Googleコアアップデートが「告知なしで常時稼働」へ、順位変動の理由を誰も説明できない時代が始まりました
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検索で出てくる順番、誰が決めているかご存じですか
何かを調べようとGoogleで検索したとき、上から順番にサイトが並びますよね。あの順番、誰かが手作業で決めているわけではありません。Googleのプログラムが、膨大な条件から自動で判断しています。
そしてその判断基準は、ときどき大きく見直されます。これが「コアアップデート」と呼ばれるものです。これまでGoogleは、この見直しをするたびに「今日から始めます」「完了しました」と告知してきました。だから世の中のサイト運営者は、順位が動いたときに「ああ、あのアップデートの影響か」と説明することができたのです。
その前提が、2026年7月に崩れました。Googleが「コアアップデートは告知なしで常に動いている」と公式に認めたのです。
一見すると業界内の細かい話に思えるかもしれません。ですがこれは、Webサイトを持っているすべての人にとって、運用の考え方を変える必要がある種類の変化です。順を追って説明します。
これまでは、こういう世界でした
従来の流れを振り返ってみます。
Googleが「3月のコアアップデートを開始します」と発表する。世界中のサイト運営者が身構える。数日から2週間ほどかけて順位が入れ替わる。上がったサイト、下がったサイトが出る。Googleが「完了しました」と告知する。専門家たちが「今回は◯◯なサイトが評価されたようだ」と分析記事を出す。
この一連の流れが、年に数回繰り返されてきました。名前がついていたので、話題にしやすかったわけです。「3月のアップデートで下がりました」と言えば、状況が伝わりました。
もちろん、告知されていない小さな変動も常にありました。業界ではそれを「未確認アップデート」と呼び、順位計測ツールの数値を見ながら「今週は動いていますね」と語り合ってきたのです。
そして、こう変わりました
今回Googleが認めたのは、その「未確認アップデート」の正体でした。あれは例外的な出来事ではなく、小規模なコアアップデートが日常的に、告知なしで動き続けている状態だった、ということです。
つまり、これまで「特別なイベント」だと思われていたものが、実は「常に流れている水」だった。そう明かされたわけです。
この違いは大きいです。イベントであれば、前後を比べて原因を特定できます。ですが常に流れているものについて、ある1日の変動だけを取り出して「これが原因です」と言うのは、ほぼ不可能になります。
Before→After:報告書の書き方が変わります
これまで(Before)
「7月18日にGoogleのコアアップデートがあり、その影響で主要キーワードの順位が平均3位下落しました。過去の傾向から、◯週間ほどで回復する見込みです」
もっともらしく聞こえますし、実際に多くのレポートがこの形で書かれてきました。
これから(After)
「7月18日前後に順位変動を観測しました。当社の主要キーワード群では上昇と下降が混在しており、特定の原因に絞り込むことは困難です。継続して推移を追います」
歯切れは悪くなります。ですが、こちらのほうが誠実です。原因がわからないものを、わかったふりで説明するほうが、長い目で見れば信頼を損ないます。
もし外部の業者にSEOを依頼していて、順位が動くたびに毎回きれいな原因説明が返ってくるとしたら、その説明が本当に検証されたものかどうか、一度確認してみてもよいかもしれません。
同時に、検索画面そのものが変わりつつあります
今回の週には、もうひとつ大きな動きがありました。Googleが、すべての検索でAIによる生成回答を標準の表示にしようとしている、という流れです。
従来の検索結果は「青いリンクが10本並ぶ」形でした。ユーザーはその中から選んでクリックしていました。それが、AIがまとめた答えが最初に表示され、リンクの一覧は下のほうに押しやられる形へ移りつつあります。
買い物客や調べ物をする人にとっては、便利になる面があります。わざわざサイトを開かなくても、知りたいことが最初の画面でわかるからです。
一方で、サイトを運営する側から見ると、これは深刻な変化です。「1位を取ったのにクリックされない」という状況が起こり得るからです。順位という指標だけを追いかけていると、実態を見誤ります。
法律と規制も、検索に追いついてきました
もうひとつ、この時期に起きた注目すべき動きを紹介します。
ドイツのミュンヘン地方裁判所が、GoogleのAI回答について、「これはGoogle自身の言葉である」と判断しました。従来、検索エンジンは「他人の情報を並べているだけ」という立場で、内容の責任を問われにくい存在でした。ですがAIが自分で文章を組み立てて答えている以上、その内容には責任が伴う、という判断です。
あわせて、EUはGoogleに対して約8億9,000万ユーロという規模の制裁金を課し、検索結果の見せ方そのものにも是正を求めています。
これらは日本のサイト運営者に直接効いてくる話ではありません。ですが、方向性としては重要です。「AIが答えを出す」ことに社会的な責任が問われはじめた、ということですから。今後、AIが引用する情報源の扱いにも影響が及ぶ可能性があります。
では、私たちは何をすればよいのでしょうか
