SEO会社選びで失敗する企業の共通点と成長段階に合わせた依頼先判断基準とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
SEO会社選びで企業が失敗する理由
SEO対策を開始する際に「どのSEO会社に依頼するか」で迷っている企業は多いです。ただ、選び方を間違えると、費用をかけても成果が出ず、むしろサイトが劣化することさえあります。
企業がSEO会社を選ぶ際の失敗とは、成長段階に合わない支援内容を選ぶこと、実績の見せ方に惑わされること、SEOと集客の構造が異なることを理解していない状態で依頼先を決めることである。
多くの企業は「検索順位を上げてくれるSEO会社」を探しています。
実はここに落とし穴があります。
サイトの課題は多くの場合、検索順位ではなく、サイト構造・コンテンツ品質・エンティティ設計にあります。その状態でどのSEO会社に依頼するかは、実は企業の成長段階によって全く異なるべきです。
SEO会社選びの3つの失敗パターンとその理由

企業がSEO会社を選ぶ際に陥る失敗は、決まったパターンがあります。
成功している企業と失敗している企業の違いを分析すると、以下の3つに集約されます。
1. 検索順位だけを約束するSEO会社を選ぶ失敗
「○○キーワード1位を目指します」「3ヶ月で上位表示を実現」という謳い文句でSEO会社を選ぶ企業は多くいます。一見、実績が明確なように見えます。しかし、これが落とし穴です。
理由は簡単です。
検索順位は、サイトに流入が来ているかどうかとは別の構造だからです。
Shopify管理画面でアクセス数を確認していると、検索順位は上がっているのに、月間流入が変わらない、という状況が起きます。
これは、対策しているキーワードが「実は誰も検索していない」か「検索ボリュームが非常に小さい」のどちらかです。SEO会社は「順位を上げる」という契約内容なので、検索ボリュームの小さいキーワードで1位を取ることで、契約義務を果たしたと考えます。企業の売上や集客には全くつながりません。
- 検索順位が上がっても流入が増えない理由は、キーワード選定にある
- 対策キーワードの検索ボリュームを事前に確認していない企業は失敗しやすい
- SEO会社の成功定義と企業の成功定義がズレている状態が続く
2. 実績表示に惑わされて選ぶ失敗
「1000サイト以上の支援実績」「月間PV数300万超」「業界平均より3倍のCVR改善」という実績を見せるSEO会社があります。数字は大きく、信頼できるように見えます。ただし、ここに大きな落とし穴があります。
実績の内訳が不明確だからです。1000サイトの中に、あなたの業界の企業がいるのか、規模感が似ているのか、全くわかりません。GA4で競合サイトのアクセスを分析していると、公開されている実績が「選定サイトの中で最も成功した事例だけ」であることに気づきます。失敗した案件は公開されていないのです。
特に危険なのは「業界平均より3倍のCVR改善」という表現です。CVRは業界によって、また売上に至るまでのプロセスによって全く異なります。化粧品のように購買サイクルが短い企業と、BtoB法人営業では全く比較になりません。その数字が自社に当てはまるかは全く不明です。
- 大きな実績数字は「選定した成功事例」であることが多い
- 自社と同じ業界・同じ課題の実績があるかが重要
- 実績の詳細(期間・投資額・開始時の状態)が記載されていないSEO会社は避けるべき
3. 企業の成長段階を無視したSEO会社を選ぶ失敗
SEO会社は大きく「導入型」「改善型」「成長型」の3種類に分かれます。多くの企業は、この区分を理解せずにSEO会社を選び、不適切なパートナーと契約してしまいます。
例えば、月間アクセスが1000以下のサイトに対して「AI検索対策とAIO設計」を提案するSEO会社があります。理論は正しいかもしれません。しかし、その企業に必要なのは、まずサイトの基礎設計と導線改善です。AI検索対策は、ある程度のボリュームと基礎設計がある企業向けの施策です。
