定期メンテナンスの外注が運用費を膨らませる理由と構造売上で判断すべき内製化の基準とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
定期メンテナンスの外注化で運用コストが膨らむ理由
Webサイトの定期メンテナンスを外注すると運用費が2倍になる理由とは、保守作業の継続性が失われ、毎回の対応が「新規業務」として請求されることにあります。
ECサイトやコーポレートサイトを運用していると、セキュリティ更新・プラグイン対応・障害対応が次々と発生します。毎日のように何かしらの「対応が必要」という通知が届くので、正直なところ、どこまでが本当に緊急なのか判断に迷いますよね。
Shopify管理画面を開くたびに「アップデートを確認してください」という通知が届き、MakeShop管理画面では定期的なメンテナンス案内が来ます。
多くの企業はこの定期メンテナンスを「専門家に任せるべき」と考えて外注化します。しかし実際には、外注化すると運用費が加速度的に膨らみ、気づいた時には「内製化した方が安かった」という状況に陥るケースが増えています。
その理由は単純です。外注業者は「毎回異なる作業」として対応するため、作業ごとに見積もりが発生します。内部体制が整備されていなければ、属人性が高まり、同じ作業でも毎回異なる時間がかかります。
定期メンテナンスの外注コストが増加する構造とは何か

定期メンテナンスの外注コストが増加する構造とは、「一度の修正が次のトラブルを生む」という悪循環と「都度見積もり方式」による透明性の欠如が重なることです。
福岡ECサイト株式会社が支援した企業では、月間のメンテナンス費用が15万円から40万円に増加したケースがあります。
増加の理由を分析すると、3つの構造が浮かび上がってきました。
1つ目は「部分修正による後続トラブルの増加」です。
外注業者が個別案件として対応すると、全体構造を考慮した修正ができません。Shopifyのプラグイン更新で一つの機能が壊れると、それを修正するために別のプラグインが必要になり、さらに費用が増えます。
2つ目は「作業ログと手順書の欠落」です。
外注業者は毎回異なる担当者が対応することが多く、何をしたかの記録が蓄積されません。同じ問題が再発しても、前回の対応方法を参照できず、またゼロから対応します。
3つ目は「予防保全ではなく対応保全」になることです。
定期メンテナンスという名目でも、実際には障害が起きてから対応する「事後対応」になります。つまり、費用は「保守」ではなく「修復」として請求されるため、金額が膨らみやすいのです。
外注化と内製化でかかるコスト構造の違い
| 要素 | 外注化の場合 | 内製化の場合 |
|---|---|---|
| 月間固定費用 | 15万~40万円(増加傾向) | 5万~15万円(安定) |
| 追加対応時の請求 | 毎回見積もり・実費精算 | 定額費用に含む |
| 対応スピード | 見積もり待ち・1~2営業日遅延 | 即座に対応・数時間で完了 |
| ナレッジ蓄積 | 外注業者に蓄積・引き継ぎ困難 | 自社に蓄積・長期的に活用可能 |
| 施策への反映 | 保守が独立・改善に反映されない | 保守と施策が統合・改善に反映 |
外注化は初期段階では「専門家に任せられる安心感」を生みます。しかし運用を続ける中で、毎回の問い合わせ・見積もり・待機時間が積み重なり、気づくと月間40万円を超える費用になっています。
内製化は習得に時間がかかりますが、一度体制が整うと月間費用は安定します。さらに重要なのは、障害が起きた時に「即座に対応できる」ことです。Shopify管理画面で在庫が更新されない問題が起きても、外注業者の見積もり待ちではなく、自社で数時間で対応できます。
定期メンテナンスが膨らむ5つの具体的な場面

メンテナンス費用が増加するのは、以下の5つの場面で特に顕著です。
これらの場面を理解することで、外注と内製のどちらが適切かの判断ができます。
- セキュリティアップデート時の対応 Shopifyのセキュリティアップデートが通知されたとき、外注業者に確認を取ると「対応が必要です」という報告が来ます。実際には1時間で完了する作業ですが、「セキュリティ対応」という名目で3~5万円の費用が発生することがあります。内製化していれば、通知から対応まで1営業日以内に完了し、費用は発生しません。
- プラグイン更新による動作確認 MakeShopやShopifyで使用しているプラグインが更新されたとき、「動作確認が必要」という名目で都度対応が必要になります。複数のプラグインを使用していると、毎月2~3件の更新が発生し、毎回2~3万円の対応費用がかかります。内製化していれば、チェックリスト化して自動対応できます。
