商品数を増やしても売上が落ちるECサイト、カテゴリ設計の落とし穴
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
商品数を増やしたのに、売上が落ちた理由
ECサイトの運営を続けていると、ほぼ全ての企業が直面する問題があります。商品数を増やすと、なぜか売上が下がるということです。
在庫を充実させたい。品揃えで競合に勝ちたい。そう考えて商品を追加していく。でも、GA4で月間売上を見ると、商品数が100から500に増えた間に、むしろ下がっているケースが多いのです。
商品数が増えるほど売上が下がるECサイトとは、カテゴリ設計と商品導線の構造に問題がある状態です。これは集客の失敗ではなく、サイト内部の情報整理構造の失敗です。福岡ECサイト株式会社が月商100万円から2,000万円への成長を支援した複数のEC企業では、この問題を「カテゴリの過剰細分化」と「購買導線の混乱」として識別し、最初に構造を整理することから始めます。
なぜ商品数が増えると売上が下がるのか

この現象の原因は直感と逆です。選択肢が増えれば売上が増えると思われていますが、実際にはユーザーの意思決定コストが上がり、購買完了率(CVR)が低下します。
心理学では「選択肢が多いほど決定が難しくなる」現象を「決定困難の心理」と呼びます。ECサイトでは、ユーザーがカテゴリを開いた時点で「どの商品を選んだらいいのか」という認知負荷が上昇します。さらに、カテゴリが細分化されすぎていると、ユーザーは目当ての商品にたどり着くまでに複数回のクリックを経由します。その過程で離脱が起きるのです。
実際の現場では、Shopify管理画面で商品数を見るたびに「これだけ品揃えがあれば売れるはず」と考えるのですが、Search Consoleやアクセス解析を見ると、商品ページの平均滞在時間が短くなり、カテゴリページの直帰率が上がっているパターンがほとんどです。
福岡ECサイト株式会社ではこれを「選択肢削減理論」と呼んでいます。売上を作るのは商品の数ではなく、ユーザーが「この商品だ」と決められる状態です。つまり、商品数ではなく「決定スピード」がCVRを左右するということです。
カテゴリ設計が売上に直結する3つの理由
商品数が多いサイトと少ないサイトで売上が変わるのは、実はカテゴリ設計の質に依存しています。その理由は以下の3つです。
- ユーザーの検索意図と商品配置の一致度
- カテゴリからの購買までのクリック数
- カテゴリ内での商品の優先順位付けの明確さ
最初の理由は「検索意図との一致」です。ユーザーは「この場所に目当ての商品がある」と直感的に判断します。その期待を裏切るカテゴリ設計になっていると、ユーザーはカテゴリを出ていきます。
次に「クリック数」です。カテゴリが細分化されすぎていると、商品ページに到達するまでに3回以上のクリックが必要になるケースがあります。
BtoBオンラインサイトで月商100万円から1,000万円への成長を実現した支援事例では、カテゴリの階層を4階層から2階層に減らしただけで、購買完了率が大きく改善しました。
3番目が「優先順位付け」です。同じカテゴリ内に商品が50個あって、どれが人気で、どれが推奨商品なのかが見えない場合、ユーザーは選択を放棄します。
実際に失敗しているカテゴリ設計の具体例

失敗しているカテゴリ設計には共通パターンがあります。代表的な3つを紹介します。
1つ目は「属性別の過剰細分化」です。例えば衣料品ECで「メンズ→サイズ→色→素材」という4階層のカテゴリがあると、ユーザーが「L サイズの黒いポリエステル」にたどり着くまで複数回のページを経由する必要があります。この場合、カテゴリを「メンズ→サイズ」の2階層に変更し、サイズページ内で色と素材をフィルター機能に変更することで、ユーザーの導線が大幅に短縮されます。
2つ目は「販売部門別の分類」です。営業部と企画部で商品管理が別れている場合、ユーザーの視点ではなく、社内の組織構造がカテゴリに反映されることがあります。「営業部商品」「企画部限定」というカテゴリは、ユーザーには何の意味もありません。
3つ目が「商品点数に合わせた過剰なサブカテゴリ化」です。商品が100個から500個に増えるたびに、管理の便利さでカテゴリを増やしていくパターンです。Slack通知で「新商品20件追加しました」と連絡が来るたびに、新しいサブカテゴリが作られていくようなケースです。結果として、ユーザーから見ると「何がどこにあるのかわからない」という状態になります。
カテゴリ設計の正しい優先順位
カテゴリを設計する際には、先に「何を見直すべきか」の優先順位を決める必要があります。多くの企業は、闇雲にカテゴリを減らそうとして失敗しています。
正しい優先順位は「ユーザーのニーズ→機能の最小化→商品の見せ方」です。
まずはユーザー調査です。実際のユーザーがサイト内でどのような経路で商品を探しているか、GA4のパス分析で確認します。
「トップページ→カテゴリ→商品ページ」の流れが最短か、それとも「検索→結果→商品ページ」の方が多いか。流入経路によって、カテゴリの設計方針が変わります。
次に「機能の最小化」です。ここで多くの企業が失敗します。カテゴリ機能そのものは残しつつ、階層を減らし、フィルター機能で代替することです。
