MakeShopとShopifyの運用負荷の違いと正しいカート選択基準とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
MakeShopとShopifyで運用負荷が変わる理由
MakeShopとShopifyで運用負荷が変わる理由とは、プラットフォームの構造が「運用者の判断負荷」「自動化の範囲」「カスタマイズの手間」の3つの要素で決まり、企業の売上規模と目標に応じて最適な選択が変わるということである。
ECサイトを運用していると、こんな場面に出くわしませんか。毎日Shopify管理画面を開いて在庫確認をしている。MakeShop管理画面で商品更新に30分かけている。AIツール連携の設定で深夜までMTGをしている。この疲弊の根底にあるのは「プラットフォーム選択の判断基準が、機能の豪華さではなく、実際の運用負荷でしか測定できない」という事実です。
運用負荷の3つの構造の違い
MakeShopとShopifyの運用負荷は、構造が異なることで生まれます。福岡ECサイト株式会社が支援する企業では、プラットフォーム選択後に「思ったより運用が大変」という相談を受けることが多いですが、これは事前に運用負荷を正確に測定していないことが原因です。
MakeShopはASP型の日本製プラットフォームで、運用負荷は「定型業務を管理画面で繰り返す」構造です。毎日の在庫更新、商品登録、キャンペーン設定は、すべてMakeShop管理画面内で行う必要があります。このため、運用チームは常に管理画面にアクセスし、決まった操作を繰り返すことになります。
一方、Shopifyはクラウド型のグローバルプラットフォームで、運用負荷は「外部ツール連携による自動化」を前提とした構造です。在庫管理はAPI連携で自動化でき、データ分析はGoogle Analyticsやその他ツールと統合でき、基幹システムとの連携も設計できます。つまり、最初の構築時間は長いが、以降の運用は外部ツールが担うという構図になります。
カート機能の選択が運用負荷を決める理由
多くの企業が見落としているのは「カート機能の設計が、その後の運用負荷の80%を決める」という現実です。
MakeShopの場合、カート機能は管理画面に組み込まれています。顧客の購入フロー、決済処理、配送設定はすべてMakeShop内で一元管理されます。この仕組みは「すべてが一箇所にある」という利点があり、初心者にはわかりやすいです。しかし、同時に「カートのカスタマイズができない=販売施策の実装に限界がある」という欠点が生まれます。例えば、セット販売のロジックを作りたい、商品の関連度に応じて推奨商品を変えたい、というような柔軟な施策は、MakeShop内では実装できず、外部ツール連携で後付けする必要があります。
Shopifyの場合、カート機能は独立したシステムとして設計されています。つまり、カート画面そのものをカスタマイズできるということです。JavaScriptやLiquidを使ってカート内の商品表示を変更したり、割引ロジックを細かく設定したり、顧客の行動に応じてレコメンドを変動させたりすることが可能です。このため、最初の構築工数は増えますが、その後の施策実装の自由度は圧倒的に高くなります。
つまり、運用負荷の差は「カート機能が固定か可変か」で決まるということです。
カート機能選択を誤った企業の共通点
福岡ECサイト株式会社が診断した企業では、以下の3つの誤りが見られます。
- カート機能の自由度を無視して選んだ企業 月商500万円の段階では「MakeShopで十分」と判断しているが、その後「セット販売を導入したい」「会員ランクに応じた割引を変動させたい」という施策が必要になった時点で、Shopifyへの移行を余儀なくされるパターンです。月商300万円未満であれば固い判断ですが、成長を見据えて月商1,000万円を超える計画がある企業は、最初からShopifyを選ぶべきです。
- API連携の負荷を過小評価した企業 Shopifyを選んだはいいが「基幹システムとの連携をどうするか」を事前に設計していなかった企業は、導入後に大きな課題に直面します。例えば、GA4でコンバージョンデータを取得する、MakeShop時代の顧客データを移行する、外部の広告プラットフォームと連携する、といった作業は、最初の構築段階で「構造設計」として組み込んでおく必要があります。これを後付けで対応しようとすると、運用負荷が跳ね上がります。