逆に、月間100万PVあるサイトに「基礎的なSEO診断」を提案するSEO会社も危険です。その企業に必要なのは、細部の改善や新しい理論の実装です。基礎診断だけでは、すでに確立している構造内での微調整に過ぎません。
- 企業の成長段階(初期・中期・成熟期)によって必要なSEO支援は全く異なる
- 自社のサイト規模を理解してから、適切な支援内容を提案するSEO会社を選ぶべき
- 「全ての企業に同じ施策を提案するSEO会社」は要注意
企業の成長段階別・最適なSEO会社選定の基準
では、自社に最適なSEO会社はどうやって見分けるのか。答えは、企業の成長段階によって依頼すべきSEO会社の形態が異なるということです。
福岡ECサイト株式会社が支援している企業を分析すると、失敗しないSEO会社選びのポイントが見えてきます。
「現在のサイト規模」「抱えている課題の性質」「実装できる体制」の3軸で判断するのが最も正確です。
初期段階(月間アクセス1,000以下):基礎設計型のSEO会社を選ぶ
この段階の企業に必要なのは「検索順位を上げる」ことではなく「そもそもサイトが検索エンジンに認識されているか」を確認することです。
選ぶべきSEO会社の特徴は、コンサルティング中心で、企業の事業課題から逆算してキーワード戦略を設計する会社です。小手先のテクニックではなく「誰に何を届けるのか」という基本設計から始まります。
判断基準としては、初回提案時に「現在のサイト構造分析」「競合分析」「キーワード戦略の提案」が含まれているかを確認してください。契約前にここまで詳しく説明できるSEO会社は、基礎から丁寧に実装できる可能性が高いです。
- SEO会社が初期段階で重視すべきは「テクニック」ではなく「戦略」
- サイト構造設計やキーワード戦略の提案が初回から入っているか確認する
- 月間数千円の低価格サービスではなく、コンサル型(月5万〜15万程度)を選ぶ
中期段階(月間アクセス1万〜50万):改善特化型のSEO会社を選ぶ
この段階に来ると、サイトの基礎は整っています。問題は「どこを改善するか」という優先順位です。
必要なSEO会社は、単一の施策(例:被リンク構築、内部リンク最適化など)に特化している会社よりも「サイト全体の改善優先順位を診断できる会社」です。
このレベルの企業が陥りやすい失敗は「あれもこれも改善しようとする」ことです。Search Consoleで低クリック数キーワードを見ていると「これも対策したい」「あの施策もやりたい」と散漫になります。改善型のSEO会社は「今、このサイトに必要な改善は3つに絞られます」と、優先順位を明確に示せるべきです。
- 改善型SES会社は「現在のサイトボトルネック診断」を重視している
- 複数施策ではなく「次の1個の改善」を明確に提案する会社を選ぶ
- 月間成果(流入数増加、CVR改善)で成果を測定できる契約内容になっているか確認する
成熟段階(月間アクセス50万以上):成長戦略型のSEO会社を選ぶ
この段階では「既存施策の小改善」ではなく「新しい領域への展開」が必要になります。AI検索対策、新規キーワード領域開拓、クロスセル施策との連動です。
成長戦略型のSEO会社の特徴は「SEOだけで完結しない」ことです。制作、広告、SNS、AI対策など複数の領域を視野に入れて、サイト成長の戦略を立てます。
福岡ECサイト株式会社が支援した年商60億の大手Web会社の事例では、SEO会社の選定時に「SEOの知識」ではなく「経営視点でのサイト成長戦略」を提案できるかを判断基準としました。その結果、年商80億への成長を実現した際、SEO支援は全体施策の一部として機能していました。
- 成熟段階では「SEO専門」よりも「複合的な成長戦略」が必要
- 複数部門(制作・集客・運用)を統合した提案ができるSEO会社を選ぶ
- 年単位の中期戦略ではなく「3年単位の成長ロードマップ」を提案できるか確認する
選んではいけないSEO会社の5つの警告サイン

