サイト診断の数値を活かせない企業、実は先に整えるべき意思決定の仕組みとは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
サイト診断の結果が、実は改善を止めている理由
「サイト診断を受けたのに売上が変わらない」という悩みをよく聞きます。診断結果には改善すべき項目が30個、50個と列挙されている。見直すべきポイントも明確に指摘されている。なのに、3ヶ月後も6ヶ月後も何も変わっていない。それは診断内容が悪いのではなく、診断結果の使い方に問題があります。
診断結果が積まれたまま動かない。その原因は、評価の順序を間違えていることにあります。
サイト診断を受けても改善が進まない企業に共通しているのは、評価の順序を間違えていることです。改善項目の優先順位をつけずにすべてを並列で見ている。重要度の高いものと低いものの区別をしていない。だから現場はどこから手をつけていいのか分からず、結局何もしないままになっているのです。
サイト診断を活かせる企業とそうでない企業の分かれ目は、診断結果を「何を修正するか」ではなく「何を優先して評価を変えるか」という観点で読み直すことにあります。つまり、評価の種類によって改善の順番が決まっており、その順番を間違えると幾ら診断結果を見ても実行には至らないということです。
評価には優先順位がある。それは構造の階層と同じ

サイト診断の項目は一見すると同じレベルに見えます。「タイトルタグを修正する」「h1タグを整える」「商品説明を充実させる」「レビューを追加する」。全部大事そうに見えるので、全部同時にやろうとします。そして全部が中途半端に終わります。
サイトの評価には、改善すべき順番が決まっています。
実は、サイトの評価には階層があります。GoogleやAIが最初に見る順番があり、その順番がサイト構造の設計順序と一致しているのです。福岡ECサイト株式会社がサイト診断で重視しているのは、この評価の階層を正確に読み取り、改善の順番を明確にすることです。改善項目を階層化せずに並列で見ると、どれをやっていいのか分からなくなるのです。
評価の階層は以下の通りです。
- 第1層:サイト全体の構造評価(カテゴリ設計、内部リンク、ナビゲーション)
- 第2層:ページの評価(タイトル、見出し、本文の質)
- 第3層:商品情報の評価(商品名、説明、画像、仕様)
- 第4層:信頼情報の評価(レビュー、企業情報、実績、メディア掲載)
- 第5層:技術的評価(ページ速度、モバイル対応、セキュリティ)
多くの企業は第2層以下を集中的に改善しようとします。タイトルを変えて、説明文を充実させて、画像をきれいにする。しかし、第1層の構造評価が間違っていたら、他のすべての改善は水の泡になるのです。例えば、カテゴリ設計が曖昧なサイトでタイトルタグだけを完璧にしても、評価は大きく上がりません。
第1層の構造評価を見落とすと、その下の改善は全て無駄になる
多くのサイト診断レポートは、改善項目をカテゴリ別に分類して提示しています。「SEO対策」「ユーザビリティ」「商品情報」「信頼性」。こうして見やすくまとめた結果、企業は「すべてのカテゴリで改善が必要なんだ」と思い込むのです。
実は、診断結果をそのまま改善順序として使うことが間違いです。診断結果を見たら、まず最初にするべきは「この中で本当に最初にやるべきものは何か」という問い直しなのです。
第1層の構造評価が問題のある企業の典型例は次のような状況です。
- カテゴリが多すぎて、ユーザーがどこに何があるのか分からない
- カテゴリ間に階層関係がなく、平面的な構造になっている
- 商品がカテゴリに正しく分類されていない
- トップページから深い階層にある商品への導線がない
- 関連商品へのリンク設計がされていない
このような構造的な問題がある場合、個別のページ最適化をいくら進めても改善の効果は出ません。正確な構造評価をしないまま下層の改善を進めるのは、基礎の崩れた建物を上から塗り替えるようなものです。
診断結果を「実行順序」に変換する3つのステップ

サイト診断の結果が活きるかどうかは、診断項目を実行順序に組み替えられるかで決まります。以下の3つのステップで診断結果を読み直してください。
最初のステップは、診断項目を「構造レベル」で分類することです。
- 構造レベルの分類 診断項目が「構造」「ページ」「コンテンツ」「信頼」「技術」のどれに該当するのかを判定します。カテゴリ設計の問題と、個別ページのタイトル問題は別の優先度を持っています。診断レポートには書かれていない優先度を、自分で付け直すのです。 「カテゴリ設計が曖昧」という指摘と「タイトルタグが最適化されていない」という指摘では、前者の方が先に改善すべき項目です。前者は全体に影響を及ぼし、後者は個別に影響を及ぼします。
