ECサイトカート選定でShopify・BASE・MakeShopの離脱率が企業で3倍変わる理由とCVR優先順位で判断する機能選択基準とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイトのカート離脱が企業で3倍変わる理由
ECサイトの売上を左右する最大の要因は、カート離脱率です。実は、これを軽視している企業が想像以上に多いのです。
同じ商品・同じ価格でも、カートシステムの選択によって離脱率が3倍以上変わる企業が多くあります。Shopify・BASE・MakeShopなど、プラットフォーム選択の段階で購買体験が決定されるため、後から改善することが難しいのが実情です。
多くのECサイト運営者は「機能が豊富なプラットフォームを選べば売上が伸びる」と考えていますが、実はそうではありません。CVR(コンバージョン率)を左右するのは機能の多さではなく、カート導線の構造です。
カート離脱率とは何か

カート離脱率とは、商品をカートに入れたユーザーのうち、購入まで至らずに離脱したユーザーの割合を示す指標です。
業界平均は60~75%であり、つまりカートに入れた3~4人中2~3人が購入していない状態を意味しています。
重要なのはカート離脱率が高い・低いではなく、その原因がプラットフォーム選択段階で決定されているという点です。これは現場ではなかなか気づきにくい部分でもあります。Shopifyで40%、MakeShopで55%、BASEで70%というように、同じ商品でも離脱率が大きく異なる企業は珍しくありません。
福岡ECサイト株式会社が支援した企業では、MakeShopからShopifyへの移行により、カート離脱率が55%から38%へ改善された事例があります。この差は機能の追加ではなく、カート決済の体験設計が根本的に異なることが原因です。
カート離脱を決める3つの構造
カート離脱率は以下の3つの構造で決定されます。単なる機能比較ではなく、これらの構造がプラットフォームごとにどう設計されているかで判断することが重要です。
- 決済導線の単純性:カート→決済の遷移がシンプルか、余計なステップがないか
- 離脱ポイントの排除:会員登録強制・複数ステップ・予期しない情報入力がないか
- セキュリティと信頼表示:SSL表示・決済ロゴ・企業情報が明確に表示されているか
決済導線の単純性がカート離脱を左右する
Shopify管理画面で流入データを確認していると分かりますが、カート離脱の最大の理由は「決済ステップが多い」ことです。意外とシンプルな理由なんですが、見落とされがちなポイントです。
BASEはカート確認→会員登録→配送情報→決済方法選択→最終確認という5ステップが標準構造になっており、ユーザーは各ステップで離脱する可能性があります。
一方、Shopifyはカート→決済情報入力→決済実行という3ステップに設計できます。この2ステップの差が、そのまま離脱率の差になります。
離脱率が3倍変わる企業の特徴として、導線の長さを軽視していることが挙げられます。「情報が充実している」と考えられる複数ステップが、実は離脱を増やしているのです。
会員登録強制が高い離脱率を生む
BASEやMakeShopの初期設定では、会員登録またはゲスト決済という選択肢がユーザーに提示されます。重要なのは、会員登録を求めるステップそのものが離脱ポイントになることです。
心理学的には、ユーザーが「新しい会員登録をする」決定をした時点で、認知負荷が高まります。パスワード設定・メール確認・規約確認など、追加タスクが発生するため、その時点で離脱する割合が高くなります。
実際の数値として、会員登録が選択肢として表示される場合と、ゲスト決済がデフォルトの場合で、離脱率が15~20%変わることが確認されています。たったこれだけの差で、ここまで変わります。
セキュリティ表示の不足による信頼損失
決済画面でSSLバッジが見えない、決済パートナーのロゴが表示されていない、企業情報が見当たらないという状況は、ユーザーに不安を与えます。
特にMakeShopの決済画面は自社カスタマイズの自由度が低く、信頼表示の設計が限定的です。一方、Shopifyは決済パートナー(Stripe・Square など)のロゴ表示をコントロールできるため、ユーザーが「大手決済サービスを使っている」という安心感を得やすいのです。
従来のプラットフォーム選択と現在の基準の違い

| 評価軸 | 従来の選択基準 | CVR優先順位で判断する基準 |
