GoogleドキュメントにGeminiのコメント要約・返信機能、「確認お願いします」の往復が減ります

2026.08.01 AIツール AI情報

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コメントが20件溜まったドキュメントを開くときの、あの気持ち

誰かと一緒に資料をつくった経験のある方なら、覚えがあると思います。

数日ぶりに共有ファイルを開いたら、右側にコメントがずらりと並んでいる。「ここの表現、もう少し柔らかく」「この数字の出典は?」「前の段落と重複してませんか」。ひとつひとつは短いのに、全部で20件もあると、どこから手をつけるべきかわからなくなる。

しかも困ったことに、その中には「すでに直したのに解決マークをつけ忘れているもの」や「別の人が返信して話が決着しているもの」が混ざっています。読み分けるだけで15分、下手をすると30分。本題の修正に入る前に、もう疲れている。

この地味な負担に、Googleが手を入れました。2026年7月28日、GoogleドキュメントでAIアシスタントのGeminiがコメントを扱えるようになったと発表されたのです。

何ができるようになったのか

発表された内容を整理すると、主に4つのことができるようになります。

コメント全体の要約
ドキュメントに付いているコメントを、Geminiがまとめて読んで「こういう指摘が来ています」と整理してくれます。20件を自分で追う必要がなくなります。

未解決の指摘の抽出
まだ対応が終わっていないものだけを取り出してくれます。「もう終わったもの」を読み返す時間がなくなるということです。

返信案の作成
コメントに対する返信の下書きを作ってくれます。そのまま送るというより、たたき台として使うイメージです。

本文の修正案の作成
「このコメントの指摘を反映すると、本文はこうなります」という修正案を出してくれます。指摘を読んで、自分で書き直して、という手順が1段省けます。

この機能は7月28日から、最大15日ほどかけて順次使えるようになっていくとのことです。

AIの使いどころが、静かに広がっています

この発表を「便利な小機能が増えた」で終わらせるのは、少しもったいないと感じます。もう少し大きな流れが見えるからです。

これまで、AIに任せる仕事といえば「文章を書く」ことが中心でした。ブログ記事を書いてもらう、メールの文面をつくってもらう、キャッチコピーを考えてもらう。白紙から何かを生み出す作業です。

ですが実際の仕事を振り返ってみると、時間を食っているのは書くことそのものではないケースが多いのではないでしょうか。

誰が何を言ったのかを整理する時間。話がどこまで進んだのかを思い出す時間。前回のやり取りを遡って確認する時間。この「調整のための時間」が、案外いちばん重い。

今回の機能は、まさにそこに手を入れています。AIの役割が、「つくる人」から「整理する人」へ広がった。そう捉えると、意味が見えてきます。

Before→After:資料づくりの現場はこう変わります

これまで(Before)

月曜の朝。先週から止まっていた提案書を開く。コメントが20件。上から順に読んでいく。3件目で「これはもう直したかな」と本文を確認しに行く。7件目で「この人の指摘、別の人と逆のことを言ってるな」と気づいて悩む。12件目まで来たところで会議の時間になる。結局、修正には手をつけられていない。

これから(After)

月曜の朝。同じ提案書を開く。Geminiに「未対応の指摘をまとめて」と頼む。「価格表記の統一」「事例の追加要望」「用語の言い換え」の3系統に整理されて出てくる。20件が3つの論点に見える。優先度をつけて、上から順に対応していく。会議の前に、半分は終わっている。

劇的に賢いことをしているわけではありません。ただ、散らかったものを整理してくれるだけです。ですがその「だけ」が、実務では効きます。

EC・Web運営の場面では、どう使えるか

具体的な業務に当てはめてみます。

商品説明文の社内チェック
新商品の説明文を書いて、上長や別部署にチェックしてもらう。表現、法規制、価格表記など、複数の視点からコメントが入ります。これを整理して一気に反映できれば、公開までの時間が縮まります。

LPの原稿レビュー
広告用のランディングページは、関わる人数が多くなりがちです。マーケ担当、デザイナー、経営者。それぞれ違う観点でコメントが入り、ときに矛盾します。矛盾を早く見つけられれば、判断を仰ぐタイミングも早くなります。

お客様向けFAQの整備
問い合わせ内容をもとにFAQを作る作業では、「この書き方だと誤解される」といった指摘が多く出ます。指摘の傾向が要約で見えると、FAQ全体の書き方の方針を決めやすくなります。

メルマガ・LINE配信の原稿確認
配信物は締切がタイトです。「今日の17時までに確認をお願いします」と回して、戻ってきたコメントを16時50分に見る。こういう場面で、要約して優先度をつけられる価値は大きいと思います。

外部パートナーとのやり取り
制作会社やライターさんとドキュメントを共有している場合、コメント欄が実質的な打ち合わせの場になります。過去の経緯を追いやすくなるのは、双方にとって助かります。