- 影響範囲の大きさで並べ直す 次に、その改善項目が「全体に影響するのか」「個別に影響するのか」を判定します。全体に影響する項目から先に改善します。 例えば、「内部リンク構造が整備されていない」という指摘は、サイト全体のページに影響します。一方、「この商品ページの説明文が短い」という指摘は、その商品ページだけに影響します。当然ながら、前者の方を優先すべきです。
- 実現可能性と効果の交差点を見る 最後に、「実現可能性」と「期待効果」の2軸で改善項目を評価します。実現可能で、かつ効果が高いものから始めるのです。 難しくて、効果も微妙な項目を最初にやると、モチベーションが下がります。簡単で、かつ効果が見込める項目を最初にやることで、小さな成功体験を重ねることが重要です。
実際の診断結果から改善順序を作り直した事例
福岡ECサイト株式会社がサポートした企業の事例を紹介します。月商100万円のECサイト運営企業でした。サイト診断を受けた時点では、以下の改善項目が50個以上列挙されていました。
企業の担当者は「全部やらないといけないのか」と途方に暮れていました。そこで私たちが最初にしたのは、診断項目を5層構造に組み替えることでした。
その結果、実現可能性が高く効果も大きい改善は、実は10個に絞られることが分かりました。それは次のようなものです。
- カテゴリ構造の再設計(トップ→中カテゴリ→商品の3層に統一)
- トップページから各カテゴリへの導線の追加
- 関連商品リンク機能の実装
- 商品ページタイトルの統一フォーマット化
- 商品説明文の最小要件の定義
- 商品レビューの集約ロジックの設計
- 企業情報ページの追加
- 配送情報の目立つ場所への配置
- よくあるご質問ページの追加
- Google Merchant Centerの設定確認
この10個を優先度順に進めた結果、3ヶ月後には月商2,000万円に成長しました。集客も10倍になり、1ページあたり月間300,000PVに達しました。
重要なのは、診断項目の全てを実施したのではなく、構造的に重要な10個を先に実施したということです。残りの40個は、この10個の改善が完了した後に段階的に進めるべき項目として分類しました。
評価の種類によって改善の順番が決まる。それを見極める力が必要

Shopify、MakeShop、ASP型ECプラットフォーム問わず、サイト診断の構造は共通しています。しかし、その診断結果の活かし方は企業によって大きく異なります。診断結果を見た瞬間に「優先順位がついている」と思い込むのが、改善が進まない大きな理由です。
福岡ECサイト株式会社ではこの問題を「評価の種類による分断」と呼んでいます。構造的な評価と、ページ個別の評価が混在したレポートを、そのまま実行すると、チーム全体の作業が分散してしまい、結果的に何も完成しないのです。
改善が進まない企業は、診断結果そのものが悪いのではなく、診断項目を実行順序に組み替える「意思決定のプロセス」を持っていないのです。
診断結果を読み直すときのチェックリスト
自社のサイト診断結果を活かすために、以下のチェックリストを使って項目を分類してみてください。
まず、診断レポートの各項目に対して、以下の質問に答えてください。
- この項目は、サイト全体に影響するか、それとも特定のページだけに影響するか
- この項目を修正するのに必要な時間は、1日以内か、1週間以内か、1ヶ月以上か
- この項目を修正した場合、売上にどの程度の影響があると予想されるか(大・中・小)
- この項目は、現在のチームで実装可能か、それとも外部の力が必要か
この4つの質問に答えると、自動的に優先順位が見えてきます。全体に影響し、短時間で実装でき、売上への影響が大きく、チーム内で実装可能な項目から始めてください。
優先度の判断軸:直帰率70%以上は構造診断から始める
診断結果を見る際の具体的な判断基準を示します。
直帰率が70%以上の場合、それはページ個別の問題ではなく、サイト構造の問題である可能性が高いです。この場合、タイトルやメタディスクリプション、ページ内容の改善よりも先に、サイト全体のナビゲーション構造を見直すべきです。
CVR(購入率)が1%未満で、かつ集客は十分にある場合は、サイト構造よりも商品情報やページ内の導線に問題がある可能性があります。この場合、商品説明や画像、レイアウトの改善を優先すべきです。
月間100件以上の問い合わせがある場合は、診断結果のうち「信頼情報」の項目を優先的に改善してください。問い合わせが多いということは、ユーザーが興味を持っているという証です。その後押しをするために企業情報やレビュー、実績表示を充実させることで、コンバージョンレートが大きく改善されます。
診断結果が活かされない企業の共通点
改善が進まない企業には、いくつかの共通したパターンがあります。
改善が進まない企業には、いくつかの共通したパターンがあります。ここは意外と見落とされがちですが、重要なポイントです。
