楽天市場のAI検索に新機能、最大4商品を一括比較――EC体験はどう変わるか

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楽天市場、AIコンシェルジュに商品比較機能を追加

楽天グループは、「楽天市場」アプリおよびウェブサイトに搭載する生成AI検索サービス「AIコンシェルジュ」に新機能を追加したと発表した。利用者は最大4つまでの商品を同時に選び、価格や発送状況、レビュー傾向といった詳細情報を表形式で比較できるようになる。また、出店者が登録した商品ページの説明文や仕様情報をもとに、AIがサイズ感や素材の特徴、利用時の注意点などを自動で要約して表示する機能も導入された。

これまでネットショッピングでの「比較検討」は、利用者が複数の商品ページを行き来しながら自分で情報を整理する必要があった。今回の機能追加によって、その手間の多くをAIが肩代わりする形になる。楽天はすでにAI機能の導入によって、購入までの時間が約41%短縮され、平均注文金額も約17%上昇したというデータを公表しており、AIコンシェルジュが単なる検索補助にとどまらず、実際の購買行動を後押しする役割を果たし始めていることがうかがえる。

楽天がこうしたAI機能に力を入れる背景には、モール型ECにおける「顧客接点」の変化がある。楽天は7月に開いた説明会で、GoogleやOpenAIといった汎用AIも新たな顧客接点として積極的に活用していく方針を示しており、自社開発のAIコンシェルジュと外部の汎用AIサービスの両輪で、利用者との接点を広げようとしている姿勢がうかがえる。ECモールが「検索して選ぶ場」から「AIに相談して選ぶ場」へと少しずつ変わりつつある、その象徴的な一歩と言えるだろう。

出店者が今から備えるべきことと、業界全体への波及

この変化がEC事業者・出店者に与える影響は小さくない。AIが商品説明文をもとに特徴を要約する以上、説明文の質や情報量がそのままAIの要約精度、ひいては商品の魅力が正しく伝わるかどうかを左右する。サイズ表記が曖昧だったり、素材や使用シーンの説明が不十分だったりすると、AIによる要約でも情報不足が引き継がれ、比較の土俵に上がりにくくなる可能性がある。今後は「人が読む説明文」と同時に「AIが正確に要約できる説明文」を意識した商品ページ作りが、実務上の課題になってくるだろう。

業界内では、楽天のAI機能導入による成果指標(購入時間の短縮、注文額の上昇)が示されたことで、他の大手ECモールも同様のAI接客・比較機能の実装を急ぐとの見方が強まっている。国内のAgentic Commerce市場は2026年度から今後数年で大きく拡大すると予測されており、AIが商品選定から購入までを一部代行する「エージェント型のショッピング体験」は、モールの競争軸そのものを変えつつある。実際、ECプラットフォーム市場全体の規模も前年度比5.8%増と拡大しており、リプレースやBtoB向け案件の増加とあわせて、AI機能の有無がモール選定の判断材料になりつつある。

消費者にとっての変化は非常に実感しやすい。家電や日用品など、スペックを見比べながら選びたい商品カテゴリーで、複数のページを開いては閉じてを繰り返す作業から解放される。レビュー傾向や発送状況までまとめて確認できるため、「なんとなく良さそうなものを選ぶ」買い物から、「根拠を持って選ぶ」買い物へと購買体験の質そのものが変わっていく可能性がある。一方で、AIが提示する比較情報が本当に的確かどうかを見極める目も、利用者側にはこれまで以上に求められるようになりそうだ。

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