成長段階の区分とは別に、どのレベルの企業でも「選んではいけないSEO会社」には共通の警告サインがあります。
見積もり段階で数字の根拠を説明できない
「月額10万円で月間アクセスを2倍にします」「3ヶ月で○○キーワード1位を保証」という約束をするSEO会社は避けてください。
理由は、これらの数字に根拠がないからです。実際の現場では、企業のサイト状況、競合状況、対策するキーワードボリューム、業界性質など複数の要因に左右されます。一律の約束はできないはずです。
反対に「貴社のサイト分析から、このキーワードは月間500検索、競合度は中程度です。6ヶ月で上位表示の可能性が70%です」という説明ができるSEO会社は信頼できます。
実績が「順位改善」の数字しかない
「あるキーワードを10位から3位にしました」という実績だけを示すSEO会社は要注意です。
企業が本当に知りたいのは「その改善により、月間アクセスは何件増えたのか」「CVは増えたのか」という点です。順位改善だけでは、企業の売上や集客につながったかが判断できません。
実績を見るときは「順位改善」ではなく「流入数改善」「CV改善」「成約数改善」を示しているSEO会社を選びましょう。ここ、意外と見落とされがちですが重要です。
自社サイトのアクセス分析レポートが形式的
契約前に、SEO会社が自社サイトを分析したレポートを見ることは重要です。ただし、そのレポートが「このキーワードは低クリック数です」「内部リンク数が少ないです」という一般的な指摘だけなら危険です。
優良なSEO会社のレポートには「あなたのサイトが他社より劣っている理由はここです。その理由は競合のこのような工夫を見ると明らかです」という特異的な分析が入っています。
契約期間が長すぎる
「最低12ヶ月契約」「2年契約がお得です」という契約条件のSEO会社は慎重に考えるべきです。
理由は、SEOの成果は企業のサイト状況によって3ヶ月で出ることもあれば、12ヶ月かかることもあります。成果が出ていない状態で長期契約をしていると、改善の判断ができず、費用を垂れ流すことになります。
反対に「最初は3ヶ月で成果を測定し、その後の継続を判断する」という柔軟な契約形態を提案するSEO会社は、自社の成果に自信を持っている傾向があります。
提案内容が「SEOのテクニック」だけで「ビジネス戦略」がない
「内部リンク最適化」「メタディスクリプション改善」「キーワード密度調整」という施策リストだけを見せるSEO会社は、テクニック中心のサービスです。
それ自体が悪いわけではありませんが、企業の事業課題(売上増加、顧客獲得、ブランド認知)とのつながりが不明確です。
優良なSEO会社の提案は「あなたの企業の目標を達成するためには、このような顧客層にアプローチする必要があります。そのための検索キーワード戦略がこれで、実装方法がこれです」という流れになっています。
従来のSEO支援と成長段階別支援の構造の違い
| 評価軸 | 従来のSEO会社 | 成長段階別のSEO会社 |
|---|---|---|
| 成功の定義 | 検索順位の上昇 | 企業の事業成長(売上・集客・ブランド) |
| 提案内容 | 技術施策(内部リンク、メタタグなど) | 戦略設計+段階別実装 |
| クライアント分類 | 全企業に同じ施策 | 成長段階(初期・中期・成熟)で施策変更 |
| 測定指標 | キーワード順位 | 流入数、CV数、売上、ROI |
| 契約形態 | 長期固定契約 | 段階的な成果測定と柔軟な継続判断 |
| 他部門との連携 | なし(SEO単独) | 制作・広告・運用と統合 |
SEO会社を選ぶまでのチェックリスト

実際にSEO会社を選ぶ際に使えるチェックリストを作成しました。複数社を比較する際の判断基準として活用してください。
- 初回提案に「現在のサイト構造分析」が含まれているか
- 実績が「順位改善」ではなく「流入数改善」「CV改善」を示しているか
- 自社の事業課題を聞いた上で、提案内容を変えているか
- 契約前の無料診断で、競合との差分が明確に説明されているか