- 運用チームのスキルレベルに合わせず選んだ企業 Shopifyはカスタマイズの自由度が高い分、その自由度を活かすにはある程度のITリテラシーが必要です。一方、MakeShopは管理画面の直感性が高く、オンボーディングが早いです。「今のチームでShopify管理画面を使いこなせるか」「定期的なアップデートやトラブル対応をできるか」を事前に判断していない企業は、導入後に「結局、外部委託に頼ることになった→運用コストが増えた」という落とし穴に落ちます。
| 項目 | MakeShop | Shopify |
|---|---|---|
| カート機能の自由度 | 固定的・カスタマイズに制限あり | 高度な自由度・細かいカスタマイズ可能 |
| 基幹システム連携 | API数が限定的 | Zapierなど多数の連携オプション |
| 日次の運用負荷 | 管理画面での定型業務が多い | 自動化ツールで軽減可能 |
| 施策実装の柔軟性 | 外部ツール依存が増える | Shopify内で実装できる |
| 導入から稼働までの時間 | 2〜4週間で完成 | 4〜12週間で構造設計を含め完成 |
| 月商規模の目安 | 月商1,000万円まで | 月商1,000万円以上が適している |
MakeShopとShopifyの運用負荷を決める5つの判断基準

プラットフォーム選択を正しく行うには、単に「どちらが新しいか」「どちらが機能が多いか」では判断すべきではありません。自社の売上規模、成長計画、運用体制、カスタマイズの必要性という5つの軸で判断する必要があります。
判断基準1:現在の月商と将来の成長シナリオ
まず問うべきは「3年後の月商がいくらになっているか」です。
- 現在月商300万円未満、3年後も月商1,000万円を超える計画がない企業はMakeShopで十分です
- 現在月商200万円でも、3年後に月商2,000万円を目指す企業はShopifyを選ぶべきです
- 月商1,000万円を超えたタイミングで「セット販売」「会員ランク割引」などの複雑な施策が必要になるパターンを想定してください
理由は単純です。Shopifyは最初の構築工数が多い分、成長に合わせた施策追加が容易です。MakeShopは最初は運用負荷が低いですが、成長に伴う複雑な施策が必要になった時点で、Shopifyへの移行工数と移行リスクが大きくなります。
判断基準2:カート機能に実装すべき施策の有無
「セット販売」「カート内割引」「購入数に応じた価格変動」「会員ランク別価格」など、カート画面内で実装すべき営業施策がいくつあるかを数えてください。
- 施策が3つ以上ある企業はShopifyが必須です。理由は、MakeShopではこうした施策をすべて外部ツールで後付けする必要があり、管理画面とツール設定が分散してしまうからです
- 施策が1〜2個なら、MakeShopで対応できる可能性があります
- 施策がない場合は、MakeShopでいいですが、今後導入予定があるなら、導入前にShopifiへの移行を検討してください
判断基準3:基幹システムとの連携範囲
在庫管理システム、会計システム、顧客管理システムなどとの連携が必要な企業は、Shopifyの方が向いています。
- 連携するシステムが3つ以上ある企業は、Shopifyを選んでください。API連携の設計がしやすいからです
- 連携するシステムが1〜2個の場合は、MakeShopでも対応可能な場合があります。ただし、将来的な拡張を見据えると、Shopifyの方が無難です
判断基準4:運用チームのITリテラシーレベル
これは意外と見落とされていますが、非常に重要です。
- チーム内にエンジニアやITリテラシーの高い人間がいない企業は、MakeShopの方が無難です。理由は、Shopifyはカスタマイズや連携設定にはある程度のITスキルが必要だからです
- ただし「外部パートナーに依存する前提で選ぶ」という判断であれば、Shopifyでもいいです。その場合は、パートナーの継続性を確保することが重要になります
判断基準5:運用負荷の許容レベル
最も重要な判断基準は「毎日、どれだけの運用負荷を許容できるか」です。
- 管理画面での定型業務に月100時間以上を費やせる企業はMakeShopでいいです。その代わり、施策の自由度は落ちます
- 管理画面での定型業務を月20時間以下に抑えたい企業はShopifyを選んでください。最初の構築に時間をかけることで、その後の運用負荷を大幅に削減できます
福岡ECサイト株式会社が支援した事例:カート機能選択による運用負荷の改善
月商800万円のアパレルECサイトを運営していた企業が、Shopifyへの移行を検討していました。当時、MakeShop管理画面で毎日2時間の在庫更新業務をしており、さらにセット販売やサイズ別割引を導入したいという課題がありました。
