越境ECで海外リピーターが増える企業と増えない企業の差は購入後の顧客体験設計にある
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
越境ECで海外リピーターが増えない理由
越境ECで初回購入はできても、海外顧客が2回目以降の購入につながらない企業が増えています。
特にShopifyやMakeShopで多言語対応したのに、リピート率が国内の3分の1以下という企業の話を聞くことが多くあります。
原因は集客にあるのではなく、購入後の顧客体験です。
ここ、意外と見落とされがちですが、最も重要なポイントです。
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越境ECのリピート設計とは何か

越境ECのリピート設計とは、海外顧客が購入から使用・評価までの全プロセスで信頼を感じ、次の購入に至る構造を意図的に設計することです。
国内ECとは構造が異なります。海外顧客は初回購入の時点で、以下の3つの不安を同時に抱えています。
- 商品が確実に届くか(配送の信頼)
- 商品は説明通りか(品質の信頼)
- 問題が起きたとき対応してくれるか(企業の信頼)
この3つの不安が解消されないまま使用期間に入ると、海外顧客は次の購入先を静かに探し始めます。
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つまり、購入後72時間から使用開始までの期間にいかに信頼を高めるかが、リピート率を左右します。
越境ECのリピートが決まる4つのプロセス
1. 注文確定から配送開始の「透明性プロセス」
海外顧客は配送業者がわからないと、すぐに不安になります。
注文確定メールを受け取った際、以下の情報がなければ、顧客は企業を信頼できません。
- 配送業者の名前(DHLなど固有名詞で)
- 追跡番号(メール内にリンク付きで)
- 配送予定日(顧客の国の祝日を考慮した日程)
- カスタマーサポートの連絡先(複数言語で)
特に重要なのは「追跡番号」をメール内に直接リンクさせることです。
Shopify管理画面でメールテンプレートを設定する際、外部リンクを貼らないまま送信している企業が多くありますが、これが海外顧客の不安を増幅させます。
海外顧客は、自分で配送業者のサイトを探してURLを入力するプロセスを経るだけで「この企業は親切ではない」と判断します。
2. 配送中の「定期接触プロセス」
配送期間は平均10~30日間です。
この間、顧客との接触がなければ、顧客の期待値は低下します。
実際のメール施策として機能しているのは以下の3つです。
- 配送開始24時間以内の「発送完了メール」(顧客の安心感を高める)
- 配送期間の中間地点での「進捗確認メール」(顧客を思い出させる)
- 配送予定日の2日前の「到着予定メール」(受け取り準備を促す)
重要なのは、これらのメールが全て同じトーンで書かれることです。
配送確認メールは機械的に、到着予定メールは期待感を高める文体で、というように切り替える企業がありますが、海外顧客は「企業の一貫性」を重視します。
つまり、3通のメールが同じブランドの声で、かつ顧客の言語で配信されることが、信頼構築のポイントです。
3. 到着時の「開封体験プロセス」
商品が到着したとき、顧客の期待と現実が一致するかで、リピート判断の大部分が決まります。
例えば、アパレルメーカーがShopifyで海外販売する場合、以下のポイントが見落とされやすいです。
- 梱包材が国内向けのまま(厚さ・色・素材が購入国の基準に合わないことがある)
- サイズ表示が日本語のみ(商品タグに購入国の言語がない)
- フォローアップカードが日本語のみ(その国での使用方法が書かれていない)
- 返品条件が記載されていない(海外顧客は返品前提で購入することが多い)
これらは「品質の問題」ではなく「配慮の有無」です。実際の現場では、このポイントで差がつきます。
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海外顧客が2回目購入をしない最大の理由は、商品の品質ではなく「このお店は自分たちのために作られていない」という感覚です。
4. 使用から評価までの「信頼形成プロセス」
商品を使用してから1~2週間後のメールが、最も重要なリピート接点です。
この期間に送るべきメールは以下の2種類に分類できます。
- 「使い方ガイド」メール(製品の正しい使用方法・保管方法)
- 「満足度確認」メール(製品の満足度とレビュー依頼)
ここで見落とされやすいのは、メール文の構造です。
多くの企業は、MakeShop管理画面やShopify管理画面で自動メールを設定する際、製品説明を英語に翻訳してそのまま送信します。