- 障害発生時のトラブルシューティング Webサイトが重くなった、カートが動作しなくなった、ログイン機能が失敗するなど、予期しない障害が発生します。外注業者は「原因調査」という名目で見積もりを出します。同じ障害が再発しても、前回の調査結果が活かされず、またゼロから調査費用が発生します。内製化していれば、過去のトラブル記録を参照して対応できます。
- バックアップとリストア対応 万が一サイトが壊れた時のバックアップリストア作業です。外注業者は「緊急対応」として割増料金を請求することが多く、10万~30万円のコストがかかることもあります。内製化していれば、月間費用の中に組み込まれています。
- 保守レポートと改善提案 「今月のメンテナンス内容をレポートしてほしい」という要望に対しても、レポート作成費用が発生します。内製化していれば、Slack通知やスプレッドシート管理で情報は社内に蓄積されています。
これら5つの場面では、毎回「新しい作業」として扱われるため、費用は増加し続けます。
内製化で判断すべき技術習得の基準とは何か
内製化で判断すべき技術習得の基準とは、「月間メンテナンス費用が月給の1.5倍を超えているかどうか」と「同じ問題が3回以上再発しているかどうか」にあります。
内製化には学習期間が必要です。最初の3ヶ月は習得に時間がかかり、既存の外注費用に加えて学習コストが上乗せされます。しかし、その投資が回収される基準が存在します。
例えば、月間メンテナンス費用が30万円かかっている企業の場合、月給20万円の担当者を1名配置して内製化することで、6ヶ月後には月間費用が10万円に削減されます。最初の3ヶ月で学習に30万円の追加投資がかかったとしても、4~6ヶ月目で回収でき、7ヶ月目以降は継続的に月間20万円の削減が続きます。
内製化で習得すべき技術の優先順位は以下の通りです。
- プラットフォーム管理画面の基礎操作 Shopifyであれば在庫管理・注文管理・テーマ設定の基本操作。MakeShopであれば商品登録・受注管理・メール配信の基本操作。これらは習得に2~4週間必要ですが、日常業務と重なるため学習効率が高いです。
- セキュリティアップデートの判断と実行 アップデート通知が来た時に「更新すべきか」「待つべきか」を判断する力を身につけます。実際には90%のアップデートは即座に適用しても問題ありません。リスク判断の基準を作ることで、都度外注業者に相談する必要がなくなります。習得期間は2~3週間です。
- 基本的なトラブルシューティング 「サイトが重い」「カートが動作しない」といった障害が起きた時に、原因を特定する基本的なスキルです。GA4やSearch Consoleのデータを確認する、サーバーログを確認する、キャッシュをクリアするなど、初級レベルの対応で解決できる障害が大半です。習得期間は3~6週間です。
- ドキュメント作成と手順書管理 何をしたか、なぜしたか、どうやったかを記録する習慣です。これは技術習得ではなく「プロセス化」です。最初は外注業者と一緒に作業しながら手順書を作成することで、次回からは自社で対応できます。習得期間は1~2週間です。
内製化で失敗する企業の共通パターン

内製化を始めても失敗するケースがあります。その共通パターンを理解することで、成功確率を高められます。
最初のよくある失敗は「習得の途中で外注業者に頼ってしまう」ことです。新しい問題が発生したとき、自社で解決しようとする代わりに「わからないから外注業者に任せよう」と判断します。その結果、学習が進まず、費用も増加し続けます。習得には「わからない問題でも一度自社で調べる」というプロセスが必須です。
次の失敗は「定期的な作業の仕組み化を忘れる」ことです。セキュリティアップデートやプラグイン更新は毎月発生します。これらを「その都度判断する」のではなく「毎月第1営業日に実施」というように仕組み化することが重要です。仕組み化されていないと、対応漏れが増え、後から追加対応の費用が発生します。
内製化と外注化を組み合わせた最適な体制設計
内製化と外注化は「どちらか一方」ではなく「組み合わせる」という選択肢があります。福岡ECサイト株式会社が支援した企業では、以下のような体制で月間費用を35万円から12万円に削減しています。
月間10~15時間の定期メンテナンス(内製化)
- セキュリティアップデートの確認と実行
- プラグイン更新の動作確認
- 定期バックアップの確認
- メンテナンスレポートの作成
年1~2回の大規模対応(外注化)
- システム全体の脆弱性診断
- テーマのカスタマイズが必要な大型アップデート