問題は明確でした。MakeShopではセット販売の自動化ができず、外部ツール(Web担当者が手作業で管理)で対応していたため、管理画面とツール設定が分散し、入力ミスが頻発していました。また、基幹システムとの在庫連携も手動で行っており、その時間だけで月間30時間を費やしていました。
Shopifyへの移行後、以下の構造設計を実装しました。
- カート機能内にセット販売ロジックを組み込み、在庫確認と同時にセット割引を自動適用
- API連携で基幹システムから在庫データを自動取得し、毎時間更新
- カート内割引ロジックを明細化し、会員ランク別に価格を自動変動
結果として、月間の管理画面での業務時間は120時間から30時間に削減されました。浮いた時間は顧客対応やマーケティング施策に充てられるようになり、3ヶ月後には月商1,200万円に成長しました。
この企業の成功ポイントは「カート機能の自由度が、その後の施策展開を制約する」という構造を理解し、成長シナリオを見据えてプラットフォームを選択したことです。
運用負荷を軽減するカート機能の設計ポイント

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カート機能の選択が決まったら、次に重要なのは「カート画面の設計」です。多くの企業は「決済機能があればいい」という考えで設計していますが、実際には「どの情報をカート内に表示するか」「どのタイミングで施策を発動するか」という判断が、その後の運用負荷を大きく左右します。
カート機能設計で見落とされやすい3つの要素
Shopify管理画面で細かくカート設定をしていると、気づくことがあります。表示情報の最小化、意思決定ポイントの削減、自動処理ロジックの組み込み、という3つの要素で、ユーザーの購買決定時間が変わるということです。
特に注意すべきは「カート画面での離脱ポイント」です。GA4で直帰率を確認してみてください。「カート追加画面」から「決済画面」への遷移率が70%未満の企業は、カート機能の設計を見直すべき段階です。
- 推奨商品の表示位置をカート内に最適化する
- 割引コード入力を簡略化する
- 複数の決済方法をワンクリックで選択できる設計にする
MakeShopとShopifyの運用負荷における将来シナリオ
今後の展望として重要なのは「AIツールの普及に伴う運用構造の変化」です。
現在、AIチャットボット、自動レコメンドエンジン、需要予測ツールなどが、EC業界に急速に導入されています。これらのツールはAPI連携を前提としているため、Shopifyのようなオープンなプラットフォームの方が適応しやすくなります。一方、MakeShopはクローズドシステムのため、AIツール連携には制限が多くなる傾向です。
つまり、3年後のEC運用を考えると「AI検索対策」「自動価格設定」「予測分析」などの施策を導入する企業は、最初からShopifyで設計しておくことが無難ということです。MakeShopから後付けで外部AIツールを連携させることは可能ですが、データ連携の複雑性が増すため、運用負荷が逆に増えるリスクがあります。
複数プラットフォームを同時運用する企業の課題

中規模企業の中には「MakeShopで楽天やAmazonを運用しながら、自社ECはShopifyで運用する」というマルチプラットフォーム戦略をとっている企業があります。
このケースでは、以下の課題が生じやすいです。
- 在庫データが複数の管理画面に分散し、連携遅延が起きる
- 顧客データが統一されないため、分析が困難になる
- AIサイトリニューアル・ECサイト制作の施策を各プラットフォームで個別対応しなければならず、コストが増加する
運用を効率化するには「統一の基幹システム」を中心に、各プラットフォームをAPI連携させるという構造設計が必須です。
カート機能の可視化:何を計測すべきか
カート機能の実装が正しいかどうかを判断するには、以下の数値を毎週確認してください。
- カートに追加されたユーザー数 vs 実際に購入したユーザー数(カート離脱率)
- セット販売の選択率(実装している場合)
- 割引コード利用率
- 複数決済方法の選択比率
- カート画面での平均滞在時間
もし「カート離脱率が30%以上」なら、カート画面の情報設計を見直すべき段階です。選択肢を削減する、表示情報を最小化する、推奨商品の位置を変更するなど、UI/UX改善の優先度が高まります。
MakeShopとShopifiへの移行を判断するタイミング
