ECサイトのカート落ち率が高い理由と購入完了率を改善する3つの対策とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイトのカート落ちが85%を超える理由とは何か
ECサイトのカート落ちとは、商品をカートに入れたものの購入を完了しないユーザーの行動を指す。カート落ちが85%を超えるサイトは、決済導線の設計に問題があるか、ユーザーの購買心理に対応できていない状態を示している。
実際の現場では、アクセス数は十分なのにカート落ちが高いために売上が伸びないというケースが多くあります。ここ、意外と見落とされがちですが、これは集客の問題ではなく、サイト構造の問題です。
カート落ち率85%は業界平均より高い
Eコマース全体のカート落ち率は平均で70~75%程度です。85%を超えている場合、業界平均よりも10~15ポイント高い状態を意味します。
これは単なる数字の差ではなく、ユーザーが購入の最終段階で離脱しているという構造的な問題を示しています。
カート落ちの3つの発生タイミング
カート落ちはすべてが同じ原因ではありません。どのタイミングで落ちているかによって改善策が変わります。
- カートページで離脱:商品確認時に問題を感じて戻る
- 決済情報入力時に離脱:個人情報やクレジットカード入力で不安を感じて離脱
- 確認画面で離脱:最後の確認時に価格や条件を再検討して離脱
タイミングごとにユーザーの心理状態が異なるため、改善のアプローチも異なります。
カート落ちが発生する構造的な理由

85%以上のカート落ちは設計の問題です。 カート落ちが高いサイトには、共通する3つの構造的な問題があります。 これらは偶然ではなく、設計の問題として捉えることが重要です。
理由1:決済導線が複雑で迷いやすい
決済までのステップが多すぎたり、ページ遷移が不自然な場合、ユーザーは不安を感じて離脱します。
特に以下の設計が問題になりやすいです。
- カートページ→会員登録ページ→配送方法選択→決済情報入力と、ステップが4つ以上ある
- 各ステップで「戻る」ボタンと「次へ」ボタンの位置がばらばらで操作が不安定
- 進捗状況が表示されず、あと何ステップで完了するのかが不明確
- ゲスト購入と会員購入の導線が分かりづらく、どちらを選ぶべかユーザーが判断に迷う
福岡ECサイト株式会社が支援したクライアントの事例では、決済ステップを5ステップから3ステップに削減することで、カート落ち率を85%から72%に改善しました。削減したのは不要な情報入力フィールドと確認画面です。
理由2:想定外の追加費用が発生する
ユーザーが最終確認画面で初めて送料や手数料を知るパターンです。これはユーザーの購買意欲を急激に低下させます。
問題になりやすい設計の例です。
- 商品ページに送料が明記されておらず、カートページで初めて表示される
- 決済方法によって手数料が異なるのに、その説明が不十分
- 配送地域によって送料が異なるのに、ユーザーが配送先を入力するまで金額が確定しない
- 割引クーポンの条件が複雑で、実際に使えるかどうかが不明確
心理学的には、購入決定の直前に追加費用が発表されると、それまでの購買意欲が失われやすいです。これを「プライシング・ショック」と呼びます。実際の現場でも、この瞬間で売上が大きく左右されます。
理由3:セキュリティ不安とサイト信頼度の低さ
クレジットカード情報を入力する決済ページが、安全性を感じさせない設計になっている場合、ユーザーは離脱します。
信頼度を損なう設計パターンです。
- SSLセキュリティ証明書の表示がない、または分かりにくい
- 企業情報やプライバシーポリシーが見つけにくい位置に配置されている
- 問い合わせ窓口の電話番号やメールアドレスが表示されていない
- 決済ページのデザインが古く、信頼できそうに見えない
- クレジットカード以外の決済方法がなく、選択肢が限定されている
特に初回購入ユーザーは、サイトの信頼度が低いと感じると決済画面から離脱しやすいです。
カート落ちを改善する3つの改善策とその優先順位
CVR優先順位理論では「導線→情報→信頼」の順で改善します。 カート落ち改善には正しい優先順位があります。 CVR優先順位理論に基づいて、導線→情報→信頼の順で対策することが重要です。
改善策1:決済導線をシンプルに再設計する(最優先)
カート落ちを減らす最優先課題は、決済までのステップを最小限にすることです。これは心理的な負担を減らします。
改善の具体的な方法です。
- 決済ステップを3ステップ以内に削減する:カート確認→配送・決済情報入力→完了確認
- 進捗表示バーを導入する:「1/3」「2/3」のように現在地を明確にする
- 戻るボタンと進むボタンを統一位置に配置する:ページごとにボタン位置がぶれないように
- ゲスト購入を優先選択肢にする:会員登録は購入後に促すように変更
実装のポイントは「ユーザーが入力する項目を本当に必要な情報だけに絞る」ことです。住所や電話番号は必須ですが、企業用途や配送理由は不要です。
改善策2:総額を早期に表示し、想定外費用を排除する
商品ページの段階から、送料を含めた総額をユーザーに伝える設計が重要です。
改善の実装方法です。
- 商品ページに「送料◯円を含めた合計」を表示する:実装方法は配送先郵便番号の入力で動的に計算
- カートページで総額をしっかり強調する:「ご注文合計:◯◯円」を大きく表示
- 決済手数料がある場合は事前に告知する:「クレジットカード手数料3%」など明確に
- クーポン適用可能な場合は、その条件をカート画面で確認できるようにする
モバイルユーザーが増えている現在、スマートフォン表示での総額表示は特に重要です。スマホでは横幅が限られるため、大きく分かりやすく表示する工夫が必要です。
改善策3:決済ページの信頼設計を強化する
セキュリティ表示と企業情報を充実させることで、ユーザーの購買心理を安定させます。
実装すべき信頼設計の要素です。
- SSL証明書バッジを決済ページに表示する:「安全な接続」であることを視覚的に示す
- 複数の決済方法を用意する:クレジットカード・コンビニ決済・電子マネーなど選択肢を増やす
- フッターに企業情報・電話番号・問い合わせフォームを配置する:どのページからでも企業情報にアクセス可能に
- プライバシーポリシーと特定商取引法に基づく表記をリンク表示する
- 決済ページのデザインをリニューアルする:最新のWebデザイン基準に合わせて信頼感を向上させる
信頼設計で重要なのは「視認性」です。情報が存在しても見つけられなければ意味がありません。特に初回購入ユーザーは明らかなセキュリティ表示がないと不安を感じます。
カート落ち改善と他施策の関係性

