでも崩れます。逆に、土台さえ整えておけば、これから書く記事の一本一本が確実に効いてきます。順番を間違えないでください。



