MakeShop移行でリピート率が落ちる理由と来店習慣設計で判断すべき切り替えタイミングの基準とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
MakeShop移行でリピート率が落ちる理由は何か
MakeShopへの移行は多くのECサイト運営者にとって大きな決断ですが、実行後にリピート率が想定以上に低下するケースが増えています。
カートシステムの変更でリピート率が下がる理由とは、ユーザーの来店習慣が構造化されていないままで移行を進めるために、既存顧客の「購入体験」が変わってしまい、次の来店理由が失われるからです。実際の現場では、このポイントで大きく差がつきます。単なるシステム乗り換えではなく、ユーザーが何度も訪れる理由そのものが設計されていないという問題です。
システム変更の技術的な成功と、ECサイトの売上構造は別の問題です。GA4で分析すると「ユーザーがサイトに来ている」ように見えますが、実は来店習慣が崩れているために、次回購入までの間隔が延びているのです。この変化は数週間後から顕著になります。
リピート率低下とは来店習慣の設計不足が表面化した状態である

来店習慣設計とは、ユーザーが特定のECサイトに繰り返し訪れる理由を構造として組み込むマーケティング理論です。
福岡ECサイト株式会社が支援する企業でも、MakeShop移行時にこの観点を見落とすと、確実にリピート率が低下します。
来店習慣は以下の3つの要素で成立しています。
- 入口商品:ユーザーが最初に来店する理由になる商品やコンテンツ
- ついで買いの仕組み:初回購入後に関連商品を見つけやすい構造
- 定期的な来店理由:セール日程、限定商品、新着通知など繰り返し来店する設計
MakeShop移行では、この3つが同時に崩れることが多いです。旧システムで無意識に成立していた「カテゴリ遷移のしやすさ」「商品比較画面の見やすさ」「購入完了後の次アクション」が、新システムのUIで変わります。すると、ユーザーは来店理由を失い、代わりに楽天やAmazonで購入するようになります。
MakeShop移行でリピート率が下がる5つの具体的な理由
リピート率低下は避けられない問題ではなく、移行前の設計不足から生じます。
以下の5つのポイントで来店習慣が崩れています。
- カートボタンの位置変更による購入心理の変化 旧システムでは直感的だった「カートボタンの位置」や「色」が変わると、ユーザーの購入判断に影響します。Shopify管理画面でコンバージョンフロー分析をしている企業でも、実際には「購入ボタンが見つけにくくなった」という顧客サイドの小さな不快感が蓄積します。この不快感は次の来店を遅延させます。
- 会員情報の引き継ぎ不完全による再登録の手間 MakeShopへの移行時に、既存会員の購入履歴やポイント情報が完全に移行されないと、リピーターは「もう一度登録が必要」と認識します。実際には登録済みでも、ユーザーの心理的な負担感が増えると、来店頻度が落ちます。特に月1回未満の購入ユーザーでこの傾向が顕著です。
- メール配信設定のリセットによる情報接触の減少 旧システムのメール配信設定がMakeShop移行で初期化されると、顧客は「セール情報が来なくなった」と感じます。来店習慣は「外部からのきっかけ」で作られます。メール配信が止まると、来店理由そのものが消滅するのです。GA4ではメール経由の流入が落ちたと表示されますが、これは技術的なトラッキング問題ではなく、情報接触の構造が変わったことを意味します。
- 商品検索・カテゴリ分類の変更による探索時間の増加 MakeShopの検索エンジンやカテゴリ構造がカスタマイズされていないと、ユーザーが「欲しい商品を見つけるのに時間がかかる」という体験になります。購入完了までの時間が長くなると、ユーザーは離脱し、次の来店を先延ばしにします。これは「サイトが使いにくくなった」ではなく、「来店理由の喪失」として機能します。
- リコメンデーション機能の欠如による次の購入までの導線消失 旧システムであった「あなたへのおすすめ」「関連商品」などの機能がMakeShop移行で実装されていないと、購入後の次のアクションが設計されていない状態になります。来店習慣は、1回目の購入から2回目の購入までの「導線設計」で決まります。この導線が消えると、ユーザーは自力で検索するしかなく、その手間が来店間隔を延ばすのです。
これらの5つは全て、技術的には「MakeShop上で実装可能」です。しかし、移行急中やコスト削減を理由に後回しにされることが多く、結果としてリピート率が低下するのです。