サイト受け口を整備してから集客施策を行うのが正しい順番です。 カート落ち改善は、集客施策とセットで考える必要があります。 改善が完了してからこそ、集客を加速できます。
サイト構造全体の中での位置付け
カート落ち改善は、CVR優先順位理論の「導線改善」に当たります。集客(SEOやAI検索対策)を行う前に、サイト受け口を整備することが重要です。
改善の優先順位は以下の通りです。
- 決済導線の改善(現在地):ステップを削減し、ユーザーの操作負担を減らす
- 情報表示の改善:総額表示と費用透明化で購買不安を排除
- 信頼設計の改善:セキュリティと企業情報でユーザー心理を安定させる
- 集客施策の拡大:サイト構造が整った段階でSEOやAI検索対策に投資する
この順番を無視して集客を先行させると、せっかく集めたユーザーがカート落ちで逃げてしまい、投資対効果が悪化します。ここは多くの企業が失敗するポイントです。
サイトリニューアルの判断基準
カート落ち率が85%を超えている場合、部分的な改善では効果が限定的です。全体的なリニューアルを検討すべき段階です。
リニューアルを優先すべき企業の特徴です。
- カート落ち率が80%を超えている
- 決済ステップが4つ以上ある
- カートページとモバイル版の表示に大きなズレがある
- 決済ページのデザインが3年以上更新されていない
- 複数の決済方法に対応していない
福岡ECサイト株式会社では、カート落ち改善を含めたサイトリニューアルのサービスを提供しており、Shopifyなどのプラットフォーム活用による最適設計を実現しています。
カート落ち改善の失敗パターン
失敗例1:決済ページだけを改善して、カートページの問題を放置
カート落ちの原因が決済ページにあるとは限りません。カートページで商品数量や送料を確認したユーザーが離脱するケースも多いです。
カートページ全体の流れを確認してから改善することが重要です。特に商品の画像や説明が不足していると、ユーザーは「本当にこれでいいか」と不安になります。
失敗例2:決済方法を増やしただけで、導線の複雑さは改善しない
クレジットカードに加えて電子マネーやコンビニ決済を追加しても、決済までのステップが多いままでは改善効果は限定的です。
ユーザーが「どの決済方法を選ぶべきか」で迷う場合もあります。迷いますよね、選択肢が多いと。決済方法の追加と同時に、導線のシンプル化を行うことが必要です。
ECサイトのカート落ち改善で判断すべき数値基準

カート落ち改善を実施する際の判断基準を整理しました。自社の状況に当てはめて確認してください。
| カート落ち率 | 判断 | 優先施策 |
|---|---|---|
| 60%未満 | 良好。集客施策の強化を検討 | AI検索対策・SEOの拡大 |
| 60~75% | 業界平均範囲。部分改善で対応可能 | 決済導線の微調整・信頼設計の補強 |
| 75~85% | 改善が必要。複合的な問題がある | 決済ステップの削減・総額表示の改善 |
| 85%以上 | 高リスク。全体的なリニューアルが必要 | サイト全体のリニューアル・プラットフォーム見直し |
また、カート落ち改善の効果測定には「コンバージョン率(CVR)の改善」を指標にします。カート投入率が10%でカート落ち率が85%の場合、実際の購入CVRは1.5%です。これを改善して3%に引き上げることが目標になります。
カート落ち改善に関するよくある質問
Q1:カート落ち率を正確に測定するには何を確認すればいいですか?
カート落ち率の測定には、Googleアナリティクス4(GA4)のコンバージョン漏斗レポートを活用します。
測定方法は以下の流れです。まずGA4で「カートへの追加」イベントと「購入完了」イベントを設定し、その差分がカート落ちになります。正確な測定には、これらのイベントが正しく実装されていることが前提です。実装がない場合は、Googleタグマネージャー(GTM)で設定する必要があります。
Q2:決済ステップを削減する際に、必須情報は何ですか?
最小限の必須情報は以下の3項目です。名前・住所・電話番号です。
これ以外の情報(企業名・配送方法の詳細・ギフト設定など)は、購入後のフローまたはチェックボックスで後付けする方法に変更すると、初回入力時の負担を大幅に減らせます。特に海外対応が不要な場合、配送先都道府県の選択肢を制限することも有効です。
Q3:モバイル版のカート落ち率が高い場合、どこを優先改善すればいいですか?
モバイルのカート落ち率が高い場合、優先順位は「タップのしやすさ→表示サイズ→入力フォーム」です。
モバイルでよくある問題は、ボタンが小さすぎる、フォーム入力が横スクロール必須になっている、確認画面がページを超えて見えないなどです。デスクトップ版では問題がなくても、モバイル表示で使いづらい場合があります。レスポンシブ対応だけでなく、モバイル特化の操作感設計が重要です。重要なのはここです。
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