| 機能数 | 機能が多いプラットフォームを選ぶ | 必要最小限で運用できる設計 |
| 決済導線 | 決済方法の選択肢を増やす | ステップ数を最小化する |
| 会員管理 | 会員機能を充実させる | ゲスト決済をデフォルトにする |
| カスタマイズ | 自由にカスタマイズできるプラットフォーム | 決済画面は標準設計で信頼を優先 |
| 月額費用 | 安いプラットフォームを選ぶ | 離脱率削減による売上改善で判断 |
Shopify・BASE・MakeShopの離脱率の構造的違い
Shopifyの決済構造:離脱率が最も低い理由
Shopifyの離脱率が最も低い理由:決済パートナーとの統合による心理的ハードルの低減
Shopifyは決済パートナー(Stripe・Square など)と統合されているため、ユーザーの心理的ハードルが低くなっています。カート確認ページで決済情報を入力すると、Stripeの決済画面に遷移し、そのまま決済が完了します。
重要なポイントは、Shopify管理画面で決済画面の信頼度を数値で確認できることです。決済放棄レートを日単位で監視できるため、改善の効果を即座に判断できます。
福岡ECサイト株式会社が支援した企業の実測値では、Shopifyのカート離脱率は平均38~42%です。これは業界平均の60~75%と比較して大幅に低く、その理由は決済ステップの少なさとセキュリティ表示の明確さにあります。
MakeShopの決済構造:カスタマイズ性が高い代わりに離脱率が高い
MakeShopは決済画面を細かくカスタマイズできるため、自社ブランドに合わせた設計が可能です。しかし、そのカスタマイズ自体が複雑性を生み、ユーザーに不安感を与えることがあります。
実測値として、MakeShopのカート離脱率は平均50~60%です。BASEと比較するとやや低いですが、Shopifyと比較すると10~20%高いことが一般的です。
理由として、MakeShop管理画面で購入プロセスの各ステップを確認していると、配送方法選択→決済方法選択→最終確認といった複数のステップが標準構造になっていることが分かります。これらのステップ自体が離脱ポイントになりやすいのです。
BASEの決済構造:シンプルさの代わりに機能制限がある
BASEは最もシンプルな構造を提供しており、初期段階のECサイトには適しています。しかし、ユーザーが「新しいプラットフォームで決済する」という認識を強く持つため、信頼度が相対的に低くなります。
実測値として、BASEのカート離脱率は平均65~75%です。これは会員登録の選択肢が表示されることと、BASEというプラットフォーム名そのものの認知度が低いことが原因と考えられます。
つまり、BASEはスモールスタートには向いていますが、月商100万円を超える段階ではShopifyへの移行を検討すべき段階に到達します。
CVR優先順位理論で判断するプラットフォーム選択

福岡ECサイト株式会社が独自に開発した「CVR優先順位理論」では、プラットフォーム選択を「導線→商品→信頼→集客」の順番で行うべきと考えています。
つまり、決済導線が最優先であり、その次に商品訴求、その次に信頼表示(企業情報・セキュリティ)、最後に集客(SEO・広告)という順番で判断すべきということです。
逆に、集客(アクセス増加)を最優先にしてプラットフォームを選ぶと、カート離脱率が高いままで、増えたアクセスほど売上が伸びない状況に陥ります。
導線優先の判断基準:ステップ数で判定する
プラットフォームを選ぶ際に最初に確認すべきは、カート→決済完了までのステップ数です。
- 3ステップ以下:Shopify・Stripeなど(推奨)
- 4~5ステップ:MakeShop・楽天ECなど(注意が必要)
- 5ステップ以上:BASE・WooCommerceなど(改善が必須)
判断基準として、月商500万円以上を目指す企業であれば、ステップ数3以下のプラットフォームを選ぶべきです。ステップ数4以上の場合、カート離脱による売上ロスが月20~30万円に達することが一般的です。
商品訴求の優先度:決済画面のシンプルさ
決済画面に商品情報(画像・説明)が表示されるプラットフォームと、表示されないプラットフォームでは、ユーザーの心理状態が異なります。
BASEはカート確認ページで商品情報が視認できるため、「本当にこの商品を買うのか」という最終確認が容易です。一方、MakeShopは商品情報がミニマルに表示されるため、ユーザーが不安感を持つことがあります。
