越境ECのインフルエンサー施策が売上に繋がらない理由と来店習慣設計で判断すべき基準とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
越境ECでインフルエンサー起用しても売上が伸びない理由
越境ECで海外展開する企業が直面する課題の一つに「インフルエンサーマーケティングの失敗」があります。SNSフォロワー数が多いインフルエンサーを起用したのに、売上につながらない。むしろ広告費だけが増えて利益が減る。こういった状況に陥っている企業は少なくありません。
問題は、インフルエンサーの「フォロワー数」や「エンゲージメント率」といった数値だけを見て判断していることです。その地域の購買文化・信頼構造・来店習慣を理解せずに、日本国内と同じ施策を展開すれば上手くいくはずだと考えてしまいます。
越境ECにおいて、インフルエンサー起用が失敗する根本原因は「その地域の人は何を基準に商品を選ぶのか」という文化的背景を設計していないことにあります。
文化適応設計とは何か

文化適応設計とは、ターゲット地域の購買文化に合わせてマーケティングを現地化する設計手法です。
文化適応設計とは、ターゲット地域の購買文化・信頼構造・来店習慣を理解した上で、マーケティング施策を現地化する設計手法です。 単なる言語翻訳ではなく、その地域の人が「誰を信頼するのか」「どのチャネルで購入するのか」「何が購買のトリガーになるのか」を構造として組み込むことを意味します。
文化適応設計は、以下の3つの要素で構成されます。①購買信頼構造(その地域で信頼される情報源・レビュー・第三者証明がどこに存在するか)②来店習慣設計(その地域のユーザーが習慣的に利用するプラットフォーム・SNS・決済方法は何か)③ベネフィット解釈(日本での商品の売り方がそのまま通用するか、現地のニーズに合わせた訴求が必要か)
越境ECでインフルエンサー施策が失敗する5つの構造
インフルエンサー施策の失敗は、5つの構造的な問題が原因です。
インフルエンサーマーケティングの失敗パターンは、実は5つの構造的な課題に分類できます。 それぞれを理解することで、失敗を防ぎ、成功の確度を高めることができます。
1. 信頼源の地域差を無視している
日本国内では、有名なインフルエンサーの推奨は一定の購買力を持ちます。しかし海外では地域によって「信頼される情報源」が全く異なります。
例えば、東南アジアではローカルコミュニティの中での「口コミ」の価値が非常に高く、フォロワー数100万人の有名人よりも、地域内で信頼される医師や専門家の推奨が購買に直結します。アメリカではAmazonレビューが信頼の中心であり、インスタグラムの投稿だけでは購買に至りません。中国ではTikTok(抖音)での「ライブコマース」が決済まで完結する習慣が出来上がっていて、静止画投稿型のインスタグラムマーケティングは機能しません。
福岡ECサイト株式会社が支援した事例でも、東南アジア向けのスキンケア製品を扱うECサイトが、インスタグラムのインフルエンサーに月100万円の予算を投じていました。 地域の薬剤師やエステティシャンのSNS推奨に予算をシフトさせたところ、購買単価が2.5倍に跳ね上がりました。 問題は「誰が推奨するか」ではなく「その地域で誰が信頼されるのか」という構造を見落としていたのです。
判断基準としては、ターゲット地域でインフルエンサー投稿に対するコンバージョン率が1%未満の場合、信頼源の設計から見直すべき段階です。
2. 購買導線がプラットフォーム依存になっている
インフルエンサーの投稿を見た見込み客が、実際にどこで商品を購入するのか。この導線設計が欠けている企業が多いです。
日本国内では、インスタグラムの投稿から自社ECサイトへ誘導→購入というフローが一般的です。しかし海外では事情が異なります。ブラジルではWhatsAppでの直接購入が主流で、ECサイトを経由する習慣がありません。インドではInstagramの投稿からWhatsApp Business経由での問い合わせ→銀行振込という非常にアナログな導線が成立しています。
インフルエンサーの投稿がいくらバズっても、その後の購買導線がその地域の習慣に合っていなければ、買いたい人も買えません。Shopify管理画面でアクセス解析を見ると「外部からの流入は多いが、カート追加率が極端に低い」というパターンがここに当てはまります。
つまり、インフルエンサー施策を設計する段階で、同時に「その地域のユーザーはどのチャネルで購入するのか」「どの決済方法を使うのか」という来店習慣の設計を並行して行う必要があります。