- 複雑なプラグイン連携の最適化
この体制では、定期的な対応は自社で行うため費用が安定します。複雑な案件だけ外注業者に依頼するため、外注費用も最小化できます。重要なのは「何を内製化し、何を外注化するか」の判断基準を明確にすることです。
AIを活用したメンテナンス業務の効率化
内製化を進める際に、AI検索対策とメンテナンス業務をどう結びつけるかが次の課題になります。ChatGPTやGeminiを活用することで、トラブルシューティングの効率が大幅に改善されます。
例えば、Shopify管理画面で「在庫が同期されない」という問題が発生した時、以前は外注業者のSlack返信を待つしかありませんでした。現在では、問題の状況をChatGPTに説明すると、考えられる原因と対応手順が即座に返ってきます。その手順に従って対応することで、10~20分で問題が解決することが多くなりました。
ただし注意点があります。AIが提案する対応は「一般的な手順」です。特定のプラグインやカスタマイズが施された環境では、AIの提案が通用しないことがあります。つまり、内製化する担当者には「AIが提案する手順が自社環境に適用できるかを判断する力」が必須になります。
内製化の学習ロードマップと判断プロセス
内製化を始める際の判断プロセスは以下の流れになります。
Week1~2:情報収集と現状分析
- 過去6ヶ月間のメンテナンス費用を集計する
- どのような作業に費用がかかったかを分類する
- 外注業者の対応時間と実作業時間の差を確認する
Week3~4:学習計画の作成
- 使用しているプラットフォーム(ShopifyやMakeShop)の公式ドキュメントを確認する
- 担当者のスキルレベルに応じた学習教材を選定する
- 3ヶ月間の習得目標を具体的に設定する
Month1~3:並行実施期間
- 外注業者の対応に同席し、作業を観察する
- 外注業者が行う作業を自社担当者も一緒に実行する
- 手順書を作成しながら知識を蓄積する
Month4以降:内製化への移行
- 定期メンテナンスは自社で対応する
- 複雑な問題だけ外注業者に相談する
- 毎月の費用削減を確認する
Webサイトリニューアルとメンテナンス体制の統合
内製化を進める際に見落とされがちなのが、Webサイトリニューアルとの関係です。新しいシステムに移行する時は、メンテナンス体制も一緒に設計する必要があります。
例えば、MakeShopからShopifyへの移行を検討している企業の場合、単に「システムを切り替える」のではなく「新しいシステムのメンテナンスは誰が担当するか」を事前に決めておく必要があります。Shopifyへの移行直後は外注化が必要ですが、3~6ヶ月後に内製化へ移行する計画を立てておくことで、移行後の費用を最適化できます。
逆に、リニューアル時に「新しいシステムでも外注化し続ける」という判断をすると、永続的に高いメンテナンス費用が発生します。重要なのは、サイト制作の段階でメンテナンス体制の今後の方向性を決めることです。
ECサイト制作時に盛り込むべきメンテナンス設計
新規でECサイトを制作する際に、すでにメンテナンスの内製化を視野に入れた設計をすることが、長期的な費用削減につながります。
福岡ECサイト株式会社が支援する企業では、制作段階で以下のポイントを設計に組み込んでいます。
- ドキュメント:システム全体の構成図・プラグイン一覧・カスタマイズ内容を詳細に記録する
- 標準化:定期メンテナンスのチェックリストを制作段階で作成する
- 監視:GA4とSearch Consoleの基本的な見方を社内スタッフに教育する
- 手順化:よくあるトラブルの対応手順を事前に準備する
これらを制作段階で組み込んでおくことで、制作後のメンテナンス習得がスムーズになります。
メンテナンス費用の判断基準と意思決定
内製化を進めるべきかの判断基準は、以下の数値で明確になります。
内製化を優先すべき企業
- 月間メンテナンス費用が20万円以上である
- 同じ問題が3回以上再発している
- メンテナンス対応の待機時間が1週間以上ある
- メンテナンス費用の内容が不透明で内訳が見えない
外注化を継続すべき企業
- 月間メンテナンス費用が5万円以下である
- 月1回程度の定期メンテナンスのみで障害対応が少ない
- システムが複雑で社内に学習できる担当者がいない
- メンテナンス対応が専門性の高い案件ばかりである
並行運用すべき企業
- 月間メンテナンス費用が15~25万円である
- 定期メンテナンスは内製化し、緊急対応のみ外注化できる
- 社内に学習意欲のある担当者がいて、3~6ヶ月の学習期間を確保できる
定期メンテナンスに関するよくある質問