ここからは実務の話です。「もう順位は追わなくていい」という極端な話ではありません。やることの重心を移す、という話です。
1つめ。日々の変動に一喜一憂しないこと。
毎日順位表を見て、上がった下がったで気持ちが揺れる。これがもっとも消耗します。常時変動している以上、日単位の動きにはほとんど意味がありません。週単位、月単位で傾向を見る運用に切り替えましょう。
2つめ。順位以外の指標を持つこと。
検索順位だけを見ていると、AI回答に押し出されている変化に気づけません。実際にサイトに来た人の数、問い合わせや購入の件数、指名検索(社名や商品名で直接検索されること)の数。この3つを並べて見るだけで、状況の解像度が上がります。
3つめ。AIに引用されているかを確かめること。
自社の商品やサービスに関する質問を、ChatGPTやGeminiに実際に打ち込んでみてください。答えの中に自社が出てくるか。競合が出てくるか。これは無料でできる調査です。月に1回、決まった質問を投げて記録するだけでも、変化が見えるようになります。
4つめ。変更履歴を残すこと。
いつ、どのページを、どう変えたか。これを記録しておくと、順位が動いたときに「Googleの都合」なのか「自分たちの変更」なのかを切り分けられます。切り分けられるだけでも、無駄な対策を打たずに済みます。
AI検索の時代に、何が評価されるのか
私たちはAI検索対策を専門にしていますが、その観点からひとつ強調しておきたいことがあります。
順位を上げるための小手先の手法は、常時変動する仕組みの中でますます効きにくくなります。一方で、AIに引用されるかどうかは、別の原理で動いています。
AIは、質問に対する答えを組み立てるとき、信頼できて、具体的で、そこにしか書かれていない情報を探します。どこにでも書いてある一般論を、わざわざ引用する理由はありません。
つまり、こういうことです。「自社にしか書けないこと」を書いているサイトが強い。実際の施工事例、自社で計測した数字、お客様から実際に受けた質問とその答え、現場でしかわからない注意点。こうした情報は、AIにとって価値のある引用元になります。
逆に、他社の記事をまとめ直しただけのコンテンツは、AIから見れば引用する意味がありません。もともとの情報源を引用すればよいからです。
コアアップデートが読めなくなったからこそ、変動に振り回されない土台をつくる。その土台とは、独自の情報を持っているかどうかに尽きます。
立場別に、優先順位を整理します
個人でブログやSNSを発信されている方へ
順位計測ツールを毎日眺めるのはやめて、その時間を1本の記事を深く書くことに使うほうが、結果的に得です。あなたが実際に体験したこと、実際に試した結果は、AIにも人にも価値があります。
Webサイトを運営されている方へ
まず、社内やクライアントへの報告フォーマットを見直してください。「◯月のアップデートの影響」という書き方をやめ、観測した事実と、自社が行った変更を分けて記録する形にする。これだけで、議論の質が変わります。
ECサイトを運営されている方へ
商品ページの順位だけでなく、「商品名で直接検索される回数」を見る習慣をつけてください。検索経由の流入が減っても、指名検索が増えていればブランドは育っています。逆に指名検索まで減っているなら、そちらのほうが重い問題です。あわせて、商品ページに自社ならではの情報――使い方の実例、サイズ選びの目安、よくある失敗――を足していくことが、AI検索での露出にもつながります。
編集部の考察:説明できないことを認める勇気
今回の変化でいちばん難しいのは、技術的な対応ではないと考えています。「わからないことを、わからないと言えるか」という点です。
SEOという仕事は、長らく「原因を説明すること」に価値を置いてきました。順位が動いた理由を語れる人が専門家とされ、語れない人は頼りないと思われてきた。その構造が、今回の公式発表で揺らぎます。
ですが筆者は、これを悪い変化だとは思いません。むしろ健全です。もともと、Googleの内部で何が起きているかを外から正確に知ることはできませんでした。それを「わかっているふり」で埋めてきた部分があった。その建前が取り払われただけです。
そして、原因の説明ができなくなったぶん、価値の重心は「何をつくったか」に移ります。どんな情報を持っているか。どんな体験をお客様に提供しているか。そこは、Googleのアルゴリズムが変わろうと、AIが答えを出そうと、揺るがない部分です。
アルゴリズムを追いかけるゲームから降りて、自分たちの持ち物を厚くする。今回の発表は、その切り替えを促す合図だと受け取っています。
変動に名前をつけるのは、もうやめましょう
順位が動いたとき、私たちはつい理由を探します。理由がわかれば安心できるからです。ですがその安心が、間違った対策を招くこともあります。
Googleは、常に少しずつ判断基準を変えています。そこに名前をつけて追いかけても、追いつけません。追いかけるべきは、Googleの都合ではなく、お客様が本当に知りたいことのほうです。
幸い、それは変動しません。「このサイズは自分に合うのか」「これは何年もつのか」「他社とどこが違うのか」。お客様が知りたいことは、10年前も今も、そしてAIが答えを書く時代になっても、大きくは変わっていません。
アルゴリズムの動きは読めなくなりました。だからこそ、読める側に集中してください。お客様の疑問に、誰よりも具体的に答える。それが、この不確かな時代における最も確かな戦略です。