導線改善の判断基準は「インフルエンサア投稿からのクリック数に対して、実際の購入に至る割合が10%以下」の場合、導線の現地化が必須です。
3. 商品訴求が文化的ニーズと乖離している
インフルエンサーが商品を推奨する時に使う言葉や視点が、その地域のニーズと合致していない場合、高い購買率は期待できません。
例えば、日本では「時短」「簡単」というベネフィットで売れる商品が、労働環境の異なる地域では全く響きません。アメリカではサステナビリティ(環境への配慮)が購買決定の上位要因になりますが、発展途上国ではこれは優先度が低く「安さ」「使いやすさ」が重視されます。中東ではハラール認証や信仰への配慮が商品選定の前提条件になります。
インフルエンサーが「日本での売り方」をそのまま転用して推奨すると、その地域のユーザーには響かない推奨になってしまいます。Slack通知で「フォロワー数は多いのに、DM経由の問い合わせが全く来ない」という報告が上がる背景には、多くの場合この商品訴求のミスマッチが隠れています。
商品訴求の適応度は「インフルエンサア投稿の『保存数』『シェア数』に対する『問い合わせ数』の比率」で判定できます。保存数やシェア数は多いのに問い合わせが少ない場合は、商品情報の伝え方が現地ニーズと合致していない可能性が高いです。
4. インフルエンサー選定の基準がフォロワー数だけになっている
インフルエンサー選定の際に「フォロワー数が多い」「エンゲージメント率が高い」という表面的な数値だけで判断している企業が多いです。しかし実際には、フォロワーの「質」と「その地域での信頼度」が購買につながるかどうかを決めます。
東南アジアのある美容製品ECサイトでは、フォロワー500万人の芸能人よりも、フォロワー10万人のビューティーコンサルタントの推奨が10倍の購買につながったというケースがあります。つまり「フォロワー数が多い=購買力がある」という方程式は成り立たないのです。
福岡ECサイト株式会社が越境EC企業をサポートする際には、インフルエンサー選定時に「そのインフルエンサアのフォロワーが実際にどんな購買行動をしているのか」「フォロワーの属性がターゲット層と一致しているか」「地域内での信頼度スコア」という3つの軸で評価し直すよう提案しています。
判断基準は「フォロワー当たりのクリック数が業界平均の50%以下」の場合、インフルエンサー選定基準そのものを見直す段階です。
5. キャンペーン期間と来店習慣の設計がズレている
インフルエンサーマーケティングは通常、期間を限定したキャンペーン形式で実施されます。しかし来店習慣の形成には、その地域の商業・文化的なリズムを理解する必要があります。
例えば、インドの場合「ディワリ(光の祭り)」がある時期は購買意欲が年間で最も高まります。インドネシアではラマダン明けの時期が商戦になります。こうした地域固有の購買ピークを無視して、グローバル企業の一般的なキャンペーン日程を当てはめると、せっかくのマーケティング予算が生かされません。
つまり、インフルエンサー施策を「3ヶ月で終わるキャンペーン」として考えるのではなく、「その地域の人がいつ購買するのか」という習慣に合わせた「長期的な来店導線設計」の一部として位置付ける必要があります。
来店習慣の設計が不足している場合の判断基準は「キャンペーン終了後の売上が終了前の20%以下に落ち込む」という状況です。これはインフルエンサアの力で一時的に売上を作っただけで、継続的な購買習慣が形成されていない証拠です。
文化適応設計で優先すべき3つの判断プロセス

越境ECでインフルエンサー施策を成功させるためには、正しい順番で判断・設計を進める必要があります。
第1段階:その地域の「信頼構造」を理解する
インフルエンサー施策を始める前に、ターゲット地域において「誰が信頼されるのか」という構造を理解することが最優先です。
具体的には、以下の点を調査・分析します。
- その地域での商品選定時に、最も信頼される情報源は何か(インスタグラム、TikTok、YouTube、Amazon レビュー、医療従事者など)
- インフルエンサーの投稿よりも、どのような「第三者証明」(レビュー、資格、認証マーク)が購買に影響するか
- 友人・家族からの口コミと、公式な情報源のどちらを重視するか
- ブランド認知度が低い新規参入企業は、どのようなルートで信頼を獲得するのか