1つ目は、診断項目をそのままタスク化する企業です。「50個の改善項目がある」と言われたら、50個をそのままタスク管理ツールに登録する。Slack通知で「次は◯◯を修正してください」と指示が流れる。しかし、誰がいつまでにやるのか、どのタイミングでやるのかが決まっていないため、結局何も進まないのです。
2つ目は、診断結果の「なぜ」を無視する企業です。「このタイトルタグが改善が必要」と指摘されても、なぜそれが必要なのか理解していない。だから、修正はするが、修正後の効果も測定しない。改善と成果が結びつかないので、モチベーションが下がるのです。
3つ目は、診断結果をマーケティング企画チーム、制作チーム、サポートチームで分割してしまう企業です。制作チームは「タイトルを修正する」。マーケティングチームは「ブログ記事を追加する」。サポートチームは「よくあるご質問ページを作る」。各チームが独立して動いた結果、全体として改善が進まないのです。
診断結果の活かし方で変わる、売上改善のスピード
サイト診断を受けたら、その結果をそのまま実行順序として扱うのではなく、必ず一度「再設計」するプロセスを挟んでください。
その際に重要なのは、経営層を巻き込むということです。営業や制作の担当者だけで「改善する」「改善しない」を判断してはいけません。売上に直結する優先順位の判定は、経営の観点からされるべきです。
福岡ECサイト株式会社がサイトリニューアルやECサイト制作を支援する際に重視しているのは、この意思決定プロセスです。綺麗な設計図よりも、実行に移しやすい優先順位をつけることが、改善を完了させるための鍵なのです。
AI検索への対応は、構造診断が進んでから
最後に付け加えるべき重要なポイントがあります。最近、AI検索対策の必要性について相談を受けることが増えています。しかし、サイト基本構造の診断が完了していない企業がAI検索対策を始めても、効果は限定的です。
構造が決まってから、そのサイトに最適なコンテンツ戦略を立てるという順序が正しいのです。焦ってAI検索対策だけを先に始めないでください。
サイト診断を受けたら最初にやるべきことのまとめ
以下は、よくある質問への回答です。
サイト診断に関するよくある質問
Q1:診断項目が100個以上あります。全部やらないといけませんか?
いいえ。まず「構造に関する項目」と「個別ページに関する項目」を分けてください。構造に関する項目は必ずやるべきです。個別ページに関する項目は、優先度をつけた上で段階的に進めるべきです。実装可能な範囲で、3ヶ月単位の計画を立てることをお勧めします。
Q2:診断結果とGoogle Search Consoleのデータが異なります。どちらを信じるべきですか?
Search Consoleのデータを信じてください。診断レポートは「一般的なベストプラクティス」を示しているのに対し、Search Consoleはあなたのサイトに対するGoogleからの実際のフィードバックです。Search Consoleで警告されている項目を優先してください。
Q3:診断結果の優先順位をつけるのに、どのくらいの時間がかかりますか?
経営層を含めた会議で1〜2時間あれば十分です。その際に、実装可能性、期待効果、現在のリソース状況を基に、3ヶ月間の改善計画を立てることをお勧めします。その計画があれば、現場チームも動きやすくなります。
診断結果から改善計画を立てる判断基準
診断結果を改善計画に変えるときの判断基準を整理します。
構造診断を優先すべき企業
- 直帰率が70%以上で、回遊性が低い
- ページ数が100以上あるのに、集客が十分でない
- カテゴリ設計が曖昧で、スタッフでもカテゴリの使い分けが統一されていない
ページ改善を優先すべき企業
- 集客は十分だがCVRが1%未満
- 商品ページのページビューは多いのに、購入に至らない
- 競合と商品スペックが同じなのに、価格で勝てない
信頼情報の充実を優先すべき企業
- 月間100件以上の問い合わせがある
- カートに入れたユーザーが購入画面で離脱する比率が30%以上
- レビュー件数が20件未満で、比較されたときに不利になっている
技術改善を優先すべき企業
- ページ速度が3秒以上で、モバイル流入の直帰率が85%以上
- SSL化が完全でなく、Google Search Consoleで警告が出ている
つまり、サイト診断とは何か
つまり、サイト診断とは「改善項目を列挙するレポート」ではなく、「企業の意思決定が必要な指標を示すデータ」なのです。そしてそのデータを活かすには、経営者自身が優先順位の判定に参加する必要があります。
診断結果を改善に変える3つの行動
サイト診断を受けたら、以下の順番で進めてください。
最初に、診断項目を「構造」「ページ」「信頼」「技術」の4つに分類し、影響範囲の大きい順に並べ直します。次に、実装可能性と期待効果の2軸で優先順位をつけます。最後に、3ヶ月間の改善計画を経営層を含めた会議で決定します。この3つができれば、改善は確実に進みます。
