楽天AIコンシェルジュで注文額17%増、AIに選ばれる商品ページの条件が見えてきました

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【この記事は、こんな方に向けた内容です】
前半は、ネットで買い物をするすべての方に関わる話です。検索窓にキーワードを入れる買い物から、AIに相談する買い物へ。その変化がどこまで進んでいるかを、実際の数字とともにお伝えします。
後半は、Webサイトやネットショップを運営されている方に向けた内容です。AIに選ばれる情報の書き方について、楽天が出店店舗に求めている具体的な2点を手がかりに整理します。

「AIに相談する買い物」の成果が、数字で出ました

楽天グループが、楽天市場に搭載している「AIコンシェルジュ」の成果を公表しました。会話をしながら買い物を手伝ってくれる機能で、これを経由した買い物では、購入を決めるまでの時間が約41%短縮され、平均の注文金額が約17%増加したとのことです。

これは2026年5月1日から25日までの期間について、通常の検索を使った場合と比較した結果とされています。短い期間の比較ではありますが、実際のサービス上で得られた数字であることに意味があります。

ここ数年、「これからはAIに相談して買い物をする時代になる」という話は繰り返し語られてきました。ただ、その多くは予測や見通しの話でした。今回は、大手モールが実際に運用した結果として数字を出してきたという点で、意味合いが違います。

実際にどんなやりとりができるのでしょうか

記事の中で紹介されている使い方が、とても分かりやすいので引用します。

たとえば「夜の寝苦しさを解消するアイテムを1万円以内で教えてほしい」と伝えると、冷感敷きパッド、サーキュレーター、除湿シートという3つの方向性が提案されます。そこからさらに条件を伝えると、具体的な商品まで絞り込まれていきます。

もっと曖昧に「おいしいお菓子を知りたい」と投げかけた場合は、いきなり商品を出すのではなく、「どのタイプのお菓子がお好みですか」と聞き返してきます。チョコレートなど、いくつかの方向性が示されるわけです。

楽天の担当者は、従来の検索との違いをこう説明しています。オフィスで使える夏向けのバッグが欲しいとき、これまでの検索では素材やサイズといった条件を自分で指定する必要がありました。一方AIは「オフィス用途ならパソコンが入るA4サイズで、ナイロンよりレザーのようにきちんと見える素材がよい」と自分で判断して提案してくる、と。

これは、お店で店員さんとやりとりする感覚にとても近いものです。実際、楽天側も「まさにそれがやりたいこと」だと述べています。

Before→After:買い物の仕方が、こう変わります

この変化を、自分の行動として想像してみましょう。

これまで(Before)は、まず「何を買うか」を自分で決める必要がありました。夜が寝苦しいという悩みがあっても、それを「冷感敷きパッド」という商品名に翻訳するのは自分の役目です。そのうえで検索し、たくさん出てきた結果を上から見比べ、レビューを読み、決めていました。

これから(After)は、悩みをそのまま伝えれば済むようになります。商品名を知らなくても、AIが「その悩みならこの3つの方向があります」と整理してくれる。自分の中で言葉になっていない要望でも、聞き返されながら形にしていける。この違いは、想像以上に大きいと思います。

実際、楽天によれば、この機能はギフトのように「買いたいものがはっきりしていない場面」でよく使われているそうです。逆に、商品名や型番が分かっている場合は、従来の検索のほうが速いとのこと。用途によって使い分けられている、ということですね。

ここからが本題です。AIは何を見て選んでいるのか

ここから、Webサイトやネットショップを運営されている方に向けた話に移ります。

楽天は今回、出店店舗に対して2つのことを求めています。この2点が、今回のニュースでいちばん実務的な価値のある部分だと考えています。

1つ目は、AIコンシェルジュに選ばれやすくするために、商品情報を豊富に載せること。ここで注目したいのは、楽天が挙げている項目です。色、素材、サイズ、型番といった基本条件だけでなく、「ターゲット」「利用シーン」「顧客の声」「わかりやすいメリット」まで含めるとよい、と明言されています。

2つ目は、目に留まりやすい動画コンテンツを多く用意すること。楽天のアプリには、商品にまつわるコンテンツが流れてくる仕組みがあるのですが、そこでは静止画より動画のほうがクリック率が高いそうです。加えて、商品紹介にとどまらない「読み物コンテンツ」も好評とのこと。実際に使ってみた体験談や、商品の背景にあるストーリーなど、熱量の高い内容が特に反応がよいと紹介されています。

なぜ「ターゲット」や「利用シーン」が効くのでしょうか

少し掘り下げてみます。

先ほどのバッグの例を思い出してください。AIは「オフィス用途ならA4サイズでレザー調」という判断をしていました。これができるのは、AIが一般常識としてオフィス用バッグの条件を知っているからです。