来店習慣設計理論でみるMakeShop移行の本質的な課題

福岡ECサイト株式会社では「来店習慣設計」を、売上構造の最下層として位置づけています。ここ、意外と見落とされがちですが重要です。
多くのEC企業の判断誤りは「MakeShop移行=売上が上がる」という仮説を持つことです。実際には、MakeShop自体は「販売機能を提供するツール」にすぎません。売上が上がるかどうかは、その中に「来店習慣が設計されているか」で決まります。
来店習慣の設計には、以下のステップが必要です。
- 現在のリピーター層がなぜ何度も来店しているのかを分析する
- その来店理由が「入口商品」「セール」「新着情報」などのどれに該当するかを分類する
- MakeShop移行時に、その来店理由が損なわれないように事前に設計する
- 移行後も同じ仕組みが機能しているかを2週間ごとに確認する
- リピート率が低下した場合は、来店理由の設計から見直す
多くの企業は「3番目」のステップをスキップして移行を進めます。そして1ヶ月後に「リピート率が下がった」と気づくのです。時すでに遅しの状態では、顧客の習慣の変化(Amazonへのシフト)が既に起きています。
来店習慣が失われると何が起きるか
リピート率低下の先には、さらに大きな問題があります。
ユーザーが1度の来店習慣を失うと、次の来店までの時間が指数関数的に延びます。例えば、月1回のリピーターが「来店理由を見失う」と、その次の来店は2ヶ月後、その次は3ヶ月後という具合に間隔が広がります。その間に競合他社(特にAmazonや楽天)での購入が増え、最終的には「このECサイトでは買わない顧客」へと転換してしまうのです。
つまり、MakeShop移行によるリピート率低下は「一時的な問題」ではなく、「顧客の喪失へのカウントダウン」を意味します。これが変化の本質です。
MakeShop移行でリピート率を維持すべき判断基準は何か
移行すべきかどうか・移行するならいつかを判断する基準を整理します。
リピート率が高い企業こそ移行準備に時間をかけるべき
移行タイミングの判断で最も重要な指標は「現在のリピート率」です。
- リピート率40%以上の企業:移行前に最低3ヶ月の設計期間が必要です。なぜなら、既存顧客の来店習慣が確立されているため、移行によるズレが売上に直結するからです。この場合、MakeShop導入はコスト・工数として3倍見積もるべきです。
- リピート率20~40%の企業:移行準備期間は1~2ヶ月です。この層は来店習慣が完全には固定されていないため、移行のタイミングによっては逆にリピート率が向上する可能性があります。ただし、メール配信設定やカテゴリ設計は事前に設計する必要があります。
- リピート率20%未満の企業:MakeShop移行によるリピート率低下の影響は小さいです。むしろ、移行を機に「新しいUX」「新しいメール配信」を導入することで、リピート率を向上させるチャンスになります。
つまり、売上が大きい企業ほど、移行には時間をかけるべきです。逆に急いで移行すると、その損失は数ヶ月で数百万円単位になります。
移行タイミングの最適な季節と周期
MakeShop移行のタイミングは、来店習慣が「一度リセット」される時期を選ぶべきです。具体的には以下の時期が該当します。
- 年末年始後(1月中旬~2月):顧客の購買周期が自然にリセットされる時期
- GW明け(5月中旬~6月):春夏の商品切り替え時期で新しい習慣が作られやすい
- 夏休み明け(8月下旬~9月):秋冬の商品切り替え時期
逆に避けるべき時期は、ブラックフライデー(11月)やセール期間です。この時期は来店習慣が「セール理由」に集中しているため、移行によるズレが顕著になります。
MakeShop移行前に確認すべき来店習慣の5つの指標
移行を決断する前に、現在のサイトで以下の5つの指標を計測しておきます。これらが移行後も維持できるかどうかで、リピート率低下のリスクが判断できます。
- リピート購入までの平均日数:GA4で「初回購入日」から「2回目購入日」までの日数を集計します。業種にもよりますが、食品・消耗品で14~30日、ファッションで30~60日が目安です。移行後、この数値が20%以上延びたら、来店習慣設計に失敗しています。
- セール期間中のリピート購入率:セール告知を送ったときに、何%のユーザーが購入するかを計測します。この比率が移行後に低下していたら、メール配信の設定か、セール告知ページへの導線が問題です。