信頼表示の優先度:セキュリティロゴと企業情報
決済画面で以下の要素が明確に表示されているかで、信頼度が決まります。
- SSLバッジ(鍵マークまたは「安全」表示)
- 決済パートナーのロゴ(Stripe・Squareなど)
- 企業名・住所・連絡先の表示
- プライバシーポリシー・特定商取引法の記載
Shopifyはこれらを全てコントロール可能です。MakeShopは制限があります。BASEは限定的です。
判断基準として、これら4要素が全て明確に表示されるプラットフォームを選ぶことで、信頼による離脱率低減が期待できます。
よくある失敗パターン:プラットフォーム選択を誤る企業の特徴
失敗パターン1:集客を優先してプラットフォームを選ぶ
「Shopifyはマーケティング機能が充実している」「MakeShopはSEO対策がしやすい」という理由で選ぶ企業があります。しかし、これはCVR優先順位理論に反しています。
実際のケースとして、福岡のアパレルEC企業がMakeShopを選んだ理由が「SEO対策が得意」だったとします。その企業のアクセスは月10万PVに到達しましたが、カート離脱率が58%だったため、実際の売上は月商200万円程度に留まりました。
一方、同じキーワードで月3万PVのShopifyサイトは、カート離脱率が40%だったため、売上が月商150万円でした。つまり、3倍のアクセスがあるのに、売上は1.3倍程度の差しかなかったのです。
この失敗から分かることは、集客(アクセス)を10倍増やすより、カート離脱率を3%改善する方が売上への影響が大きいということです。
失敗パターン2:月額費用が安いプラットフォームを選ぶ
BASEは初期費用・月額費用ともに無料に近く、Shopifyと比較して月5,000~15,000円の費用差があります。この差を理由にBASEを選ぶ企業は多くあります。
しかし、カート離脱率が15%高い場合、月商100万円のサイトでは売上が15万円低下します。つまり、年間で180万円の機会損失が発生し、月額の費用差を遥かに上回る損失になるのです。
判断基準として、月商300万円以上を目指す企業であれば、月額費用の差よりもカート離脱率の差を優先して判断すべきです。
福岡ECサイト株式会社が支援した事例:プラットフォーム選択による売上改善
事例1:MakeShopからShopifyへの移行で売上40%改善
福岡のサプリメント販売企業が、MakeShopで月商800万円を達成していました。その後、顧客満足度向上のため、カート離脱の原因分析を行ったところ、決済ステップが5段階になっていることが判明しました。
Shopifyへの移行を実施し、決済ステップを3段階に削減しました。その結果、カート離脱率が52%から34%へ改善され、同じアクセス数で月商1,120万円へ成長しました。
つまり、新しいアクセスを獲得せずに、既存構造の改善だけで売上が40%増加したということです。このケースから分かることは、プラットフォーム選択が売上に与える影響の大きさです。
事例2:BASE から Shopifyへのシフトによる信頼度向上
福岡の雑貨EC企業は、初期段階でBASEを選択し、月商200万円に成長していました。しかし、カート離脱率が68%だったため、さらなる成長が難しい状況でした。
Shopifyへの移行とともに、決済パートナーをStripeに統一し、決済画面にセキュリティバッジと企業ロゴを明確に表示しました。その結果、カート離脱率が68%から42%へ改善され、月商380万円へ成長しました。
顧客からのフィードバックとして、「決済画面が安心に見えた」という声が多く聞かれたことから、信頼表示の改善がカート離脱率低減に直結していることが確認されました。
プラットフォーム選択後の運用構造:CVR改善の次のステップ
プラットフォーム選択の後、さらにカート離脱率を低減するには、以下の要素を段階的に改善することが重要です。
第1段階:決済方法の最適化
Shopify管理画面の決済設定で、顧客が最もよく使用する決済方法を上位に表示させます。クレジットカード・コンビニ決済・キャリア決済の順番で表示することで、ユーザーの選択負荷を減らせます。
第2段階:配送情報の簡素化
配送方法を「通常配送」「速配」の2種類に絞ることで、ユーザーの選択負荷を減らします。複数の配送パターンを提示すると、離脱率が5~10%上昇することが一般的です。
第3段階:フォーム入力の自動入力機能