ここで、商品ページ側に「通勤にも使える」「A4書類が入る」「きちんとした場でも浮かない見た目」と書いてあれば、AIは自分の持っている知識と商品情報を結びつけられます。逆に、素材とサイズしか書いていない商品は、AIから見て「オフィス向けかどうか判断できない商品」になってしまいます。

つまり、AIに選ばれるかどうかは、商品の良し悪しではなく、「AIが結びつけられる言葉が書いてあるか」で決まる部分が大きいということです。同じ品質の商品が並んでいたら、説明が具体的なほうが選ばれます。これは検索エンジンの時代とも似ていますが、AIのほうがより文脈を重視するぶん、影響は大きくなると考えられます。

数字にすると、どんな影響がありそうでしょうか

仮に、売れ筋の商品10点について、ターゲットと利用シーンを書き足したとします。その先で何が起きるでしょうか。

AIが商品を理解しやすくなれば、提案の候補に入る回数が増えるかもしれません。候補に入る回数が増えれば、そのぶん購入につながる機会も増える可能性があります。そして今回の楽天のデータが示すように、AI経由の買い物では平均注文額が高くなる傾向があるとすれば、機会の増加以上の効果が出ることも考えられます。

もちろん、これは確実に起こると保証できるものではありません。書き足しただけで売上が伸びるほど単純ではありませんし、楽天の数字も特定の期間の比較にすぎません。ただ、少なくとも「何を書けばいいのか」がプラットフォーム側から明示されたのは、これまでになかったことです。方向が示されている以上、試してみる価値はあると考えています。

これは楽天だけの話ではありません

ここで、視野を少し広げておきます。

今回の話は楽天市場の中での出来事ですが、同じことは自社サイトでも起きています。ChatGPTやGoogleのAI検索が商品を紹介するとき、参照しているのはWeb上に書かれた情報です。そこでも判断基準は同じで、「誰向けの、どんな場面で使うものか」が書かれているページのほうが引用されやすくなります。

私たちがAI検索対策に力を入れているのも、まさにこの部分です。特別な裏技があるわけではありません。自社の商品やサービスについて、当たり前だと思って省略していたことを、きちんと言葉にして書く。地味ですが、これがいちばん効きます。

そして今回の楽天の発表は、その効果を数字で裏づける材料になりました。「本当に意味があるのか」と半信半疑だった方にとって、動く理由になるのではないでしょうか。

立場別・今日からできること

個人で発信されている方は、自分が紹介しているものについて「どんな人に、どんな場面で向いているか」を一文添える習慣をつけてみてください。感想だけの投稿より、AIにも人にも拾われやすくなります。

Webサイトを運営されている方は、サービス紹介ページを見直してみてください。「誰のためのサービスか」が本文中に書かれているでしょうか。デザインの中に埋め込まれていて、テキストとしては存在していない、というケースは少なくありません。

ネットショップを運営されている方は、まず売れ筋の10商品から始めてください。全商品を一度に直そうとすると必ず途中で止まります。10点書き直して、しばらく様子を見て、手ごたえがあれば次の10点へ。この進め方が現実的です。

編集部の見立て:やることは、実はずっと変わっていません

ここからは、私たち編集部としての見立てです。

AIに選ばれるための対策と聞くと、何か新しい技術を覚えなければならないように感じるかもしれません。ですが今回、楽天が出店店舗に求めたことを改めて見ると、「商品情報を丁寧に書く」「魅力が伝わるコンテンツを用意する」という、ごく当たり前の内容です。

これは偶然ではないと考えています。AIは、人間に分かりやすい情報を、そのまま分かりやすいと判断する傾向があるからです。人間向けに丁寧に書かれたページは、AIにとっても読みやすいページになります。裏技を探すより、お客様に伝わる説明を書くほうが結果的に近道になる、というのが私たちの見方です。

ただし、これまでは「書かなくてもなんとなく伝わっていた」部分が、今後は通用しなくなります。写真の雰囲気や、ページ全体の空気感で伝えていたことを、言葉にしていく必要がある。求められているのは新しい技術ではなく、丁寧さの徹底だと言えるかもしれません。

まとめ

楽天市場のAIコンシェルジュ経由で、購入決定までの時間が約41%短縮、平均注文額が約17%増加という結果が出ました。AIに相談する買い物が、実験ではなく成果を出す段階に入っています。

そして楽天は、出店店舗に対して何をすべきかをはっきり示しました。商品情報に「ターゲット」「利用シーン」「顧客の声」「わかりやすいメリット」まで書くこと。そして動画や読み物といった、熱量のあるコンテンツを用意すること。

これは楽天に出店していない方にも、そのまま当てはまる話です。AIが商品を紹介する時代に選ばれるのは、良い商品ではなく、良さが言葉になっている商品です。まずは売れ筋の10点から、「どんな人が、どんな場面で使うのか」を書き足してみてください。その一行が、あとから効いてきます。

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