- カテゴリ別の平均滞在時間:特定のカテゴリページで、ユーザーが平均何秒滞在しているかを記録します。移行後、この数値が30%以上低下したら、カテゴリページのUI設計に問題があります。
- 関連商品への遷移率:商品詳細ページから「関連商品」「おすすめ商品」へ遷移するユーザーの比率です。移行後にこれが50%以上低下したら、リコメンデーション機能の実装が不十分です。
- メール開封率とクリック率:セール告知メール、新着商品メールの開封率とリンククリック率を移行前後で比較します。配信設定が正しく移行されているかの確認ができます。
これら5つの指標を移行前後で比較することで、「何が原因でリピート率が低下したのか」を特定できます。
MakeShop移行でリピート率を守る事前設計の3つのステップ

リピート率低下を防ぐためには、移行「前」の設計が全てです。以下の3つのステップを、移行予定日の3ヶ月前から開始します。
ステップ1:現在の来店習慣を詳細に分析・可視化する
移行前に、現在のサイトで「なぜユーザーが繰り返し来店しているのか」を徹底的に分析します。
GA4で、以下のセグメントを作成してください。
- 月2回以上購入するユーザー:このグループの来店パターンを調べます
- セール告知メールをクリックして購入したユーザー:セール施策の効果を計測します
- 特定カテゴリを複数回閲覧して購入したユーザー:カテゴリ構造の重要度を判定します
そして、それぞれのグループについて「初訪問から購入までの日数」「1回目購入から2回目購入までの日数」「閲覧したカテゴリ数」を集計します。
例えば、月1回のリピーターの場合、以下のような来店パターンが見えるはずです。
- 毎月1日のセール告知メールを受け取る
- メール配信の翌日にサイトに訪問
- セール対象商品を購入
- 関連商品(ついで買い)も同時に購入
このパターンが見えたら、MakeShop移行時に「セール告知メール」「セール商品ページ」「関連商品の提示」の3つを優先的に設計する対象として明記します。
ステップ2:MakeShop上で現在の来店習慣を再現する設定を事前テストする
ステップ1で分析した来店習慣を、MakeShop上で実現可能かどうかを確認します。
具体的には、MakeShop管理画面で以下を確認してください。
- メール配信設定:現在のシステムで実施している定期メール(セール告知、新着商品、会員向けクーポン)がMakeShopで同じ内容・同じ周期で配信可能か
- カテゴリ・タグ設計:現在のカテゴリ分類がMakeShopで「ユーザーが探しやすい」形で再現可能か
- リコメンデーション機能:MakeShopの標準機能で「関連商品」「あなたへのおすすめ」が実装可能か、それとも追加費用が必要か
- 会員情報の引き継ぎ:既存会員の購入履歴・ポイント情報がどの程度引き継がれるか、引き継げない部分は手動対応が必要か
この確認を「テスト環境」で行うことで、移行時にどこが問題になるかを事前に把握できます。準備段階で差が決まります。
ステップ3:移行後も来店習慣が機能しているかを2週間ごと監視する仕組みを作る
MakeShop移行後の最初の2ヶ月が勝負です。この時期に、来店習慣が正常に機能しているかを2週間ごとにチェックリストで確認してください。
- 前週のリピート購入件数が前々週と比べて±20%以内に納まっているか
- セール告知メールの開封率が移行前の±15%以内か
- 特定カテゴリページの平均滞在時間が移行前と比べて30%以上低下していないか
- 会員の再登録リクエストやサポート問い合わせが増加していないか
- 関連商品ページへのクリック数が減少していないか
この確認を実務で行う場合、Slackに週1回の集計通知を設定して、チーム全体で監視するのが効果的です。数値が基準を外れたら、その週中に原因調査と改善を実施します。
MakeShop移行でよくある失敗パターン
失敗パターン1:「移行=完成」と勘違いして、その後の監視と改善をしない
MakeShop導入完了時点で「プロジェクト終了」と判断し、その後の運用監視を制作会社に任せてしまうケースが多いです。
実際には、移行直後の2ヶ月間が最も重要です。この時期にリピート率低下の兆候が見えても、対応しなければ顧客の習慣はAmazonへシフトしていきます。つまり、MakeShop導入の費用をかけたのに、売上低下という形で帳消しになるのです。
正しい判断は「移行完了=次の改善スタート」です。リピート率が維持されているか、または向上しているかを確認するまで、チーム内での監視を継続すべきです。
失敗パターン2:旧システムの「カテゴリ構造」をそのままMakeShopにコピーして、ユーザーニーズに合わなくなる