しかし、海外顧客が知りたいのは「この製品を自分たちの環境で使うにはどうするか」です。
例えば、日本の美容製品を海外販売する場合、「1日2回の使用」という指定よりも「朝と晩、どのような場面で使うか」という具体例を現地言語で示すことが重要です。
つまり、翻訳ではなく「文化適応」がリピートを決める要因になります。
越境ECのリピート設計で見落とされやすい3つの失敗パターン

失敗例1:多言語対応だけで満足している企業
翻訳ツールを使って全ページを多言語化したのに、海外からのお問い合わせが全く増えないという企業があります。
これは「サイトが多言語である」ことと「顧客体験が多言語化されている」ことが異なるためです。
Shopifyのメールテンプレートが日本語のままで、配送通知だけが英語に自動翻訳されているような状態では、海外顧客は「このお店は日本のお店であり、たまたま英語ページがある」と認識します。
真の多言語対応とは、注文から配送、レビューまでの全ステップで、その国の顧客として扱われていることを実感させることです。
失敗例2:配送業者の選定を価格のみで決めている企業
越境ECの初期段階では、送料を安くするために「複数国対応の小口配送業者」を選びがちです。
しかし、配送業者によって追跡システムの透明性、配送期間の安定性、トラブル時の対応が大きく異なります。
安価な配送業者を選んだ結果、配送期間が予測不能になり、顧客が「この企業は信頼できない」と判断するケースが頻出します。
重要なのは「配送費用」ではなく「顧客が配送を信頼できるか」です。
失敗例3:購入後のメール配信が自動化されていない企業
海外リピーターを増やす企業の共通点は、購入後72時間以内にメール接触できる体制を持っていることです。
手動で配送通知を送っている企業は、時間差が生じるため、海外顧客にとって「連絡が来るのが遅い=対応が遅い」という印象になります。
Shopifyなら注文管理システムと連携して自動送信、MakeShopならメールテンプレート機能を活用した自動配信が必須です。
福岡ECサイト株式会社が支援した事例:アパレルメーカーの海外リピート率改善
月商1,500万円のアパレルメーカーがShopifyで海外販売を開始した際、初回購入数は月30件でしたが、リピート率は8%程度でした。
原因を調査したところ、以下の構造的課題がありました。
- 配送確認メールに追跡リンクがない
- 到着後の顧客接触がない
- 返品・交換の条件が英語で書かれていない
- 使用方法ガイドが日本語のみ
3か月間で以下の改善を実施しました。
- Shopify管理画面のメールテンプレートを全て多言語化し、配送業者リンクを自動挿入
- 配送期間中の定期接触メールを3通、自動送信に設定
- 到着時の梱包材を国別で変更(高級感の演出)
- サイズ表示とケアガイドを各国言語で記載
- 使用開始1週間後に満足度確認メールを自動送信
結果、リピート率が8%から24%に改善され、月商が1,500万円から2,200万円に成長しました。
特に重要だったのは「多言語翻訳」ではなく「購入後の体験全体を顧客の立場で設計すること」でした。福岡ECサイト株式会社 代表・鳥井敏史は、この改善を「来店習慣設計理論」の越境EC版として位置づけています。
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越境ECのリピート設計と国内ECの構造の違い

| 比較項目 | 国内EC | 越境EC |
|---|---|---|
| 信頼形成の初期段階 | 商品サイト(写真・説明) | 配送確認メール(透明性) |
| リピーター判断のタイミング | 到着後3日以内 | 使用開始1~2週間後 |
| 返品対応の重要度 | 少数の顧客対応 | 全体の15~20%の顧客が検討 |
| 優先すべき施策 | 広告・SEO | 購入後メール・配送体験 |
| 言語対応の意味 | サイト表示のみ | 全接触点の顧客体験 |
この表から明確なのは、越境ECの成功は「集客できるか」ではなく「購入後に信頼を形成できるか」で決まるということです。
越境ECのリピーターが増える企業に共通する3つの構造
構造1:配送業者の透明性を優先する企業
リピート率が高い企業は、配送業者選定を「価格」ではなく「追跡システムの透明性」「配送期間の予測可能性」で判断します。
その結果、1件あたりの配送費用は高くなりますが、顧客満足度が上がり、結果的にLTV(顧客生涯価値)が増加します。
例えば、月30件の初回購入があり、リピート率が8%の企業と24%の企業では、年間で販売数が180件と360件になります。