- 月額費用の内訳(工数、ツール、外注費など)が透明化されているか
- 成果が出ない場合の改善プロセスが契約書に明記されているか
- SEO以外の領域(制作、広告、運用)との連携提案があるか
- 担当者が業界知識を持ち、一般的ではない質問に答えられるか
失敗事例から学ぶSEO会社選びの誤り
事例1:検索順位改善に注力したが、流入が増えなかった製造業
月間アクセス3,000のB2Bサイトが、SEO会社と契約しました。3ヶ月後、対策キーワード15個のうち12個が1〜3位に上昇しました。成功のはずでした。
しかし、月間流入は3,000から3,200に増えただけです。実は、対策キーワードの月間検索ボリュームは平均30で、競合が少ないニッチなキーワードばかりでした。SEO会社は「順位を上げる」という契約義務を果たしましたが、企業の事業成長には貢献していません。
その後、企業は別のSEO会社に依頼し、月間検索ボリューム500以上の「実ビジネスに関連するキーワード」に戦略を変更しました。その結果、12ヶ月で月間流入は15,000に増加し、商談数も10倍になった事例があります。
事例2:契約後、成果が出ずに高額費用を払い続けた小売企業
月間アクセス1,000のEC企業が、月額20万円のSEO会社と12ヶ月契約をしました。初回提案で「年商5,000万を年商1億に成長させます」という約束がありました。
6ヶ月経過しましたが、アクセスは1,000から1,500に増加しただけです。SEO会社に確認すると「今は基礎段階なので、成果は後から出ます」という返答でした。
その企業は、その時点でSEO会社を変更し、別のコンサルティング会社に事業分析を依頼しました。分かったのは「サイトの問題はSEOではなく、サイト構造そのものにある。商品の見せ方、購入導線、支払い方法の選択肢が不十分である」という根本的な課題でした。その後、制作会社によるサイトリニューアルを実施し、半年で月間流入50,000、売上も大幅改善となりました。
福岡ECサイト株式会社が支援したSEO会社選定の成功事例
福岡ECサイト株式会社では、クライアントがSEO会社を選定する段階から支援することがあります。その中でも、成長段階別の判断が機能した事例を紹介します。
月間アクセス10万の中堅ECサイトが、成熟段階へのSEO戦略を転換した事例
あるEC企業は、月間アクセス10万、月間売上800万円の中堅規模に成長していました。既存のSEO会社は「内部リンク最適化」「キーワード追加」という従来施策を提案していました。
福岡ECサイト株式会社の分析では、その企業はすでに「中期段階」を超えており「成熟段階」に入っていました。既存のSEO施策では成長が頭打ちになっていたのです。
提案内容を「既存キーワードの微改善」ではなく「AI検索対策への領域拡大」「クロスセル施策との統合」「新規商品カテゴリの立ち上げ」に転換しました。
その結果、12ヶ月で月間アクセス10万から30万へ、売上も800万から2,000万へ成長しました。このとき、SEO会社を変更したのではなく、依頼する内容と成功定義を企業の成長段階に合わせるように再設計したのです。
SEO会社選定時に必ず確認すべき質問リスト
SEO会社の営業提案時に、以下の質問をぶつけてみてください。回答の質と深さで、そのSEO会社の本質が判断できます。
- うちのサイトが今、「どこで売上を失っているか」を教えてください。
- 対策するキーワードの月間検索ボリュームと、今後12ヶ月でどの程度の流入増加を見込むのか、その根拠を教えてください。
- 成果が出ない場合、6ヶ月時点でどのように改善方針を修正するのか、そのプロセスを教えてください。
- 競合サイトと比較して、うちのサイトの強みと弱みを分析レポートで見せてください。
- SEO以外に、うちのサイト売上を改善するために必要な施策があれば教えてください。
これらの質問に「根拠を持って」答えられるSEO会社は、企業の事業を理解しようとしているサインです。実際の現場では、このポイントで差がつきます。