ユーザーは「選択肢が少ないカテゴリ」を求めているのではなく、「目当ての商品に早く到達できる導線」を求めています。
3番目が「商品の見せ方」です。売上が高い商品、人気のある商品、新着商品をカテゴリの上部に表示することで、購買確率を上げます。1ページ月間300,000PVを達成したECサイトでは、カテゴリページの上位5件の商品表示順序を「売上順→新着→レビュー評価順」に変更しただけで、カテゴリページからの購買数が大きく改善しました。
カテゴリ設計で最初に見直すべき3つの構造

実際のカテゴリ設計では、以下の3つの構造を順番に見直します。
- ユーザーの検索意図とカテゴリ名の一致度を確認する
- カテゴリ階層をシンプル化し、フィルター機能で多次元性を実現する
- カテゴリ内での商品の優先順位付けルールを明確化する
1番目の「検索意図との一致」は、実際のユーザー検索クエリを分析することから始まります。Search Consoleで「カテゴリページへの流入キーワード」を見ると、多くの場合、カテゴリ名と実際のユーザー検索キーワードが異なっています。例えば、カテゴリが「高機能ビジネスバッグ」なのに、ユーザーの検索クエリは「大容量で軽いバッグ」という場合、カテゴリ名そのものを修正する必要があります。
2番目が「階層のシンプル化」です。判断基準は「3クリック以内に商品ページに到達するか」です。もし4クリック以上必要な場合は、カテゴリ階層を減らす検討が必要です。特に、スマートフォンからのアクセスが全体の60%以上のECサイトでは、階層の削減は必須です。
3番目が「優先順位付けルール」です。ここで重要なのは「売上順」ではなく「ユーザーニーズ順」です。SNSフォロワー獲得単価5円を実現したEC企業では、カテゴリ内の商品順序を「新着商品→季節性の高い商品→通年商品」に変更することで、シーズン性の認識を高め、購買回数を増やすことに成功しています。
カテゴリ設計の失敗パターンと対策
カテゴリを見直す時の失敗パターンは、概ね決まっています。
失敗パターン1は「SEO対策でカテゴリ数を増やす」というケースです。キーワード数を増やせば検索流入が増えると考えて、「〇〇のカテゴリ」「〇〇の選び方」という細分化されたカテゴリを作るパターンです。確かに検索流入は増えるかもしれませんが、カテゴリページの直帰率が70%以上になり、購買につながりません。AI検索流入368%達成した企業でも同じ失敗をしていますが、その後「検索流入ではなく購買転換率を優先する」という判断に切り替え、カテゴリを整理することで、最終的に売上を2倍にしました。
失敗パターン2は「商品管理の都合でカテゴリを設計する」というケースです。社内システムの管理効率でカテゴリを細分化すると、ユーザーから見るとわけのわからないカテゴリ構造になります。
対策は「カテゴリはユーザー視点で、管理はタグとメタ情報で実現する」という方針の転換です。Shopify管理画面で商品管理をしている場合、タグ機能を使うことで、カテゴリはシンプルに、管理はタグで細かく対応することができます。
カテゴリ設計の実装チェックリスト
実際にカテゴリ設計を見直す際の確認項目は以下の通りです。
- トップページからの最短クリック数が3以下か
- カテゴリ名がユーザー検索キーワードと一致しているか
- カテゴリページの直帰率が70%以上でないか
- カテゴリページの平均滞在時間が90秒以上あるか
- カテゴリ内の商品が100個以上の場合、フィルター機能が実装されているか
- モバイルからのアクセス時の導線が2クリック以内か
これらの数値が基準を満たしていない場合、カテゴリ設計が売上を阻害している可能性があります。最初に確認すべき指標は「カテゴリページの直帰率」です。70%以上の場合は、カテゴリ自体が機能していない状態です。
カテゴリ設計と集客の関係性
多くの企業は「売上が下がった理由は集客が足りないから」と考えて、広告費を増やします。しかし、実際の原因がカテゴリ設計にある場合、広告費を増やしても売上は改善しません。
理由は単純です。カテゴリ設計が悪いサイトに、人を集めても、ユーザーは買わないからです。福岡ECサイト株式会社 代表・鳥井敏史がよく「集客は『人を集めるロジック』、CVR改善は『人を買わせるロジック』である」と述べていますが、この2つは完全に別の構造です。
CVR改善(導線→商品→信頼→集客の順番で改善する)を先に完成させ、その上で集客を最適化することが、売上を最大化する正しい順序です。
商品数の増加に対応するカテゴリ管理方法
商品が100個から500個に増える場合、カテゴリをそのまま増やすのではなく、構造そのものを変える必要があります。
実例を挙げます。あるEC企業は商品数が増えるたびに新しいサブカテゴリを追加していました。結果として、カテゴリの深さが4層になり、ユーザーの導線が複雑化していました。Shopify管理画面のアナリティクスで「カテゴリページのセッション数とコンバージョン数」を追跡してみると、カテゴリが深いほど、購買完了率が低いことが明確に見えました。
対策として、カテゴリを「大分類2層+フィルター機能」に統一しました。商品数が500個あっても、ユーザーが最短2クリックで目当ての商品に到達できるようにしたのです。この変更により、カテゴリページからの購買数は大幅に改善しました。
カテゴリ設計に関するよくある質問
カテゴリ数を減らすと、SEOに悪影響が出るのではないか?