時間短縮が、どこにつながる可能性があるか

ここも根拠のない数字は避けて、流れだけをお話しします。

仮に、コメント整理にかかっていた時間が半分になったとします。そのぶんの時間が空けば、コンテンツの更新にもう少し手を回せるかもしれません。更新の頻度が上がれば、検索やAI検索で拾われる機会が増える可能性があります。露出が増えれば、サイトへの訪問も増えるかもしれない。

ただし、この流れは自動的には起きません。空いた時間が別の雑務で埋まってしまえば、何も変わらないからです。「時間が空いたら何に使うか」を先に決めておくこと。ここが実は一番大事なポイントだと思います。

AI検索の時代に、社内のやり取りが持つ価値

もうひとつ、私たちがAI検索対策の観点から注目している点があります。

コメント欄には、実は貴重な情報が眠っています。「この表現だとお客様に伝わらない」「うちの商品の場合はこの条件が例外になる」「前回この説明で問い合わせが増えた」。こうしたやり取りは、その会社にしかない知識です。

AIに引用されるコンテンツの条件を考えると、鍵になるのは「他のどこにも書かれていない具体性」です。一般論はどこにでもあるので、わざわざ引用する理由がありません。

つまり、社内のコメント欄で交わされている細かい議論こそが、そのまま強いコンテンツの種になり得るということです。「この部分、お客様からよく聞かれるので補足したほうがいい」というコメントは、それ自体がFAQのネタです。

これまでは、そうしたやり取りが流れて消えていました。要約して整理できるようになれば、拾い上げやすくなります。AIに社内の議論を整理させて、そこからコンテンツのネタを掘る。そういう使い方も現実的になってきました。

使うときに気をつけたいこと

便利な機能ですが、いくつか注意点もあります。

返信案はそのまま送らない
AIが作る返信は、無難で角が立たない文面になりがちです。ただ、相手との関係性や過去の経緯を踏まえた微妙なニュアンスまでは汲めません。たたき台として使い、最後は自分の言葉に直すのが安全です。

要約で落ちる情報がある
まとめるということは、切り捨てるということでもあります。重要な案件では、要約を見たうえで、原文にも一度目を通す。この二段構えをおすすめします。

機密情報の扱いを確認する
社外秘の内容を含むドキュメントでAI機能を使う場合、会社としての方針を確認しておいたほうがよいでしょう。使ってよい範囲を決めておかないと、後で問題になることがあります。

立場別の使い方

個人で発信されている方へ
一人で作業していると、コメント機能は使わないかもしれません。ですが、自分で自分の原稿にコメントを入れておく使い方は意外に有効です。「ここ後で数字を確認」「この例え、弱いかも」とメモしておき、あとでまとめて対応する。頭の切り替えコストが減ります。

Webサイトを運営されている方へ
複数人で原稿を回す運用があるなら、まずは一番コメントが荒れやすい案件で試してみてください。効果が実感しやすいのは、関係者が多くて意見が割れる場面です。

ECサイトを運営されている方へ
商品登録の原稿チェックと、キャンペーン告知の文面確認。この2つで試す価値があります。特に季節商品は締切に追われるので、確認の往復が1回減るだけでも助かるはずです。

編集部の考察:AIの評価軸は「地味さ」に移りつつあります

この1年ほど、AIのニュースといえば「新しいモデルが登場」「性能が向上」といった話が中心でした。数字の比較や、驚くようなデモが注目を集めてきました。

今回の発表は、その対極にあります。コメントを要約する。それだけです。派手さはまるでありません。

ですが筆者は、こういう機能こそが実務を変えると考えています。理由は単純で、毎日使うからです。月に1回しか使わないすごい機能より、毎日使う地味な機能のほうが、積み上がる時間は圧倒的に大きい。

そしてもうひとつ。この手の機能は、AIに詳しくない人でも自然に使えます。特別な使い方を覚える必要がなく、いつもの画面にボタンが増えているだけ。AI活用が社内に広がらないと悩んでいる会社にとって、こういう入口は貴重です。

AIを本格導入しようとすると、たいてい話が大きくなります。ツールの選定、予算の確保、社内研修。そうやって身構えているうちに、時間だけが過ぎていく。それより、いま使っているツールに入ってきた機能を、まず触ってみる。そこからのほうが早いこともあります。

止まっているドキュメントを、今日ひとつ開いてください

あなたのGoogleドライブに、コメントが溜まったまま止まっている資料はありませんか。

開くのが億劫で、後回しにしているファイル。そこに書かれた指摘の中には、お客様に届く言葉のヒントが混ざっているかもしれません。誰かが真剣に読んで、気づいて、書き残してくれたものです。

その指摘を整理する作業を、AIに任せられるようになりました。人がやるべきなのは、整理された論点を見て「どう直すか」を決めることのほうです。

止まっている資料は、止まっているだけで価値を生みません。今日、ひとつだけ開いてみてください。動き出すきっかけは、思っているより小さなところにあります。

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