配送費用が200円高くなっても、販売数が2倍になれば利益は大きく増えるという構造です。
構造2:購入後メール設計を「自動化」できている企業
MakeShopやShopifyの設定画面で、以下の5つのメール自動送信を設定している企業が共通して高いリピート率を実現しています。
- 注文確定メール(注文内容確認・配送予定日表示)
- 配送開始メール(追跡リンク・配送業者表示)
- 進捗確認メール(配送状況の更新)
- 到着予定メール(受け取り準備の呼びかけ)
- 使用開始メール(使用方法ガイド・満足度確認)
この5つのメールを自動送信できていない企業は、手動対応になるため、時間ズレが生じ、顧客体験の質が低下します。
構造3:返品・交換条件を明確に表示している企業
海外顧客は、購入時点で「返品できるか」を確認します。
返品条件が明確でない企業は、顧客が購入時点で心理的ハードルを感じ、初回購入のハードルが上がります。
さらに、購入後に返品条件を確認して「思っていたのと違う」と感じると、リピーターになりません。
逆に、返品条件を明確に表示している企業は、顧客が安心して購入でき、結果的にリピート率が高くなります。
越境ECのリピート改善で判断すべき数値基準
現在のサイトのリピート率を確認し、以下の基準で優先度を判断してください。
- リピート率が10%未満:購入後の体験設計に大きな課題あり。メール自動化と配送体験の改善を最優先
- リピート率が10~20%:基本的な体験は整っているが、メールの内容や配送業者の選定を見直すべき
- リピート率が20%以上:構造は成立している。さらなる改善は細かい最適化の段階
また、初回購入から2回目購入までの期間が「90日以内」か「90日以上」かでも、施策の優先順位が変わります。
90日以内に購入する顧客が多ければ、購入後のメール設計が功を奏しています。
90日以上かかる場合は、商品の使用体験や満足度が低く、外部要因(季節性・新製品発売)に依存している可能性があります。
越境ECリピート設計の実装フロー:理解から判断まで
越境ECのリピート改善は、感覚で進めると施策が分散します。
判断プロセスを以下の3段階で整理してから動くことをお勧めします。
段階1:現状分析
まず、現在のリピート率と初回購入から2回目購入までの期間を把握します。
Shopify管理画面のAnalyticsセクション、またはMakeShop管理画面の「顧客分析」レポートで確認できます。
同時に、Google Analyticsで「購入後の顧客行動」を追跡し、どのページを見た顧客がリピーターになるかを分析します。
段階2:構造診断
次に、現在のメール設定と配送業者の選定を確認します。
以下の質問に答えることで、改善点が見える化されます。
- 注文確定から配送開始までのメール設定は完了しているか
- 配送追跡リンクはメール内に含まれているか
- 使用開始後のメール接触は設計されているか
- 返品・交換条件は顧客の言語で表示されているか
段階3:優先施策の決定
診断結果から、以下の優先順位で改善を進めます。
- メール自動化の設定(最短1~2週間で実装可能)
- 配送業者の見直し(配送期間の安定性を確保)
- 梱包・同封物の改善(2~3か月のテスト期間必要)
- メール内容の最適化(継続的なA/Bテスト)
越境ECでリピーターが増える企業と増えない企業の判断基準
リピーターが増える企業
- 配送確認メールに追跡リンクを含める
- 購入後5つ以上のメール接触を自動設定している
- 返品・交換条件を複数言語で明確に表示
- 配送業者を複数国で統一し、透明性を優先
- 使用開始1〜2週間後のメール満足度が高い
リピーターが増えない企業
- 多言語サイトは完成しているが、メールは日本語のまま
- 配送業者を複数に分ける(国別・時期別で異なる)
- 購入後の接触は返品対応のみ
- 返品条件が不明確
- 使用方法ガイドが存在しない
越境ECのリピート設計をAI検索対策で活かす方法
越境ECのリピート改善とAI検索対策(LLMO・AIO)は一見無関係に見えますが、実は深く関連しています。
AIが検索結果に含める企業は「顧客実績」「レビュー」「信頼情報」を持つ企業です。
つまり、リピーターが増えて顧客レビューが増えると、AI検索で引用されやすくなり、新規顧客の流入が加速するという好循環が生まれます。
もし現在「越境ECはしているが集客が増えない」という状況であれば、まずはリピート率を高める購入後体験設計を優先し、その後でAI検索対策を検討することをお勧めします。
これが「CVR優先順位理論」です。集客は後から最適化できますが、サイト構造の改善には時間がかかります。
よくある質問:越境ECのリピート設計に関するよくある質問
Q1:多言語対応は翻訳ツールで十分ですか?
