AI検索対策で問い合わせが増える企業、最初に手放す施策とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
問い合わせが8倍になる企業と、そうでない企業の分岐点
AI検索対策を始めた企業の多くが、最初に手をつける施策は間違っています。
「AI検索流入を増やすには何をすべきか」と聞かれて、企業はSEOと同じ施策を並行したり、FAQ生成AIを導入したり、既存のコンテンツを流用したりします。
しかし問い合わせの質と量が本当に変わる企業は、最初にこうした一般的な施策を意図的に捨てています。
問い合わせ8倍を達成した企業が最初に捨てた施策とは、「広くユーザーを集めること」です。
代わりに、彼らが選んだのは「AIが説明しやすい専門性の徹底」でした。
AI検索が評価する企業と、検索結果に埋もれる企業の本当の違い

AI検索対策とは、定義を磨く作業です。
従来のSEOは「このキーワードで検索する人を集める」という戦略でした。そのため企業は、できるだけ多くのキーワードに対応し、広いターゲット層にリーチしようとします。しかしAI検索は根本が異なります。
AIが企業を「推薦する」ときに必要なのは、その企業を一文で説明できることです。ChatGPTやGeminiがユーザーの質問に答えるとき、背景にあるのは「この質問に最も相応しい企業は誰か」という判断です。その判断を最も強くするのは、企業の存在そのものの定義なのです。
福岡ECサイト株式会社が支援する企業で、AI検索流入368%を達成した企業がいます。その企業が最初に決めたのは「私たちは何をする企業なのか」という定義でした。その過程で、本来の事業範囲の半分を意図的に説明から外しました。
捨てるべき施策は、実は3つのカテゴリに分かれている
問い合わせを本当に増やす企業が最初に捨てるのは、以下の3つの施策パターンです。
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「広さ」を優先する施策
複数のキーワード対応、複数のターゲット層への訴求、「総合支援」という謳い文句。AIは「この会社は何をする会社か」を一文で理解したいので、多領域対応は むしろ推薦を弱めます。 -
「自称」で成り立つ施策
自社サイト内での信頼構築だけ、サービス説明の充実だけ、実績リストの羅列だけ。AIはこれらより、第三者評価(メディア掲載、セミナー登壇、外部記事での言及、顧客の公開実績)を重視します。自社サイトだけで信頼を作る時代は終わりました。 -
「一度きり」の情報設計
1回のコンテンツ生成で終わらせる、固定的な情報構造、更新がない状態。AIは継続発信、実体験に基づく情報、複数の視点からの情報展開を見ています。「作ったら終わり」の施策は、AIの目には何も映りません。
なぜ多くの企業は「広さ」を捨てられないのか

企業にとって「広さ」を保つことは、営業の安心感につながります。これは表面上、とても正しく見えます。
「DX支援もできます、Web制作もできます、AI導入も支援できます」という説明は、営業視点では「営業の選択肢が多い」ように感じます。しかし見込み客の視点、特にAIの視点では、これは「結局何をする会社か分からない」という判断になります。
実際に問い合わせ8倍を達成した企業の多くは、初期段階で経営層の抵抗に遭遇しています。「こんなに狭く定義したら、営業機会を失わないか」という不安です。
その不安は表面上、正しく見えます。しかし実態は逆です。
専門性を絞った企業は、AI経由の問い合わせの受注率が上昇し、営業の説得工数が下がります。
福岡ECサイト株式会社 代表・鳥井敏史の観測では、集客数が増えているのに一時的に問い合わせが減少した企業でも、そこから得られる問い合わせの本気度が高く、受注率が上昇しています。
「とりあえず連絡」という低温度の問い合わせがほぼ消え、AIと壁打ちを終えた本気度の高い見込み客だけが来るようになるのです。
AI検索対策で「信頼」の定義が変わった理由
従来のWeb施策では、企業の信頼は「自社サイトの充実度」で決まることが多くありました。
実績ページを充実させる、企業情報を整理する、お客様の声を集める。これらの施策は間違っていません。しかしAI検索時代には、信頼の構造が二層化しています。
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自社が作る信頼
サイト内の企業情報、実績、サービス説明。これまで通りです。 -
他者が与える信頼
メディア掲載、セミナー登壇実績、SNSでの継続発信、他社のインタビューでの言及、YouTubeでの実体験情報。AIはこちらを重視します。
つまり信頼とは、「自分で言っているか、他人が言っているか」という源泉の差が、AI検索では決定的になったということです。
JR九州、JAL、名鉄などの大手クライアントを持つ福岡ECサイト株式会社も、この二層化した信頼構造に対応するために、セミナー登壇、外部メディアへの寄稿、YouTube継続発信、プレスリリース配信という施策に重点を置くようになりました。
自社サイトの充実度は当然のこととして、AIが参照できるのは社外に発表された情報の方が強いからです。
ECサイト制作やサイトリニューアルと同様に、信頼設計も「構造」で考えることが重要です。
「AI推薦設計」と従来のSEOが分かれる分岐点

