内製開発と外注開発で運用費用が5倍変わる理由と開発体制で判断する長期収益性の基準とは

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鳥井敏史

福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史

この記事を書いた人

福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史

ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。

専門分野

ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計

ECサイト改善の主な実績

・ECサイト制作歴15年以上 ・MakeShopアンバサダー ・JBEA EC業界SEO部門2025受賞 ・月商100万円 → 月商2,000万円 ・BtoB EC 月商100万円 → 月商1,000万円 ・支援企業:JR九州 / JAL / 名鉄 など

この記事の監修

福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史

内製開発と外注開発で運用コストが5倍変わる理由

開発後3年〜5年の運用フェーズで、体制の違いによる継続的なコスト構造が500万円以上の差を生む。

多くの企業は初期開発費用で判断しがちですが、実際の総コストは開発後の運用フェーズで決まります。ここ、意外と見落とされがちですが重要です。

Shopify導入を検討している企業も、MakeShopからの乗り換え企業も、同じ課題に直面しています。

初期費用は100万円で同じでも、運用コストで500万円の差が生まれる構造を理解することが、長期的な収益性を判断する基準になります。

開発後の運用コストの構造とは何か

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システム稼働後の保守・改修・機能追加の総コスト構造であり、内製と外注で3〜5倍の差が生じる。

ECサイトやWebシステムの初期開発は一度で終わりません。

運用開始後、以下のような業務が継続的に発生します。

  • 商品データの追加・更新・削除
  • バグ修正と機能改善
  • セキュリティパッチの適用
  • 決済システムやAPI連携の更新対応
  • ページ制作・キャンペーン構築
  • 在庫・顧客データの管理

これらの業務を誰が行うか、どのような体制で行うかで、発生するコストが大きく変わります。

福岡ECサイト株式会社が支援する企業の中には、初期開発後に外注費用が月額50万円を超え、3年で1,800万円に達するケースがあります。一方、内製体制を整えた企業は月額10万円程度に抑えられています。この差が経営判断を左右する要因になっています。

運用コストは4つの構造で決まる

運用コストを左右する要素は、開発言語の選択・システムアーキテクチャ・チームスキル・保守体制の4つです。

1. 開発言語とフレームワークの選択

開発に使用される言語やフレームワークが、その後の保守難易度を決めます。

PHP・Python・JavaScriptなど一般的な言語で構築されたシステムは、対応できるエンジニアが多く、採用や外注時に費用を抑えられます。一方、希少言語や古い技術で構築されたシステムは、対応できるエンジニアが限定され、外注費用が高騰します。

実例として、20年前の古いシステムで、対応エンジニアが1人しかいないケースがあります。このエンジニアの時給が高くなり、その人に依存した体制になるため、辞職時に大きなリスクが生じます。

内製化を前提にするなら、採用市場で人材が取りやすい言語を選ぶことが後の運用コストを大きく下げます。

2. システムアーキテクチャの設計

システムがモノリシック構造か、マイクロサービス構造かで、改修の手間が変わります。

モノリシック構造は、すべての機能が一つのシステムに詰め込まれているため、1つの機能を変更するときに全体のテストが必要になります。数人のエンジニアで対応すると、1回の改修に3日〜1週間かかることもあります。

マイクロサービス構造は、機能ごとに独立したシステムに分割されているため、特定の機能だけを改修・デプロイできます。テスト範囲が限定され、改修時間が1日程度に短縮される傾向があります。

月に5件以上の改修依頼がある企業では、マイクロサービス設計で開発することで、年間200時間〜400時間の工数削減につながり、外注の場合は年間300万円〜600万円のコスト削減が実現します。

3. チームスキルと教育体制

内製チームが構築したシステムの理解度で、保守効率が決まります。

開発を完全に外注した場合、引き継がれたドキュメントだけでは、開発背景や設計思想が伝わりません。新しい改修依頼が来たとき、外注先のエンジニアは毎回ゼロから理解する必要があり、修正時間が長くなります。