旧システムのカテゴリ分類が最適でなかった場合、それをMakeShopにそのままコピーすると、使いやすさが低下することがあります。
例えば、衣料品ECサイトで「メンズ→トップス→Tシャツ」という深い階層構造では、モバイルユーザーは見つけるまでに5タップ必要です。一方、MakeShop移行時に「メンズ」「レディース」から直下に「新着」「セール」「商品タイプ」を並べると、ユーザーは2~3タップで目的商品に到達できます。
移行時にカテゴリ設計を再検討するだけで、ユーザーの滞在時間が1.5倍に増え、購入率が向上するケースもあります。
福岡ECサイト株式会社が支援した事例:月商500万円のファッションECサイト
あるファッションECサイト(月商500万円)がMakeShop移行を検討していました。当初、リピート率は35%でした。
「移行だけで売上が20%上がる」という制作会社の提案に基づき、移行を急いでいましたが、福岡ECサイト株式会社のコンサルで「来店習慣設計」の観点から見直しました。
以下の3つを事前設計しました。
- 既存リピーターの来店パターン分析:分析結果として、毎月第1土曜のセール告知メールをきっかけに来店し、セール対象商品+関連商品を購入していることが判明
- MakeShop管理画面でのセール告知メール設定:既存システムと同じ時間・内容・配信リストで配信できることを確認
- 移行後2ヶ月間の監視体制:Slackに自動通知で「前週のリピート購入件数」が毎週月曜に配信される仕組みを構築
移行直後の1ヶ月は、リピート購入件数が10%低下しましたが、その原因が「会員の再登録手続きの混乱」と特定できたため、即座に「登録案内メール」を再配信しました。その結果、3週間でリピート率は35%に戻り、その後は37%まで向上しました。
このサイトの場合、来店習慣設計をしていなかった場合、リピート率は25%まで低下していたと推定されます。月商500万円に対して、リピート率が10ポイント低下することは、月商50万円の売上喪失を意味します。
MakeShop移行と来店習慣設計の全体像を理解するための比較表
従来のシステム乗り換えと、来店習慣設計を踏まえた移行の違いを整理します。
| 判断軸 | 従来の移行(技術重視) | 来店習慣設計による移行 |
|---|---|---|
| 移行前の準備 | 機能確認・テスト環境構築・データ移行テスト | 来店習慣分析・ユーザーセグメント分析・事前設計・テスト販売 |
| 実行方法 | リリース日を決めて一括切り替え | 段階的移行・既存システムとの並行運用・顧客への予告・サポート体制強化 |
| 移行後の監視 | 不具合報告待ち・問い合わせ対応 | 2週間ごとの来店習慣チェック・リピート率監視・数値低下時の即座改善 |
| 想定される結果 | リピート率10~20%低下・顧客満足度低下・離脱増加 | リピート率維持または向上・顧客満足度保持・移行期間中も売上安定 |
| プロジェクト期間 | 1~2ヶ月(機能実装中心) | 3~4ヶ月(分析・設計・テスト・監視) |
| 総コスト | 制作費のみ(安く見える) | 制作費+コンサル費+移行後運用費(実質的には安い) |
表から分かる通り、短期的なコスト削減を優先すると、結果的に売上低下という形でコストが回収されます。
MakeShop移行でリピート率を確認する4つの判断基準
移行を検討する段階で、以下の4つの判断基準を使って、リスク評価をしてください。
判断基準1:現在のリピート率がいくつ以上なら、移行前の設計期間が必須か
リピート率35%以上:最低3ヶ月の設計期間が必須
この層は既に来店習慣が確立されているため、移行によるズレが直接売上に反映します。3ヶ月かけて設計しても、結果的に売上損失を防ぐため、割に合います。
リピート率20~34%:1~2ヶ月の設計期間で対応可能
この層は来店習慣が部分的に形成されているため、移行時に重点的に守るべきポイントが限定されます。例えば「セール告知メール」「カテゴリ検索」の2つに絞って設計すれば、リスク低減が可能です。
リピート率20%未満:基本設計のみで対応可能
この層は来店習慣がまだ弱いため、むしろ移行を機に「新しいセール施策」「新しいメール配信」を導入して、リピート率を向上させるチャンスです。
判断基準2:移行前後で許容できるリピート率の低下幅はいくつか
低下幅5%以内:クオリティの高い移行
移行後1~2ヶ月の間に、リピート率が5%以内の低下幅なら、来店習慣はほぼ保持されていると判断できます。この場合、その後の運用改善で回復が見込めます。