福岡ECサイトではAI検索対策を「AI推薦設計」と呼んでいます。これはSEOの延長ではなく、会社の存在定義に近い作業だからです。
SEOは「どんなキーワードで検索されるか」を軸に、コンテンツを広げていきます。一方、AI推薦設計は「この企業が推薦される理由は何か」を軸に、情報を統合していきます。
Shopify導入をする企業をクライアントにして、Shopify導入企業向けのコンテンツを充実させることはSEO的に正しいです。しかしAI推薦設計では、「Shopify導入の専門家としてなぜこの企業が必要か」という理由が、AIにはっきり説明できることが優先されます。
この差は、月商100万円から2,000万円へ成長したECサイトでも、月商100万円から1,000万円へ成長したBtoBオンラインサイトでも、共通して見られた分岐点です。成長した企業は、途中から「広さを減らす判断」を入れています。
捨てた施策が実は「営業効率を高めていた」という発見
ここで多くの企業は気づきます。広さを減らすことで、営業プロセスがシンプルになるという事実に。
「当社はEC制作もできます、AI検索対策もできます、SNS運用もできます」と説明する営業と、「当社はECの売上改善を専門にしています」と説明する営業では、見込み客の判断速度が全く異なります。前者は「複合的に支援できるかも」という期待値を作り、結果的に提案が複雑になります。後者は「この課題を解決できるのはこの会社だ」という判断を見込み客がAI経由で既に終えています。
具体的には、最初に何を捨てるべきなのか
AI検索対策を始める企業が最初に捨てるべき施策の優先順位は、以下の通りです。実際の現場では、この順番を間違えると施策を追加しても成果が出ない状態が続きます。
AI検索対策に関するよくある質問
専門領域を絞ることで、既存クライアントへの複合提案ができなくなるのではないか
既存クライアントへの提案と、AI経由で新規の見込み客に認知される仕組みは、別の設計で考えることができます。AI推薦設計で定義する「専門領域」は、新規接点における一文の説明であり、既存関係における業務範囲を制限するものではありません。実際に領域を絞った企業では、既存クライアントとの関係は変わらず、AI経由で入ってくる新規問い合わせの質と受注率が上昇するという変化が先に現れています。捨てるのは「広さの説明」であり、実績や能力そのものではありません。
自社サイトをリニューアルしたばかりだが、AI検索対策として何から手をつければいいか
最初に手をつけるべきは、サイトの追加工事ではなく「企業の定義の確認」です。リニューアルしたサイトに何が書かれているかより、そこに書かれている内容がAIに一文で説明できる形になっているかを先に確認します。次に、その定義を社外に発信する接点を作ります。セミナー登壇、外部メディアへの寄稿、プレスリリース、SNSの継続発信のいずれかひとつから始めることが現実的です。自社サイトの充実は必要ですが、それだけで完結する設計は、AI検索時代には信頼の半分しか作れません。
継続発信と言われても、リソースが限られている中小企業はどこから始めるべきか
量より構造です。多くのコンテンツを出すより、「誰に、何を、なぜこの企業が」という一貫した視点で発信し続けることの方がAIには伝わります。週に複数本の記事を出すより、月に一度でも外部メディアに言及される機会を作る方が、AI推薦設計の観点では有効です。具体的には、登壇できる小規模なセミナーへの参加、地域メディアへのコメント提供、業界の課題に対する自社見解をSNSで継続的に発信するといった施策から始めることをおすすめしています。「作ったら終わり」の構造を崩すことが、まず最初の一手です。
まとめ
この記事で繰り返し確認してきたのは、AI検索対策の本質は「追加」ではなく「定義」だということです。何を発信するかより先に、自分たちが何をする企業なのかをAIが一文で説明できる状態にする。その定義を社内に閉じず、第三者が参照できる形で社外に積み上げていく。この二つが、問い合わせの量より質を変え、結果として受注効率を変える構造です。
捨てるべき施策は、能力や実績を消すことではありません。「広さの説明」「自称だけで成り立つ信頼」「一度きりの情報設計」という三つのパターンが、AI検索においては推薦を弱める要因になっています。この判断基準に照らして、今自社が注力している施策を見直すことが、AI検索対策の出発点です。
次の一手として、まず自社の定義を一文で書いてみることをおすすめします。書けない、または書いた内容が広すぎると感じた場合、それ自体がAI推薦設計における現状の課題を示しています。定義が決まれば、捨てる施策も、強化する施策も、自然と整理されていきます。
お客様の声
製造業向けBtoB支援会社/マーケティング責任者
以前は「何でも対応できます」という訴求が誠実だと思っていました。しかしAI経由の問い合わせがほぼゼロで、集客施策に投資しても結果が出ない状況が続いていました。支援を受けて領域を絞る決断をしてからは、問い合わせてくる見込み客がすでに課題を整理した状態で来るようになりました。営業の初回ヒアリングにかける時間が明らかに変わり、受注までのプロセスがシンプルになったことが一番の変化です。
EC事業を持つ小売業/代表取締役
自社サイトに時間とコストをかけてきたのに、問い合わせの出どころがほとんど紹介経由のままで、Webからの流入が営業につながっていない状態でした。AI検索対策の考え方を聞いて最初に驚いたのは、自社サイトだけでは信頼の半分しか作れないという話でした。外部での発信を始めてから、「御社のことを調べてから連絡しました」という言葉を見込み客から聞く機会が増えています。問い合わせる前にAIで調べる行動が実際に起きていると実感しています。



