アプリ開発で機能を増やしても利用者が定着しない理由とユーザー継続率を高める設計とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
アプリ開発で機能を増やしても利用者が離脱する理由
多くのアプリ開発企業が陥る落とし穴があります。新機能を次々と追加しているのに、利用者数は増えず、むしろ継続率が下がっていく。これ、現場では本当によく見る光景です。Shopifyの管理画面で機能を追加するように、アプリにも常に新しい機能を入れるのが標準的になっています。しかし利用者の継続率が改善されないのは、機能の品質ではなく、ユーザーが最初に出会う「UI設計」に問題があるからです。
アプリの継続率が低い理由とは、利用者が最初の3日間で「何ができるアプリなのか理解できていない」ことと、その後の接触機会が「設計されていない」ことが原因である。
機能追加は継続率を上げない理由
利用者の行動を追跡していると、継続率が低いアプリの共通点が見えてきます。GA4やFirebaseのコホート分析を見ると、Day1からDay7の離脱率が50%以上という企業が多くあります。その時点で新機能はほぼ使われていません。理由は機能が多すぎて、利用者が何をすべきかを理解していないからです。
新機能を追加することは、選択肢を増やすことと同じです。人間は選択肢が多いと、かえって動きが止まります。これを心理学では「選択肢削減理論」と呼びますが、アプリUIではこれが顕著に出ます。メニューが10個あるアプリと、メニューが3個のアプリでは、3個のアプリの方が継続率が高いというデータが多く存在します。
つまり、機能追加はユーザー体験を複雑にするだけで、継続率に直結しないということです。意外ですが、これが現実なんです。
継続率が高いアプリの共通点
継続率60%以上を維持しているアプリを分析すると、3つの共通パターンが見えます。
- Day1の段階で、ユーザーが「このアプリで何ができるか」を1つの画面で理解できている
- 毎回起動した時に、次のアクション(やることリスト)が明示されている
- ユーザーが習慣的に触る理由が、UIの中で毎回リセットされている
多くの企業は「機能が足りない」と思い込み、新機能開発に時間をかけます。しかし継続率の低いアプリの多くは、既存機能も活用されていません。つまり問題は機能数ではなく、UI設計にあるのです。
ユーザー継続率が低い理由とは何か

アプリの継続率が下がる根本原因は、ユーザーが「使う理由」を毎回想い出せないUIになっているからです。
ユーザー継続率が低い理由とは、初期オンボーディングの設計が不十分で、毎回の起動時に「なぜこのアプリを使うのか」という文脈がリセットされてしまう状態である。
Day1離脱が起きる3つの理由
アプリの継続率低下は、実装後の最初の数日で決まります。Firebase AnalyticsやAppsFlyer の初日ユーザー行動データを見ると、離脱するユーザーの共通点が明らかになります。
1つ目は、アプリを開いた時点で「何をするべきか」が表示されていないUIです。ホーム画面に説明がなく、複数のメニューアイコンだけが並んでいる状態では、利用者は迷います。この時点で30%以上のユーザーが削除を判断します。ここで差がつくんです。
2つ目は、初期タスク(初回購入・初回登録・初回利用)が複数ステップになっていることです。アプリを開く→登録→プロフィール設定→初回利用まで、5画面以上のステップが必要な設計では、完了率が10%を下回ります。ECサイト制作でもこの原則は同じですが、アプリはさらにシビアです。
3つ目は、毎回起動した時に「文脈がゼロリセット」されることです。ユーザーが「このアプリを使う理由」を毎回思い出す必要がある状態になっています。
継続率が低いアプリの共通パターン
よくある失敗パターンは、アプリの設計思想がWeb的になっているケースです。WebサイトではUIが固定されていてもユーザーは任意に戻ってきます。しかしアプリはそうではありません。
Slack のような継続率が高いアプリを観察すると、毎回起動した時に「新しいメッセージの通知」という理由がUIに埋め込まれています。つまり、起動理由がUIに含まれているのです。一方、継続率が低いアプリは「機能を見つけてね」というスタンスになっており、ユーザーが起動理由を自分で作る必要があります。これは実はユーザーにとって負担なんです。
ユーザー継続率を高める3つのUI設計とは
ユーザー継続率を高める3つのUI設計とは、「文脈埋め込み設計」「次アクション明示設計」「習慣化トリガー設計」であり、これらは機能追加ではなくUIの再設計によって実現される。
1つ目:文脈埋め込み設計
「文脈埋め込み設計」とは、ユーザーが起動した時点で「なぜこのアプリを使うのか」という理由がUIに埋め込まれている状態です。
例えば、買い物習慣アプリの場合、多くの企業は「商品一覧」をホーム画面に設計します。ユーザーは商品を探す責任を背負わされます。一方、継続率が高い設計は「今日買うべき商品」「あなたが昨日見た商品」「このカテゴリは今セール中」という具体的な理由がホーム画面に提示されています。ユーザーは「なぜ今この画面を見るべきか」という文脈が既に与えられているのです。
福岡ECサイト株式会社が支援した事例では、あるECアプリの継続率が38%から62%に改善された時、機能追加はまったく行われていませんでした。変更したのはホーム画面だけです。「あなたのお気に入り」という文脈から「この商品、あなたのサイズが切れ間近です」という具体的な購買理由に変えたのです。その結果、再度訪問する理由が明確になり、継続率が向上しました。
2つ目:次アクション明示設計
「次アクション明示設計」とは、ユーザーが現在のタスクを完了した時点で、次に何をするべきかが自動的に表示される設計です。
多くのアプリは、ユーザーが1つのアクションを終えると、再びホーム画面に戻します。ユーザーは次にすべきことを自分で判断する必要があります。この瞬間、約40%のユーザーがアプリを閉じます。GA4の「セッション継続時間」を確認してみてください。30秒以下で大量のユーザーが離脱しているはずです。
継続率が高い設計では、1つのタスク完了後に「次はこれをしませんか」という提案がUIに組み込まれています。例えば、買い物を完了したら「関連商品」や「完全予約」などが自動的に表示されます。ユーザーは次のアクションを「発見する」のではなく「示される」のです。
- 商品購入完了後→レビュー入力への誘導
- レビュー投稿完了後→ポイント獲得の表示
- ポイント確認後→そのポイントが使える商品の提示
この設計では、ユーザーの行動が一本の導線として繋がっており、次々とアクションが続きます。流れができるとユーザーは自然に使い続けるんです。