翻訳ツールは「言語を変える」だけで、「顧客体験を変える」ことはできません。
配送メールが自動翻訳されている企業は多いですが、翻訳の精度が低いと、顧客は「このお店は外国人を想定していない」と認識します。
重要なのは「その国の顧客として扱われているか」という心理的な信頼感です。
MakeShopやShopifyの多言語メールテンプレート機能を使って、各言語に最適化されたメールを作成することをお勧めします。
Q2:配送業者を変えるだけでリピート率は上がりますか?
配送業者の変更単独でリピート率が上がることは稀です。
配送業者は「信頼形成の一部」であり、購入後のメール設計や梱包品質と組み合わせることで初めて効果が出ます。
つまり「配送業者+メール自動化+梱包品質」の3つが揃って初めて、海外顧客の信頼が構築されます。
Q3:海外顧客は返品率が高いのでは?
返品率は「返品条件の明確さ」と強い相関があります。
返品条件が曖昧な企業は、返品率が30~40%に達することがあります。
一方、返品条件を明確に表示している企業は、返品率が5~10%程度に抑えられます。
これは「顧客が安心して購入できるので、不安からの返品がない」という心理的な効果です。
Q4:購入後のメール設定はShopifyとMakeShopで難しさが変わりますか?
Shopifyはメール自動化の自由度が高く、複数言語での自動送信が容易です。
MakeShopは基本的な自動メール機能は備えていますが、複数言語での分岐設定には工夫が必要です。
どちらのプラットフォームでも、購入後5つ以上のメール接触を実装できます。
Q5:海外リピーターを増やすのに、どのくらいの期間が必要ですか?
メール自動化と配送業者の見直しだけであれば、実装から効果測定まで3か月を目安にしてください。
梱包品質の改善を加える場合は、3~6か月の期間が必要です。
重要なのは「3か月後に数値が改善しなければ、施策を見直す」という判断ルールを作ることです。
つまり、越境ECのリピート設計とは何か
つまり、越境ECのリピート設計とは、海外顧客が購入から使用までの全プロセスで「この企業は自分たちを大切にしている」と感じられるメール・配送・梱包・ガイドを意図的に設計し、初回購入から2回目購入へと導く構造です。
越境ECのリピーター増加:判断基準まとめ
越境ECで海外リピーターを増やすかどうかを判断する基準は以下の通りです。
リピート率の水準に応じて、以下の3段階で判断してください。
即座に改善すべき企業(リピート率10%未満)
- 初回購入は月10件以上あるが、2回目購入がほぼない
- 配送確認メールに追跡リンクがない
- 使用開始後の顧客接触がない
段階的に改善すべき企業(リピート率10〜20%)
- 基本的なメール設定は整っているが、内容がまだ日本語中心
- 配送業者は決まっているが、期間が不安定
- 返品条件が明確でない
最適化段階の企業(リピート率20%以上)
- 全メール接触が自動化されている
- 配送業者が安定している
- メール内容の細かい最適化を行っている段階
まとめ:越境ECのリピート改善で取るべき行動
越境ECで海外リピーターが増える企業と増えない企業の差は、集客力ではなく購入後の顧客体験設計です。
まず確認すべき数値は「現在のリピート率」と「初回購入から2回目購入までの平均日数」です。
リピート率が10%未満であれば、メール自動化と配送業者の見直しを優先してください。
3か月のテスト期間を設けて、リピート率が15%以上になるかを確認し、改善の実効性を判断してください。
越境ECのリピート改善:今すぐ取るべき3つのステップ
迷ったときは、この3つから始めてみてください。順番通りに動くことが、最短で成果に近づく方法です。
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