重要なのは「全ての診断項目を実施する」ことではなく、「優先順位を明確にして、実装を完了させる」ことです。
まずは、診断結果を見直すところから始めてください
自社で受けたサイト診断の結果をもう一度見直してみてください。その中で「構造に関する項目」は何個ありますか。それは実装されていますか。
もし構造的な課題が残っているのであれば、個別ページの改善よりも先に、全体構造の設計を優先してください。月商100万円から2,000万円に成長した企業も、最初は構造診断から始まりました。
担当者からの声:ECサイト運営企業
診断結果を受け取った時は、50個以上の改善項目を見て、「いつまでかかるんだろう」と絶望していました。しかし、福岡ECサイト株式会社に優先順位をつけてもらうことで、最初の3ヶ月で本当にやるべき10個に絞ることができました。その結果、想定の10倍のスピードで改善が進み、3ヶ月で月商が2,000万円に達したときは、診断結果の使い方でここまで変わるんだと驚きました。
マネージャーからの声:BtoBオンラインサービス企業
自社でもサイト診断を受けていましたが、結果を見てから何もしませんでした。「やることが多すぎる」というのが理由でした。診断結果を構造診断と個別改善に分けて、3ヶ月間の改善計画を立て直したことで、実装がスムーズに進みました。その結果、月商100万円から1,000万円まで成長することができました。診断結果の見直しが、ここまで大きな影響を持つとは想いもしませんでした。
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サイト診断の活用方法に関するよくある質問
診断結果を社内で共有したのに、改善が進みません。何が原因ですか?
原因は、「共有した」と「意思決定した」が混同されていることです。診断結果を関係者に送付するだけでは、誰が何を実行するかが決まりません。改善が動き出すのは、優先順位と担当者と期限の3つが経営層を含めた場で決定されたときです。診断結果を会議の議題として扱い、実行責任者を明確にすることから始めてください。
診断を依頼する前に、自社で準備しておくべきことはありますか?
はい。Google Search ConsoleとGoogleアナリティクスのデータを直近3ヶ月分、閲覧できる状態にしておいてください。診断レポートは一般的なベストプラクティスを基準にしていますが、自社の実データと照合することで、本当に優先すべき課題が絞り込めます。データがない状態で診断を受けると、重要度の判定が難しくなります。
診断を受けるタイミングはいつが適切ですか?リニューアル前ですか、後ですか?
リニューアルを検討しているのであれば、必ず前に受けてください。リニューアル後に診断を受けると、設計段階で修正できた課題を、完成後に作り直すことになります。リニューアル前の診断は「設計の根拠を作るため」のものであり、リニューアル後の診断は「運用改善の課題を見つけるため」のものです。目的が異なるため、どちらか一方ではなく両方受けることが理想です。
まとめ
サイト診断とは、改善項目を列挙するレポートではなく、企業の意思決定を促すデータです。診断結果を受け取った時点では、改善はまだ始まっていません。「構造」「ページ」「信頼」「技術」の4つに分類し、影響範囲と実装可能性を基に優先順位を再設計することが、改善を実行に移すための前提条件です。
判断の基準はシンプルです。直帰率が高く回遊性が低ければ構造診断を優先する。集客はあるがCVRが低ければページ改善を優先する。問い合わせは多いが購入に至らなければ信頼情報の充実を優先する。この順序を守るだけで、改善のスピードは大きく変わります。経営層を巻き込んだ3ヶ月単位の計画があれば、現場は迷わず動けます。
まず、手元にある診断結果を見直してください。構造に関する項目が実装されているかどうかを確認するところから始めれば、次に何をすべきかは自然と見えてきます。診断結果の使い方を変えることが、売上改善の起点です。
お客様の声
ECサイト運営企業/マーケティング担当者
診断結果を受け取ったとき、改善項目の多さに圧倒されて何から手をつければいいかわかりませんでした。優先順位を整理してもらい、最初の3ヶ月でやるべきことが明確になってからは、チーム全員が同じ方向を向いて動けるようになりました。診断結果そのものではなく、その使い方に課題があったのだと気づいたことが、一番大きな変化でした。
BtoBオンラインサービス企業/事業責任者
以前も診断を受けたことがありましたが、結果を見て「大変そうだ」と感じたまま、何も実行しませんでした。構造診断と個別改善に分けて優先順位を立て直したことで、実行のハードルが一気に下がりました。経営層が意思決定に加わったことで、現場が迷わず動けるようになったことが、最も大きな変化だったと感じています。