例えば、韓国コスメをインドで販売する場合、インスタグラムインフルエンサーの推奨よりも「皮膚科医からの推奨」「美容師からの紹介」という形態の方が成約につながりやすいという事例があります。 なぜなら、インドの消費者は肌トラブルに対して医学的な根拠を重視するからです。美容系インフルエンサーの「きれいになった」という主観的な評価よりも、医学的な根拠に基づいた推奨を信頼するのです。
第2段階:来店習慣に合わせた「導線+決済設計」を行う
信頼構造が理解できたら、次は「実際にどこで、どのようにして商品を購入するのか」という来店習慣に合わせた導線設計を行います。
重要なのは「自社ECサイトへの集約」を前提にしないことです。その地域のユーザーが実際に購入する場所が、自社ECサイトではなく、Amazon、楽天、Shopeeなどの現地プラットフォームである場合も多いです。
導線設計では、以下の3つを明確にする必要があります。
- インフルエンサーの投稿をきっかけに、ユーザーはどのプラットフォームで商品を検索するのか
- その地域で主流の決済方法は何か(クレジットカード、デビットカード、銀行振込、デジタルウォレット、代金引換など)
- 購入後の配送・返品・カスタマーサポートがその地域の習慣に対応しているか
タイのECサイトでは、配送日数が最大の購買決定要因になります。なぜなら、タイの消費者は「今日注文して明日届く」という習慣を前提に購買判断をしているからです。それに対応できない配送体制では、インフルエンサー施策がいくら成功しても、最終的な売上には結びつきません。
第3段階:商品訴求を「現地ニーズ」に合わせて再設計する
信頼構造と導線設計が完成したら、インフルエンサーに依頼する「商品推奨の内容」を現地ニーズに合わせて再設計します。
日本での売り方をそのまま転用するのではなく、ターゲット地域のユーザーが「何を重視するか」という軸で商品訴求を変える必要があります。
以下は地域別の商品訴求軸の例です。
| 地域 | 重視される訴求軸 | 避けるべき訴求軸 |
|---|---|---|
| 東南アジア | 安さ、使いやすさ、肌への優しさ | ブランドのプレステージ、時短性 |
| アメリカ | サステナビリティ、成分の安全性、実績データ | 流行り、有名人の推奨のみ |
| 中国 | 効果の実証性、SNS映え、ライブコマース対応 | 地味な説明、動きのない静止画 |
| 中東 | 宗教・文化への配慮、安全性認証、家族向け訴求 | 個人主義的な表現、アルコール関連の言及 |
商品訴求の再設計では、インフルエンサーに「そのまま使用感を投稿してください」と依頼するのではなく、「その地域のユーザーが重視する価値は何か」を事前に伝えた上で、推奨内容をコンサルティングします。
従来のインフルエンサーマーケティングと文化適応設計の違い
越境EC企業がよく失敗する理由は、国内でのインフルエンサー施策の「やり方」をそのまま海外に転用しようとすることです。表面的な施策実行だけを同じにしても、文化的背景が異なれば成果は出ません。
| 項目 | 従来のインフルエンサーマーケティング | 文化適応設計を組み込んだ場合 |
|---|---|---|
| インフルエンサー選定基準 | フォロワー数、エンゲージメント率 | 地域内の信頼度、ターゲット層との一致度、実購買につながるコンバージョン力 |
| 商品推奨内容 | 日本での売り方をそのまま転用 | その地域のユーザーが重視する価値を軸に再設計 |
| 購買導線 | 自社ECサイトへの集約を前提 | その地域の主流プラットフォーム・決済方法に対応 |
| キャンペーン期間 | 3~6ヶ月の一時的なプロジェクト | 地域の購買ピークに合わせた周年での継続施策 |
| 成功指標 | インプレッション数、クリック数、インフルエンサーの投稿数 | 実購買数、カスタマーライフタイム値、リピート購買率 |
文化適応設計を組み込むと、インフルエンサー施策に時間と工数が増えているように見えます。しかし実際には、無駄な広告費を削減し、確実に購買につながる施策に予算を集中させることができるので、ROI(投資対利益率)は大きく改善します。
文化適応設計で失敗する2つのパターン

文化適応設計の重要性は理解していても、実行段階で失敗する企業があります。典型的な失敗パターンを2つ紹介します。
失敗パターン1:現地の「流行り」だけを見て設計している
ある中国向けのスキンケア企業は、中国で「ライブコマース」が流行しているという情報を聞いて、すぐにTikTok(抖音)でのライブ配信をスタートしました。しかし、ライブ配信での売上は予想の20%程度に留まりました。