GA4で行動データを確認していると、その解析結果をもとに機能改修をしたくなるシーンが出てきます。このとき、すぐに動けるかどうかで競争力が変わります。

このとき、内部にシステムを理解したエンジニアがいると、改修判断を素早く実行できます。

内製チームが開発に関わっていると、システムの意図を共有でき、後続の改修も効率的に進みます。

初期開発の際に、外注先エンジニアと内製チームが一緒に開発する「教育型開発」を選ぶことで、保守のハードルを下げられます。

4. 保守サポート体制と契約形態

外注先との契約が「単発の案件ベース」か「月額保守契約」かで、運用コストの予測可能性が変わります。

案件ベース契約の場合、毎回の見積もり・交渉が必要になり、急ぎの対応は割増料金がかかります。バグが発生したときの対応時間も長くなり、その間の売上損失を含めるとコストはさらに膨らみます。

月額保守契約の場合、毎月の費用が固定され、対応優先度も明確になります。ただし、月額15万円〜30万円が相場であり、3年で540万円〜1,080万円の固定費がかかる点を念頭に置く必要があります。

内製化した場合、エンジニアの人件費は給与として支払われるため、改修が増えても外注費は発生しません。年間800万円〜1,200万円のエンジニア給与で対応できれば、外注より安くなるポイントがあります。

内製開発と外注開発の構造的違い

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観点 内製開発 外注開発
初期開発費用 高い(200万円〜500万円) 低い(100万円〜300万円)
月額運用コスト 人件費のみ(50万円〜100万円) 保守費用(15万円〜30万円)
年間総コスト(3年) 900万円〜1,500万円 640万円〜1,380万円+緊急対応費
改修対応時間 1日〜3日 3日〜1週間
システム理解度 高い 低い
スキル属人化リスク 同じエンジニアへの依存 外注先への依存
機能追加時の自由度 高い 低い(見積もり交渉が必要)
セキュリティ責任 自社が負担 外注先と分担

この表を見ると、どちらが安いかは企業の状況によって異なることが分かります。判断の基準は「改修頻度」と「必要スキル」にあります。

開発体制で判断する長期収益性の基準

自社の状況に応じて、内製化すべきか外注を続けるべきかの判断基準があります。

内製開発を選ぶべき企業

以下のいずれかに該当する場合、内製開発への投資が長期的に収益性を高めます。

  • 月間改修依頼が5件以上ある(年間60件以上)
  • 市場の変化に応じて機能を頻繁に追加・変更する必要がある
  • 年商5,000万円以上のECサイト・BtoB基幹システムを運用している
  • 顧客データを活用した高度な分析機能が必要(GA4連携・予測分析など)
  • セキュリティやコンプライアンス要件が厳しい業界にいる
  • 既に月額保守費用が15万円以上かかっている

これらのケースでは、内製チームを構築する初期投資(300万円〜500万円)の回収期間は2年〜3年です。その後の5年間は毎年200万円〜400万円のコスト削減が実現します。

外注開発を続けるべき企業

以下のいずれかに該当する場合、完全外注やSaaS利用が効率的です。

  • 月間改修依頼が2件未満(年間24件未満)
  • 標準的なECサイト・コーポレートサイトで、大きなカスタマイズが不要
  • 年商1,000万円未満で、システムへの投資余力がない
  • Shopify・MakeShopなどのSaaSプラットフォーム上で運用している
  • 変化の激しい市場ではなく、システムの安定性が最優先
  • ITスキルを持つ人材が社内にいない

このケースでは、月額15万円程度の保守費用で安定運用できます。内製化のための採用・教育コストを避けられるメリットがあります。

ハイブリッド体制(部分内製化)

最も現実的な選択肢は、コア機能は内製、専門的な開発は外注する「部分内製化」です。

例えば、商品データ管理・ページ制作・キャンペーン構築は内製チームが担当し、決済システムやAPI連携などの複雑な実装は外注するパターンがあります。

この場合、内製チームのスキルレベルは「Python・JavaScript・SQL」程度で十分です。高度なシステムアーキテクチャの知識は外注先が持っているため、教育コストも削減できます。