「今はMakeShopだが、将来Shopifyに移行すべきか」という判断が難しい企業は、以下のチェックリストを確認してください。
- 月商が500万円を超えており、3年後に1,000万円を超える計画がある
- セット販売、会員割引、サイズ別価格などの複雑な施策を3つ以上導入予定
- 基幹システムとの連携で毎月20時間以上の運用コストをかけている
- AI検索対策やAIレコメンドエンジンを導入したい
- 複数のマーケティングツール(広告プラットフォーム、メールツール、LINE公式など)と連携したい
このうち3つ以上当てはまる企業は、Shopifyへの移行を真摯に検討すべきタイミングです。
カート機能選択後の「落とし穴」と対策
プラットフォーム選択の失敗例として、以下の2パターンがあります。
失敗例1:「Shopifyにしたのに運用コストが増えた」企業
Shopifyを導入したはいいが、基幹システムとの連携設計を事前に詰めていなかった企業では、導入後に予期しない運用コストが発生しています。
例えば、Zapierで自動化を組むにはZapierの月額費用が必要ですし、カスタムコードを実装するには継続的なメンテナンス費用がかかります。さらに、APIの仕様変更に対応するたびに外部パートナーの手を借りることになり、「想定した運用コスト削減が実現しなかった」という落とし穴に陥ります。
対策は「最初の構築段階で、3年間のAPI仕様を先読みし、変更に強い設計にしておく」ことです。
実際の現場では、このポイントで判断が後手に回る企業が多いです。
失敗例2:「MakeShopで成長限界に達した」企業
初期段階はMakeShopで十分と判断していた企業が、月商1,000万円を超えた時点で「セット販売を導入したい」「会員ランク割引を細かく設定したい」という要求が出てきて、外部ツールの導入と管理画面の複雑化が急速に進むパターンです。
このとき、企業は2つの選択肢に迫られます。「複数の外部ツールを組み合わせて対応」か「Shopifyへの移行」です。前者を選ぶと、管理画面の複雑性が増し、運用チームの負荷がかえって増えます。後者を選ぶと、移行中に顧客データの損失やシステムダウンのリスクが生じます。
対策は「成長シナリオを最初に描き、必要な施策が決まった時点で早期にShopifyへ移行する」ことです。月商800万円の段階での移行と、月商2,000万円での移行では、リスクと工数が全く異なります。
AI検索対策とカート機能の関連性
意外かもしれませんが、AI検索対策とカート機能設計は密接に関連しています。
AI検索(ChatGPT、Geminiなどの生成AIが推奨するコンテンツ)では、企業の信頼性と購買体験の質が判定基準になります。つまり、カート機能が複雑で離脱率が高いサイトは「購買体験が悪い」と判定され、AI検索での推奨順位が下がるリスクがあります。
逆に「カート画面がシンプル」「セット販売などの魅力的な施策が組み込まれている」「複数の決済方法が用意されている」というサイトは、AI検索での推奨確度が高まります。
つまり、カート機能の最適化は、単なる「運用効率化」ではなく「AI検索での評価向上」という複合的な価値を生み出すということです。
カート機能と顧客体験設計
プラットフォーム選択が決まったら、次に考えるべきは「顧客がカートに到達するまでの導線」です。多くの企業は、カート機能の最適化だけに注力しがちですが、実際には「商品検索→閲覧→カート追加→決済」という一連のフローの中でカート機能は一部に過ぎません。
よくある誤りは「カート離脱率を下げることに注力するが、商品閲覧ページの離脱率が60%以上ある」という状況です。この場合、カート機能の改善より、商品説明やベネフィット訴求の改善が優先度が高いのです。
つまり「カート機能の最適化は、前工程の導線最適化の後に行うべき改善」という優先順位があるということです。
プラットフォーム選択における最後の判断材料:サポート体制
MakeShopとShopifyの大きな違いとして、サポート体制があります。
MakeShopは日本国内のサポートチームがおり、電話やメールでの問い合わせに対応しています。一方、Shopifyは英語でのサポートが中心で、日本語対応は一部機能に限られます。
このため「トラブルが起きたときに、すぐに日本語で対応してほしい」という企業はMakeShopが向いています。一方「トラブルシューティングは自社で対応できる」「パートナー企業に依存できる」という企業はShopifyでいいでしょう。
カート機能と基幹システムの連携設計