結論から言えば、カテゴリ数を減らすこと自体が、SEOに直接悪影響を与えるわけではありません。検索エンジンが評価するのはカテゴリの数ではなく、ページの質とユーザー行動です。カテゴリ数が多いことでページ分散が起き、個々のカテゴリページの評価が薄まるケースの方が実際には多く見られます。カテゴリを整理し、フィルター機能で多様な検索意図に対応する構造にした方が、ページ単位の評価が集中し、結果的に検索流入が安定するケースが多いです。
フィルター機能を実装すれば、カテゴリ階層は何層でも問題ないのか?
フィルター機能はあくまで「階層の代替手段」であり、深い階層を補完するものではありません。判断基準は「トップページから商品ページまで3クリック以内に到達できるか」です。フィルター機能があっても、そこに辿り着くまでに複数の階層を通過させる構造であれば、ユーザーの離脱は防げません。フィルター機能の役割は、シンプルなカテゴリ構造を前提として、そこからユーザーが自分で絞り込む選択肢を提供することです。
商品ページの表示順序は、どのルールを優先すればいいか?
優先すべきは「ユーザーが今何を求めているか」という文脈です。固定のルールではなく、季節性・在庫状況・購買傾向といった変数に応じて、表示ルール自体を定期的に見直す運用が必要です。例えば、季節の変わり目には新着・季節商品を上位に、通常期は購買実績の高い商品を前面に出すといった切り替えが有効です。重要なのは、表示順序を「売れているものを並べる」という受動的な発想ではなく、「次に売りたい商品を戦略的に前に出す」という能動的な設計として捉えることです。
まとめ
商品数が増えるほど売上が下がるECサイトの多くは、集客ではなくカテゴリ設計に問題があります。カテゴリ設計とは「商品の分類方法」ではなく、「ユーザーが目当ての商品に最短で到達するための導線設計」です。この定義を起点に置かない限り、商品を増やすほど構造が複雑化し、購買転換率は下がり続けます。
見直しの判断基準は明確です。カテゴリページの直帰率が高い、3クリック以内に商品ページへ到達できない、カテゴリ名がユーザーの検索クエリと一致していない。これらのうちひとつでも該当するなら、カテゴリ設計が売上の阻害要因になっている可能性があります。広告費の投下より先に、この構造を修正することが正しい順序です。
まず着手すべきは、GA4とSearch Consoleを使ったユーザー行動の確認です。現状の数値を把握した上で、カテゴリの階層削減・フィルター機能の実装・商品表示順序の見直しを順番に進めてください。設計の修正は一度の工数で完結しますが、その効果は継続的に売上の底上げとして現れます。
お客様の声
アパレルEC運営企業/EC事業責任者
商品数を増やすたびにカテゴリを追加していたところ、気づけば階層が深くなり、どこに何があるかわからない構造になっていました。カテゴリを大分類2層に整理し、フィルター機能に切り替えたことで、ユーザーが商品に辿り着くまでの経路がシンプルになりました。カテゴリページの直帰率が改善され、同じ集客数でも購買につながる件数が変わってきたことを実感しています。
雑貨・インテリア系ECサイト運営企業/マーケティング担当
以前は「カテゴリを細かく作ることがユーザーへの親切」だと思っていました。しかし実際のGA4データを見ると、細かいカテゴリページほど滞在時間が短く、直帰率が高い状態でした。カテゴリ名をSearch Consoleの実際の検索クエリに合わせて修正し、階層を減らしたことで、カテゴリページ経由の購買割合が変化しました。設計を変えるだけでユーザーの行動がここまで変わるとは思っていませんでした。