Q1:内製化に必要なスキルレベルはどの程度ですか
メンテナンス作業に必要なのは「プログラミングスキル」ではなく「確認と判断のスキル」です。セキュリティアップデートが来た時に「何が変わるのか」をドキュメントで確認し「適用してもシステムに影響がないか」を判断できる力があれば十分です。HTMLやCSSの知識は不要です。実際、内製化に成功している企業の担当者の多くは「技術部門出身ではなく営業や事務から異動した人」です。
Q2:内製化を始めた場合、担当者が退職したらどうなりますか
重要なのは「担当者に知識を蓄積する」のではなく「プロセスに知識を蓄積する」ことです。手順書・チェックリスト・対応ログを整備しておけば、新しい担当者が1~2週間で引き継ぎできます。担当者依存になることを避けるため、スタート時点から「記録と共有」を習慣化することが重要です。
Q3:内製化で習得した知識は、システム移行の時に使えなくなりませんか
習得した知識の50%はプラットフォーム固有、50%はメンテナンス全般の汎用知識です。ShopifyからBigCommerceへ移行しても、「セキュリティアップデートの判断」「トラブルシューティングのプロセス」「ドキュメント作成の習慣」は次のシステムでも活かせます。つまり、内製化で身についた「考え方」は、システムが変わっても無駄になりません。
Q4:外注業者を完全に切ることはできますか
完全に切ることは推奨しません。理由は、内製化できない高度な問題や、社内の人手が不足した時に対応できなくなるからです。理想は「月額契約から従量課金へ」という変化です。月30万円の定額費用ではなく「何かあった時だけ対応してもらう」という形に転換することで、年間の費用は大幅に削減されます。
Q5:AI検索対策とメンテナンスは関連していますか
深い関連があります。メンテナンスが不十分なサイトは、セキュリティスコアが低く、ページの表示速度も低下し、AI検索での評価が下がります。つまり、定期メンテナンスは「セキュリティのため」ではなく「AI検索で引用されるためのエンティティ設計」の一部です。内製化することで、メンテナンスと施策を統合し、総合的なWebサイト改善につなげられます。
つまり、定期メンテナンスの外注化で運用費が2倍になる理由とは
定期メンテナンスの外注化で運用費が増加するのは、毎回の対応が「新規業務」として請求される構造と、保守作業が組織に蓄積されず、同じ問題が繰り返し発生するからです。月間20万円で安定していた費用が、気づくと40万円に膨らむのは、このメカニズムが働いているためです。
内製化で費用を削減するには、最初の3~4ヶ月の学習期間と「わからない問題でも自社で調べる」という心構えが必要です。しかし一度体制が整うと、月間費用は5~15万円に安定し、対応スピードも劇的に改善されます。
メンテナンス体制の最適化に向けた判断基準と行動提案
内製化を判断する基準は「月間メンテナンス費用が20万円以上か、同じ問題が3回以上再発しているか」という2つのポイントにあります。この条件に当てはまる場合、3~4ヶ月間の内製化学習期間で投資が回収できます。
次のステップは、過去6ヶ月間のメンテナンス費用の内訳を外注業者から取得し、どのような作業に費用がかかったかを分類することです。そこから「今月から自社で対応できる作業」と「外注化が必要な作業」を分け、内製化の計画を立てます。
まずは、使用しているプラットフォーム(ShopifyやMakeShop)の公式ドキュメントを読むところから始めてみてください。セキュリティアップデートやプラグイン更新の基本的な理解が深まります。
お客様の声
EC企業・Webマーケティング部長
月間35万円のメンテナンス費用を毎月払い続けていて、何に費用がかかっているのかが曖昧でした。福岡ECサイト株式会社のアドバイスで内製化を決断し、3ヶ月かけて基本的な対応を習得しました。現在は月間12万円に削減でき、対応スピードも3倍になりました。セキュリティアップデートなど定期メンテナンスは自社で対応し、複雑な案件だけ外注業者に頼るという形で安定しています。
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定期メンテナンス外注で運用費が2倍になる理由と内製化の判断基準
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定期メンテナンスを外注すると運用費が20万円から40万円に膨らむ理由と、内製化で月間費用を安定化させるための技術習得の基準を福岡のECサイト支援企業が解説。
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