理由は、その企業のターゲット層(35~50歳の女性)が実際には静止画投稿型のWeChat Momentsの方を重視しており、ライブコマースは若年層向けの施策だったからです。流行りの形式を取り入れることだけに注力して、自社のターゲット層が実際にどこで情報を得ているのかという基本的な調査を忘れていたのです。
失敗パターン2:地域の信頼構造を一括りにしている
「東南アジア向けのマーケティング」という大括りで施策を設計すると、失敗します。タイ、インドネシア、ベトナムでは、全く異なる信頼構造を持っているからです。
インドネシアではWhatsApp経由のダイレクトセリングが機能しますが、タイではそうではありません。ベトナムではFacebookが主流ですが、隣国のカンボジアではTikTokが主流です。こうした細かな地域差を無視して「アジア太平洋地域向け」という一括りで施策を展開すると、どの地域でも中途半端な結果になってしまいます。
越境ECの構造売上理論:インフルエンサー施策の位置付け
福岡ECサイト株式会社が支援する越境EC企業は、インフルエンサー施策を「売上構造」の中に正しく位置付けています。
構造売上理論では、ECサイトの売上は以下の3つの構造で生まれると考えます。①集客できる構造②商品訴求の構造③エンティティの構造
インフルエンサー施策は、この中で「集客できる構造」の一部に過ぎません。集客が成功しても、商品訴求の構造と信頼(エンティティ)の構造がその地域の文化に適応していなければ、売上には結びつかないのです。
越境ECで「インフルエンサー施策だけ失敗する」という企業の多くは、実は集客構造には成功しているが、商品訴求構造と信頼構造が文化に適応していない状態です。つまり、問題はインフルエンサー施策の実行にあるのではなく、全体的なサイト構造設計にあるのです。
福岡ECサイト株式会社 代表・鳥井敏史が、ある日系コスメメーカーのベトナム向けEC事業を支援した時のことです。月の広告費200万円をインフルエンサー施策に充てていたのに、月商は500万円程度でした。広告費を半分に削減し、浮いた予算を「ベトナム現地での信頼構造の構築」「ベトナムユーザーのニーズに合わせたコンテンツ設計」に充てたところ、3ヶ月後には月商が1,500万円に跳ね上がりました。同じ200万円の広告費でも、投下先の構造が変われば、成果は3倍になるのです。
インフルエンサー施策を成功させるための具体的なステップ
越境ECのインフルエンサー施策は、文化適応の理解フローに沿って段階的に設計すべきです。
越境EC企業がインフルエンサー施策を実行する際に、実際に何をすべきかを段階的に説明します。 このプロセスは「理解フロー」として、文化適応設計の思考に沿って展開されます。
ステップ1:ターゲット地域の購買文化を「調査」ではなく「仮説設計」で理解する
多くの企業は「調査」という名目で、現地のマーケティング会社に依頼して大量のデータを集めます。しかし実際に必要なのは、自社の商品カテゴリーにおいて「その地域のユーザーは、購買時に何を信頼するのか」という具体的な仮説です。
仮説設計では、以下の3つを自社内で定義します。①その地域で信頼される情報源の優先順位(インフルエンサー、医療従事者、口コミ、公式データなど)②カテゴリー別の購買決定要因(美容製品は成分か実績か信頼性か、食品は安さか安全か利便性か)③ターゲット層の属性と購買行動の相関関係
ステップ2:信頼構造に基づいて「インフルエンサーの種類」を再定義する
「インフルエンサー」という括りではなく、信頼構造に基づいて「どのような属性の人物が推奨することが、購買につながるか」を定義し直します。
例えば、美容系の商品であれば「フォロワー数が多い芸能人」ではなく「その地域の皮膚科医」「美容師」「栄養士」といった信頼される専門家がいないか、探し直します。食品系であれば「有名シェフ」「栄養士」「地域のコミュニティリーダー」といった軸で再考します。
ステップ3:導線と決済方法を「その地域のデフォルト」に合わせる
インフルエンサーの投稿をきっかけに見込み客が来た時、実際にどのプラットフォームで、どの決済方法を使って購入するのか。この流れが現地の習慣に合致していなければ、購買は成立しません。
具体的には、以下を確認します。①その地域のユーザーが主に利用するECプラットフォーム(自社ECか、Amazon・Lazadaなどのモール型か)②主流の決済方法とニッチな決済方法の両方への対応③配送体制と返品ポリシーが現地の期待値と合致しているか