低下幅5~15%:要注意・即座改善が必要
この低下幅は「来店習慣が部分的に崩れている」ことを示します。直ちに原因特定(メール配信不具合・カテゴリ設計不十分・会員情報未移行など)をして、2週間以内に改善する必要があります。
低下幅15%以上:失敗と判断し、経営判断が必要
この低下幅は「来店習慣が大幅に崩壊している」ことを意味します。月商500万円のサイトで15%の低下は、月商75万円の売上喪失です。この場合、旧システムへのロールバック、または抜本的なUI改善を検討すべきです。
判断基準3:移行タイミングに適した月はいつか
推奨される移行時期:1月下旬~2月、5月下旬~6月
これらの時期は「顧客の購買周期が自然にリセット」される季節です。新年度(1月)や季節切り替え(5月→夏商品開始)のタイミングで、来店習慣の再構築がしやすくなります。
避けるべき時期:11月(ブラックフライデー)、12月(年末セール)
これらの時期は来店習慣が「セール理由」に集中しているため、移行によるズレが顕著になります。移行後にセール告知メールの遅配があった場合、顧客の不信感が一気に高まります。
判断基準4:移行に必要な予算配分は制作費:設計・運用費の比率でいくつが妥当か
制作費:設計・運用費=3:2が目安
例えば、MakeShop導入の総予算が500万円の場合、制作費300万円、設計・運用・監視費200万円という配分です。
予算が「制作費のみ」で設計・運用がない場合、約80%の確率でリピート率が低下します。設計・運用費を削減した結果、売上低下による損失の方が大きくなるケースが多いため、比率としては3:2をお勧めします。
MakeShop移行時のセール・キャンペーン設計の実務フロー
リピート率を守るための移行スケジュール例を、実務フロー形式で示します。
6ヶ月前:来店習慣分析フェーズ
- GA4でリピーター層(月2回以上購入)のセグメント化
- セール告知メール・新着メールのクリック率・購入率を計測
- ユーザーがよく見るカテゴリ・ページを特定
- 旧システムの「来店理由トップ3」を明確化
4ヶ月前:MakeShop事前設計フェーズ
- MakeShop管理画面でセール告知メール設定・テスト配信
- カテゴリ構造の最適化設計
- 会員データ移行の具体的な手順を確認
- テスト環境で段階的な顧客購買フローをシミュレーション
3ヶ月前:テスト販売・修正フェーズ
- 新しいカテゴリ構造を100人の既存会員向けにベータテスト
- フィードバック収集・改善
- Slackに「リピート購入監視」ボットを設定開始
1ヶ月前:顧客予告・スタッフトレーニングフェーズ
- 既存顧客向けに「サイト移行のお知らせ」メール配信
- スタッフ向けのMakeShop操作マニュアル作成
- 移行後1週間のサポート体制(チャット対応24時間など)を確認
移行実行日:段階的切り替えフェーズ
- 新システムをリリース(既存システムは並行運用)
- 既存会員向けに「新システムのログイン案内」を再配信
- サポートチームがSlackで相談対応開始
移行後1~2ヶ月:監視・改善フロー
- 毎週月曜に「リピート購入件数」「セール告知メール開封率」「カテゴリ滞在時間」をSlack通知
- 数値が基準を外れたら、その週中に原因調査と改善
- 2週間ごとに経営層と進捗報告MTG開催
MakeShop移行に関するよくある質問
Q1:MakeShop移行後、リピート率が10%低下しました。この原因はどこにあるか判断できますか?
A:原因は複数考えられますが、優先順位をつけて確認してください。
まず確認すべき順番は以下の通りです。
第1優先:メール配信の状況確認です。セール告知メール・新着商品メールが移行前と同じ周期で配信されているか、GA4でメール経由の流入が移行前と比べて減少していないかを確認します。メール配信が50%以上低下していたら、メール設定の問題が主因です。
第2優先:会員ログイン状況です。移行後に「再登録のお願い」メールが大量に来ていないか、または既存会員が新しいアカウントを作成していないかを確認します。既存会員が重複登録していた場合、本来のリピーターが「新規顧客」として計上される可能性があります。
第3優先:カテゴリページの滞在時間とクリック率です。GA4で「商品詳細ページへの遷移率」が移行前比で30%以上低下していたら、カテゴリ構造またはナビゲーション設計に問題があります。
この3つを順番に確認することで、原因を特定できます。
Q2:移行6ヶ月後から、さらにリピート率が低下し始めました。なぜですか?