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実際のプラットフォーム構築では「カート機能そのものの選択」より「基幹システムとの連携設計」の方が重要になります。
Shopifyを選んだ企業では、最初の構築段階で以下を設計すべきです。
- 在庫管理システムからのリアルタイム在庫取得
- 注文データの基幹システムへの自動送信
- 会計システムとの連携
- 顧客管理システムとの顧客データ同期
- メールマーケティングツールへの自動配信設定
これらを最初に設計しておかないと、導入後の運用段階で「データが同期されていない」「管理画面が分散している」といった課題が生じ、結局のところ運用負荷が増えてしまいます。
MakeShop、Shopify以外の選択肢の検討
ここまでMakeShopとShopifyの比較をしてきましたが、他のプラットフォーム選択肢も存在します。WooCommerce、BigCommerce、BASE、STORESなどです。
ただし「月商が成長する企業」「複雑な施策を導入する企業」を対象とした場合は、MakeShopとShopifyの二択になることがほとんどです。理由は、他のプラットフォームはカスタマイズ性やAPI連携の自由度が限定的だからです。
つまり「今後、カート機能の複雑化が予想される企業」「AI検索対策やAIレコメンドを導入予定の企業」という条件で判断すると、自動的にShopifyが選ばれることになります。
プラットフォーム移行の実行段階でのリスク管理
MakeShopからShopifyへの移行を決めた企業が最も恐れるのは「移行中のダウンタイムや顧客データの損失」です。
実際の移行では「段階的移行」という手法が取られます。例えば、新規顧客はShopifyで受け付け、既存顧客はMakeShopで対応する、といった並行運用の期間を設けます。この期間中、顧客データの同期ミスや在庫情報の齟齬が起きやすいため、事前の設計が非常に重要になります。
特に注意すべきは「移行中の売上ロスをどう最小化するか」です。移行期間中のサイト表示エラーや決済エラーは、顧客の離脱につながるため、テスト環境での十分な検証が必須です。
まとめ的な視点:カート機能選択の本質
ここまで詳しく説明してきましたが「MakeShopとShopifyで運用負荷が変わる理由」を最も簡潔に言うと、以下のようになります。
MakeShopは「すべてを一元管理する」構造で、初期段階の運用負荷は低い。しかし、成長に伴う複雑な施策が必要になった時点で、外部ツール依存が増え、結果的に管理画面の複雑性が増す。
一方、Shopifyは「最初から複雑性を設計に組み込む」構造で、初期段階の構築コストは高い。しかし、その後の施策追加や外部ツール連携がスムーズで、成長に伴う運用負荷の増加を最小化できる。
つまり「どちらを選ぶかは、将来の成長シナリオと企業の運用体制に依存する」ということです。
カート機能選択で優先すべき判断基準(数値化)
最後に、実務的な判断基準を数値化します。以下のいずれかに当てはまる企業は、Shopifyへの移行を強く推奨します。
- 現在月商500万円以上で、3年後の月商1,000万円以上が確実
- カート機能に実装予定の施策が3つ以上ある
- 基幹システムとの連携ポイントが3つ以上
- GA4でのカート離脱率が25%以上(つまり、入力エラーが頻繁に起きている状況)
- AI検索対策やAIレコメンドの導入を予定している
逆に、以下の企業はMakeShopで十分です。
- 現在月商300万円未満で、3年後も月商1,000万円未満の予想
- カート機能に実装予定の施策が2個以下
- 基幹システムとの連携が1〜2ポイント
- 運用チームにITリテラシーが低い人間が多い
- 日本国内のサポート体制を重視したい
MakeShopとShopify選択に関するよくある質問
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MakeShopからShopifyへの移行で、顧客データはどのように引き継がれますか?
顧客データの引き継ぎは、API連携またはCSVファイルのインポートで行われます。ただし、MakeShopとShopifyのデータ形式には違いがあり、カスタマイズが必要な場合があります。特に「顧客の購買履歴」「会員ランク」などのカスタムフィールドは、事前に詳細な設計が必須です。実際の移行では、テスト環境で十分なデータ検証を行い、本番環境への移行後に不整合がないか確認することが重要です。
Shopifyのカスタマイズに必要なプログラミング知識はどのレベルですか?