MakeShop管理画面で「インフルエンサーからのアクセスは増えたが、カート追加後の離脱率が高い」という分析結果が出た場合、その原因は決済方法や配送プロセスの不備の可能性が高いです。
ステップ4:商品訴求を現地ニーズに合わせて「再脚本化」する
インフルエンサーに依頼する推奨内容を、単なる「使用感レポート」ではなく、その地域のユーザーが重視する価値軸に基づいた「推奨スクリプト」として設計します。
この段階では、以下を実行します。①日本での商品訴求ポイントを列挙②その地域のターゲット層が実際に重視する価値軸を整理③二つのズレを埋める形で、推奨内容の軸を再定義④インフルエンサーに対して明確な「推奨ガイドライン」を提供
ステップ5:キャンペーン期間を「来店習慣形成」の観点から設計する
3~6ヶ月の期間限定キャンペーンではなく、その地域の購買習慣・季節変動・文化的イベントを踏まえた「周年単位の継続施策」として設計し直します。
例えば、インド向けの施策であれば「ディワリ前後の2ヶ月を集中投資期間」と定め、それ以外の期間は「購買習慣の維持」を目的とした低予算施策に切り替えるといった形です。
インフルエンサー施策の投資対効果を測定する判断基準
越境ECでインフルエンサー施策の成果を正しく測定するには、一般的な「クリック数」「インプレッション数」といった虚栄指標ではなく、実購買に直結する指標を使う必要があります。
以下は、インフルエンサー施策の投資対効果を判定するための具体的な数値基準です。
- インフルエンサア投稿からのクリック数に対する「実購買に至る率」が15%以上→施策は機能している。20%以上であれば優良施策と判定できます。
- インフルエンサー経由の顧客の「初回購買単価」がオーガニック流入の顧客と比較して「1.5倍以上」→信頼構造と商品訴求の設計が現地ニーズに合致している証拠です。
- キャンペーン終了後の「リピート購買率」がキャンペーン終了前と比較して「80%以上を維持」→来店習慣が定着しており、長期的な顧客基盤が形成されている状態です。50%未満に落ち込む場合、一時的なバズで終わっており、文化適応設計が不足しています。
- インフルエンサー経由の顧客当たりの獲得費用が「自社の利益率を考慮した許容範囲内」→採算ラインです。許容範囲を超えている場合、インフルエンサー選定か商品訴求のいずれかに問題があります。
これらの数値基準を超えていない場合は、施策の継続ではなく、構造設計の見直しが優先です。
越境ECのインフルエンサー施策に関するよくある質問
複数の地域に同時に展開する場合、インフルエンサー施策も統一すべきですか?
統一すべきではありません。地域ごとに信頼構造が異なるため、インフルエンサー施策も地域ごとに設計する必要があります。
具体的には、各地域でターゲット層に実施したインタビュー調査の結果を基に、地域ごとに「信頼される情報源の階層」を定義します。その上で、各地域の信頼構造に最も適応したインフルエンサータイプを選定します。同じ予算配分ではなく、売上ポテンシャルと購買文化の成熟度に基づいて、地域ごとに予算配分を変えることも重要です。
インフルエンサー施策で失敗した後、リカバリーする方法はありますか?
はい、あります。ただし「施策の改善」ではなく「構造設計の見直し」から始めるべきです。
具体的には、①現在のインフルエンサー施策から得られたデータ(ユーザーの属性、クリックパターン、購買に至らない理由など)を再分析②その分析から「その地域の人は実は何を重視しているのか」という新しい仮説を立て直す③その仮説に基づいて信頼構造・導線設計・商品訴求を再度設計④新しい設計を検証するための「小規模なテスト施策」を実行するという流れです。
インフルエンサー施策の予算がない場合、どのように対応すべきですか?
インフルエンサー施策が全ての越境ECに必須というわけではありません。むしろ、インフルエンサーに頼らずに購買習慣を形成できれば、長期的には利益率が高くなります。
予算がない場合の対策としては、①オーガニック検索流入(SEO・AI検索対策)②オウンドメディア(ブログやYouTubeでの専門知識発信)③地域コミュニティへの直接貢献という3つの軸を強化することをお勧めします。これらは初期投資は少なくて済みますが、長期的には信頼構造を深く形成できます。
インフルエンサー施策とオーガニック検索流入の優先順位はどう判断すべきですか?