A:これは「来店習慣の劣化」が原因です。移行による初期的なダメージから回復したように見えても、その後の運用設計が不十分だと、ユーザーの来店頻度は徐々に低下します。
具体的には、以下の2つのポイントを確認してください。
第1:セール告知メールの頻度と内容が、移行前と比べて変わっていないか。もしセール件数が減っていたら、「来店理由そのもの」が減少しているため、リピーターはAmazonでの購買にシフトしていきます。
第2:新商品追加の頻度と告知方法が、移行前と比べて変わっていないか。MakeShop移行後に新商品登録の手間が増えた場合、無意識に商品更新の頻度が落ちることがあります。この結果、顧客は「このサイトに新しい商品がない」と感じるようになります。
移行6ヶ月後のリピート率低下は、移行の技術的な問題ではなく、その後の「運用設計の弱体化」を示しています。
Q3:MakeShop移行前に、現在のリピート率を診断する方法はありますか?
A:GA4で「コホート分析」を使用して、正確に診断できます。
手順は以下の通りです。
まず、GA4のコホート分析で「1回目の購入から90日以内に2回目の購入をしたユーザー」の割合を計測します。これが実質的なリピート率です。一般的なECサイトの目安は以下の通りです。
- 衣料品・ファッション:20~35%
- 食品・消耗品:40~60%
- 美容・コスメ:35~50%
- 雑貨・インテリア:15~25%
次に、このリピート率が「セール時期」と「非セール時期」でどう変化するかを確認します。セール時期に20%、非セール時期に10%というように大きなズレがあった場合、来店習慣が「セール理由に依存」していることを意味します。このような場合、MakeShop移行時にセール設定を慎重に設計する必要があります。
Q4:リピート率が現在30%ですが、MakeShop移行に踏み切るべきですか?判断基準は何ですか?
A:リピート率30%の場合、移行準備期間1~2ヶ月で移行可能ですが、3つの判断基準で最終判断してください。
判断基準1:月商がいくつか。月商500万円以上のサイトであれば、1~2%のリピート率低下でも月5~10万円の売上影響があるため、慎重に設計すべきです。反対に月商100万円未満であれば、テスト的に移行しても、損失が小さく済みます。
判断基準2:移行急ぐ理由が何か。現在のシステムが「機能面で限界」なのか、それとも「単なるシステム乗り換え」なのかで判断が変わります。機能面での制限(メール配信機能が弱い、多言語対応ができないなど)が理由なら、その機能をMakeShopで実装することでリピート率が向上する可能性があります。
判断基準3:移行前の監視体制を構築できるか。2週間ごとにリピート率をチェックし、低下があれば即座に改善する内部体制が作れるなら、移行リスクは低減できます。反対に「移行後は放置」という体制なら、移行は避けるべきです。
この3つの基準で全て「有利」なら、移行に踏み切る価値があります。
Q5:MakeShop移行と同時にサイトリニューアルも検討しています。2つを同時に進めるべきですか?
A:これは明確に「避けるべき」です。来店習慣の観点から、2つは分離すべきです。
理由は以下の2つです。
第1:MakeShop移行とサイトリニューアルを同時に実行すると、リピート率低下の原因特定ができなくなります。「低下は移行のせいか」「それともリニューアルのせいか」の判断ができず、改善に時間がかかります。
第2:ユーザーの心理として、「新しいシステムに変わった」だけでも不安です。同時にデザインも変わると、既存顧客は「このサイトは大きく変わった」と感じ、来店習慣の放棄を決断する確率が高まります。
正しい進め方は以下の通りです。
- ステップ1:MakeShop移行を完了(リピート率安定まで2ヶ月)
- ステップ2:3ヶ月後にサイトリニューアルを検討
- ステップ3:リニューアル時には「新しいUI」で「来店習慣が向上」するような設計を施す
重要なのはここです。移行で「安定」を取り、その後リニューアルで「改善」を取る、という2段階アプローチが最適です。