Shopifyのカスタマイズには、Liquid(Shopify独自のテンプレート言語)の理解が必要な場合があります。ただし、基本的な機能設定であればプログラミング知識は不要です。複雑なカート機能やレコメンドロジックを実装する場合は、JavaScriptやAPIの知識を持つエンジニアの支援が必要になります。つまり「どのレベルまでカスタマイズするか」で、必要なスキルが決まるということです。
MakeShopで月商1,000万円を超えた場合、Shopifyへの移行は必須ですか?
必須ではありませんが、強く推奨します。理由は、月商1,000万円を超えると「セット販売」「会員割引」「キャンペーン自動化」などの複雑な施策が売上増長の必須要件になるからです。MakeShopでこれらを実装しようとすると、外部ツール依存が増え、運用チームの負荷が急増します。結果的に、IT関連の人件費が増加し、トータルコストはShopifiyへの移行と同程度になることがほとんどです。
移行中の売上ロスを最小化するにはどうすればいいですか?
段階的移行を推奨します。例えば、新規顧客はShopifyで受け付け、既存顧客はMakeShopで対応する、といった並行運用を3ヶ月間行う方法です。この期間中、顧客データの同期ミスや在庫情報の齟齬が起きないよう、自動同期ツールをあらかじめ導入しておくことが重要です。また、移行期間中のサイト表示エラーや決済エラーに備え、24時間体制のサポート体制を整備する必要があります。
Shopifyの月額費用以外に、どのような運用コストがかかりますか?
Shopifyの月額費用は2,900円〜29,000円(プランによる)ですが、これ以外に以下のコストが発生する可能性があります。Zapierなどの自動化ツール(月額1,000円〜)、テーマのカスタマイズ費用(5万〜50万円程度)、APIの外部連携開発費(10万〜100万円以上)などです。つまり「Shopifyの月額費用だけで判断するのではなく、トータルの構築・運用コストを事前に見積もることが重要」ということです。
最終定義
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つまり、MakeShopとShopifiで運用負荷が変わる理由とは、プラットフォームの構造の違いが「運用者の判断負荷」「自動化可能な範囲」「施策の柔軟性」を左右し、成長シナリオに応じて最適な選択が変わるということである。カート機能の選択を誤った企業の共通点は、最初の段階で「3年後の売上目標」「必要な施策」「基幹システムとの連携」を具体的に設計していないことである。
まとめ
MakeShopとShopifyを選択する際の判断基準は、単に「新しさ」や「機能の豊富さ」ではなく、以下の3つで決まります。
第一に、3年後の月商が1,000万円を超えるか否かです。月商1,000万円未満で推移する企業はMakeShop、1,000万円を超える企業はShopifyが適しています。
第二に、カート機能に実装すべき施策が3つ以上あるか否かです。施策が多い企業はShopifiでカート内ロジックを細かく設計することで、長期的な運用負荷を削減できます。
第三に、基幹システムとの連携ポイントの数です。連携が3つ以上必要な企業は、Shopifyのオープンなプラットフォーム設計の方が無難です。
この3つの判断基準で総合的に判断し、最初の段階で正しい選択をすることが、後の運用効率化につながります。
まず確認すべきこと
今、あなたの企業で行うべきことは一つです。
「MakeShopの管理画面で現在月100時間以上を費やしているか、それとも50時間以下か」を確認することです。100時間以上ならShopifyへの移行検討の段階です。その際、基幹システムとの連携設計を最初に整理してから、移行計画を立ててみてください。
お客様の声
名鉄グループ 商品企画部 責任者
月商800万円の段階でMakeShopからShopifyへ移行しました。当初は「運用が複雑になるのではないか」と不安でしたが、最初にカート機能とAPI連携を徹底的に設計したおかげで、むしろ運用負荷が月120時間から30時間に削減されました。さらに、セット販売や会員割引が自動実装されたため、営業施策の展開が劇的に早くなりました。福岡ECサイト株式会社の構造設計がなければ、この成果は出なかったと思います。
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