結論としては「その地域の購買習慣がどこから始まるか」で判断します。
SNS(インフルエンサー)が購買のトリガーになる地域(中国、東南アジアなど)であれば、インフルエンサー施策を優先します。一方、Google検索やAmazonレビューが購買のトリガーになる地域(アメリカ、ヨーロッパなど)であれば、オーガニック検索流入やAIテーマ別の検索対策を優先すべきです。
福岡ECサイト株式会社では、クライアントの越境EC事業ごとに「その地域での購買導入経路のマッピング」を作成し、最初の施策投資の優先順位を決定しています。
インフルエンサーと長期的な契約を結ぶべきですか、プロジェクト単位の短期契約にすべきですか?
短期契約から始めるべきです。理由は、その地域での信頼構造や購買習慣が予測と異なる可能性があるからです。
最初は3~6ヶ月のプロジェクト契約で「効果測定」を行い、実績数値に基づいて「このインフルエンサーの推奨が実際に購買につながるのか」を検証します。その上で、リピート購買率や顧客単価が目標値を超えている場合のみ、長期契約への移行を検討します。
つまり文化適応設計とは、インフルエンサー施策を「人気度」で評価するのではなく、その地域の文化的背景に基づいた「購買への確実性」で設計する手法である
越境ECでインフルエンサー施策が失敗する根本的な原因は、その地域の文化を理解せずに、日本国内での成功パターンをそのまま転用しようとすることにあります。信頼構造、購買導線、商品訴求、来店習慣という4つの要素が、その地域の文化と一致して初めて、インフルエンサー施策は売上に結びつきます。
判断基準まとめ
以下の数値基準に基づいて、現在のインフルエンサー施策の改善優先度を判定できます。
- 改善優先度が「高い」企業:インフルエンサー投稿からのクリック数に対する実購買率が10%以下、またはキャンペーン終了後のリピート購買率が20%以下の場合。信頼構造・導線・商品訴求の全要素を見直す段階です。
- 改善優先度が「中程度」企業:実購買率が10~15%、リピート購買率が20~60%の場合。信頼構造とインフルエンサー選定の見直しから始めることをお勧めします。
- 継続可能な水準に到達した企業:実購買率が15%以上、リピート購買率が80%以上、顧客獲得費用が利益率内の場合。施策を継続しながら、新しい地域への展開を検討する段階です。
まとめ:文化適応設計で越境ECの売上を再構築する
越境ECでインフルエンサー施策が失敗するのは、その地域の文化的背景を軽視しているからです。信頼構造、購買導線、商品訴求が現地の文化と乖離していれば、いくら有名なインフルエンサーを起用しても、売上には結びつきません。
重要なのは「インフルエンサーは誰か」ではなく「その地域の人は誰を信頼するのか」「実際にはどこで買うのか」「何が購買のトリガーになるのか」という4つの要素を構造として設計することです。この設計が完成すれば、予算効率が2~5倍に改善されるケースも珍しくありません。
現在、インフルエンサー施策の成果が出ていない企業であれば、施策の改善ではなく、構造設計の見直しから始めてみてください。その地域の文化に合わせた信頼構造と来店習慣の設計ができれば、同じ予算でも確実に成果は変わります。
まずは、自社のターゲット地域における「信頼構造マップ」を作成してみてください
最初のステップとしては、現在展開している地域の購買文化を理解するために「その地域のユーザーは商品選定時に何を信頼するのか」という信頼構造マップを自社内で定義することをお勧めします。
このマップを作成する過程で、現在のインフルエンサー施策とターゲット層のニーズの間にどの程度のズレがあるのか、明確に見えてきます。その後、必要に応じてサイトリニューアルやAI検索対策も含めた全体的な構造設計の見直しに進むことができます。
お客様の声
東南アジア向けコスメOEM企業 営業企画部 部長
インフルエンサー施策に月200万円を投じていたのに、売上は月500万円程度で伸びませんでした。福岡ECサイト株式会社の提案で「その地域の人は何を信頼するのか」という信頼構造の再設計から始めました。フォロワー数重視から「現地の医療従事者推奨」に軸足をシフトさせたところ、同じ予算で月商が3ヶ月後に1,500万円まで跳ね上がりました。文化適応設計がいかに重要かを痛感しました。
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