月額保守費用を5万円〜10万円に圧縮しながら、改修対応を1日程度に短縮できる体制として、年間100万円〜150万円のコスト削減が見込めます。

福岡ECサイト株式会社が支援した事例

AI 設計 データ エンティティ 仕組み

年商2億円のEコマース企業が、完全外注体制から部分内製化へ移行したケースがあります。

初期状態は月額25万円の保守費用がかかり、改修依頼から対応まで平均5日かかっていました。GA4で流入データを確認しても、ページ改善に着手するまで2週間かかるため、市場機会を失っていました。

内製エンジニア1名(年収800万円)を採用し、3ヶ月間は外注先と一緒に開発する体制を取りました。既存システムの構造をキャッチアップしたエンジニアは、4ヶ月目から独立して改修対応できるようになりました。

結果、月額保守費用が25万円から5万円に低下し、改修対応が平均1日に短縮されました。年間240万円のコスト削減と、迅速な施策検証による売上向上で、投資回収期間は1年でした。

開発言語・フレームワークの選択が運用コストを決める

初期開発で採用する技術スタックが、その後5年間の総運用コストを決めます。

Shopify管理画面で在庫確認していると、API連携のタイムラグが課題になるシーンがあります。実際の現場では、このポイントで差がつきます。このとき、内部システムに詳しいエンジニアがいると、APIコールを最適化する改修を迅速に実行できます。逆に、古い言語で構築されたシステムでは、対応エンジニアを外部から探す必要があり、単価が2〜3倍になることもあります。

採用の際に考慮すべき言語は以下の通りです。

  • Python:機械学習・データ分析が必要な企業向け(採用難易度は中程度)
  • JavaScript・Node.js:Web制作・フロントエンド重視の企業向け(採用難易度は低い)
  • PHP・Laravel:既存のレンタルサーバーで運用する場合(採用難易度は低い)
  • Go・Rust:スケーラビリティが最優先の大規模企業向け(採用難易度は高い)

年商2億円〜10億円企業の場合、Python または JavaScript での開発が、採用市場での競争力と運用効率のバランスが最も取れています。

内製化に必要な3つの準備段階

内製開発への転換は、急激に行うと失敗します。段階的に進めることが重要です。

準備段階1:現状分析と体制設計(1ヶ月)

まず、現在のシステムの複雑度・保守負荷・外注コストを整理します。

定量的に以下を確認します。

  • 過去12ヶ月の改修依頼件数と対応時間
  • 月額保守費用と年間総額
  • 緊急対応が発生した回数と追加費用
  • 現在のシステムの開発言語・フレームワーク・アーキテクチャ
  • 既存の技術ドキュメントの完成度

この分析から、内製化で削減できるコストと、必要な投資額を算出します。

準備段階2:採用と教育期間(3ヶ月〜6ヶ月)

エンジニアの採用は、スキルと適性の両面で判断します。

即戦力を求めず、「学習意欲と既存システムへの理解意思がある人材」を採用します。Slack通知で急ぎの対応が来ても、冷静に対応できる人材を選びます。

採用後は、外注先エンジニアと一緒に開発する「教育型プロジェクト」を設定します。ここでじっくり時間をかけることが、後の成功を左右します。一般的な業務は任さず、既存システムの構造をキャッチアップさせることを優先します。

準備段階3:段階的な業務移管(3ヶ月)

軽微なバグ修正→定常的な改修→複雑な新機能開発の順番で、業務を移管します。

最初は外注先の監督下で作業し、品質と進捗を確認してから次の段階に進みます。失敗を許容する期間として3ヶ月は確保します。

外注依存を続けることの隠れたコスト

月額15万円の保守費用は安く見えますが、隠れたコストが大きくなっていることに気付かない企業が多くあります。

改修依頼から対応まで5日かかる間に、機会損失が発生します。GA4で改善案が見つかっても、実装までに1週間かかるため、その間の売上機会を失います。

1日あたりの売上が100万円の企業なら、5日の遅延で500万円の機会損失になることもあります。年間60件の改修があれば、総機会損失は1,500万円を超えることもあります。

つまり、月額保守費用だけで判断すると、実際の総コストが見えなくなるということです。重要なのはここです。

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