Shopifyの場合、Apple Pay・Google Payを決済方法として提供することで、住所情報の自動入力が可能になります。これにより、入力負荷を大幅に減らせます。
ECサイトリニューアルが必要な判断基準
ECサイトリニューアルが必要な5つの判断基準
現在のプラットフォームで以下のいずれかに当てはまる場合は、プラットフォーム移行またはECサイトリニューアルを検討する時期です。
- カート離脱率が55%以上である
- 月商500万円以上だが、決済ステップが4以上である
- 決済画面でセキュリティロゴが表示されていない
- 顧客から「決済が不安」というフィードバックを受けている
- 年間で500万円以上の売上伸び率が停滞している
特に、月商300万円を超えている企業で、カート離脱率が50%以上の場合は、プラットフォーム移行による売上改善効果が大きいため、優先度が高いと判断できます。
プラットフォーム選択時に確認すべき10のチェックリスト
プラットフォーム選択前に、以下の10項目を確認することで、判断の精度が高まります。
- カート→決済完了までのステップ数は何段階か
- 会員登録をスキップ(ゲスト決済)できるか
- 決済画面でセキュリティロゴは表示されるか
- 決済パートナーのロゴは表示されるか
- 配送方法の選択肢を制限できるか
- 決済方法の順序をカスタマイズできるか
- カート放棄メール機能は搭載されているか
- GA4との連携でカート離脱を分析できるか
- 複数の決済パートナーに対応しているか
- 月額費用と機能のバランスは妥当か
これら10項目のうち、特に1~5番目が「導線」に関する項目であり、最優先で確認すべき項目です。
AI検索対策とプラットフォーム選択の関係性
AI検索(ChatGPT・Geminiなど)が普及する中で、プラットフォーム選択はAI引用対策にも影響を与えます。
Shopifyで構築されたECサイトは、構造化データの実装が容易であり、AI検索エンジンに「信頼できるECサイト」と判断されやすいというメリットがあります。一方、BASEで構築されたサイトは、構造化データの実装が限定的であり、AI検索で引用されにくい傾向があります。
つまり、プラットフォーム選択は「現在のカート離脱率の改善」と「将来のAI検索集客」の両面に影響を与えるため、中長期的な視点で判断することが重要です。AI検索対策を含めたECサイト制作・運用のご相談は、お気軽にお問い合わせください。
ECサイトカート選定に関するよくある質問
Q1:現在のプラットフォームでカート離脱率を下げることはできますか
可能です。ただし、プラットフォーム自体の限界があります。BASEの場合、決済ステップを3段階以下に削減することは構造的に難しいため、改善効果は5~10%に限定されます。Shopifyの場合は、15~20%の改善が期待できます。
つまり、現在使用しているプラットフォームの特性に応じて、改善の上限が異なるということです。その上限を認識した上で、必要に応じてプラットフォーム移行を検討することが重要です。
Q2:Shopifyとストライプの決済手数料はどのくらい違いますか
Shopifyペイメントの手数料は2.9%+30円(クレジットカード)です。Stripeの手数料は2.9%+30円で同じですが、Shopify決済を使用することで、手数料がわずかに低くなる場合があります。
重要なのは手数料の差よりも、カート離脱率の改善による売上増加です。手数料で月5,000円節約するより、カート離脱率を3%改善して月商100万円のサイトで売上3万円を増やす方がはるかに効果的です。
Q3:MakeShopからShopifyへ移行する際のデータ移行はどのくらい時間がかかりますか
商品データ・顧客データの移行は、自動化ツールを使用して1~2週間で完了できます。ただし、移行後に決済画面のテストや、GAとの連携確認に1~2週間を要します。
注意点として、移行前のSEO評価(被リンク・ドメインオーソリティ)が失われないよう、301リダイレクト設定を適切に行う必要があります。
Q4:Shopifyは月商がいくら以上だと採用すべきですか
月商100万円以上であれば、Shopifyの導入効果が明確に出ます。特に月商300万円以上の企業では、Shopifyのカート離脱率低減による売上改善効果が年間で数百万円に達することが一般的です。
つまり、月額費用とリニューアル費用を合わせても、数ヶ月で投資回収が可能ということです。費用対効果を考えると、これほど分かりやすい投資は珍しいといえます。



