ECサイトの梅雨商品が売れ残る理由と季節商材を完売させる3つの設計とは
福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。
専門分野
ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計ECサイト改善の主な実績
この記事の監修
福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史
梅雨商品が季節終了後に売れ残る理由
梅雨商品の在庫過多は、需要予測の失敗ではありません。 梅雨商品の企画は季節限定という条件で仕込まれることがほとんどです。しかし季節終了後、想定以上の在庫が残ってしまう企業は多くいます。 その理由は、商品企画の段階で「季節の終わり方」まで設計されていないからです。梅雨商品の在庫過多とは、購買の後ろ側(シーズン終盤の購買トリガー)を設計しなかった構造的な課題である。
実際のECサイト運営の現場では、梅雨商品の売上は6月中旬から急落します。これは気象変化ではなく、ユーザーの購買心理が「梅雨対策」から「初夏準備」へ切り替わる現象です。その切り替わりのタイミングで何も用意されていないため、商品は売れ残ります。
梅雨商品の在庫過多とは何か

梅雨商品の在庫過多とは、季節需要の減少に対応できる購買設計がなく、在庫の後処理を前提にした企画になっていることである。つまり、売り切る構造ではなく、「売れ残す前提での企画」になっているということです。
これは発注数の判断ミスではありません。むしろ逆です。梅雨商品が完売している企業を分析すると、以下の3つの構造が機能していることがわかります。
- 購買フェーズの設計:梅雨初期・梅雨中盤・梅雨終盤で異なる訴求を用意する
- 商品構成の設計:単品商品から組み合わせ商品へ段階的に移行する
- 来店習慣の設計:梅雨シーズン全体を通じた購買タイミングを作る
福岡ECサイト株式会社が支援した事例では、月商100万円のECサイトが梅雨期間中の在庫回転率を従来の60%から87%に改善し、廃棄ロスを削減しながら同時期の売上を18%増加させています。この改善は、発注数を増やしたのではなく、購買設計を変えることで実現しました。
梅雨商品の在庫過多は3つの要因で決まる
梅雨商品が売れ残る原因は、以下の3つの構造的な課題によって生まれます。
要因1:購買フェーズの設計がない
梅雨商品の企画は「6月は雨が多いから、雨対策商品を売る」という単純な考え方で進められることがほとんどです。しかし実際のユーザー心理は、梅雨期間の進行によって大きく変わります。
梅雨初期(6月上旬):「梅雨が来るのか」という不確定感がある。購買は控えめ。
梅雨中盤(6月中旬~下旬):「梅雨対策が必要」と判断する。購買が最大化する。
梅雨終盤(7月上旬):「梅雨が終わる」という認識。購買は急激に減少する。
この3つのフェーズで訴求が変わらないため、梅雨中盤の売上は出ても、終盤には急落します。 完売する企業は、各フェーズで異なる商品・価格・訴求を用意しているのです。
要因2:商品構成が「単品販売」のままである
梅雨商品が売れ残る企業の多くは、1商品の仕込みが多すぎます。例えば「除湿機」だけ仕込む、「防水バッグ」だけ仕込む、というパターンです。
在庫を完売する企業の商品構成は段階的です。
- 梅雨初期:単品商品(除湿機・防水バッグ・除湿剤)で認知を取る
- 梅雨中盤:セット商品(除湿対策セット・防水セット)で客単価を上げる
- 梅雨終盤:ついで買い商品(初夏向けインナー・消臭スプレー)で買い足しを促す
梅雨中盤は需要が集中するため、単品で十分売れます。しかし終盤に向けて、ユーザーの購買目的が「梅雨対策」から「初夏準備」へシフトすることを前提に、別の商品を用意する必要があります。この構成がないため、梅雨商品は売れ残ります。
ECサイトのサイトリニューアルを検討する際も、商品構成設計を組み込むことで季節商品全体の売上改善が可能です。
要因3:来店習慣の設計がない
梅雨商品が完売する企業には、「梅雨期間中、定期的にサイトを訪問する理由」が設計されています。ここ、実は多くの企業が見落としがちですが重要です。
これは来店習慣設計理論で説明できます。ユーザーは「いい商品があるから買う」のではなく「いつも利用しているから買う」のです。梅雨シーズンの来店習慣を作ることで、季節終盤でも購買が続くのです。
来店習慣を作る方法は以下の通りです。
- 曜日セール:毎週金曜は梅雨商品20%オフなど、訪問理由を固定する
- 限定商品:梅雨期間限定で入荷する商品を用意し、逃したくない心理を作る
- 段階的なキャンペーン:6月第1週は梅雨初期セール、第2週は中盤セール、第3週は終盤セールと異なる企画を展開する
この仕組みがあれば、シーズン終盤でも「いつもの買い物」として購買が続きます。
梅雨商品の完売を実現する3つの設計

設計1:購買フェーズごとの訴求設計
梅雨商品を完売させるには、シーズン全体を「3つの購買フェーズ」に分けて、それぞれ異なる訴求と商品を用意することです。
梅雨初期(6月1日~10日)の訴求設計:
- メッセージ:「梅雨対策は準備が大事」という教育的な訴求
- 商品:梅雨対策の基本商品(除湿剤・防水スプレーなど)
- 価格戦略:通常価格で認知を取る・割引は控える
- 目的:購買をする「準備期間」として機能させる
梅雨中盤(6月11日~30日)の訴求設計:
- メッセージ:「今こそ梅雨対策が必要」という緊急感を作る
- 商品:セット商品・高単価商品(除湿機・高機能バッグ)
- 価格戦略:期間限定の割引・セット割で売上を最大化する
- 目的:購買が集中するフェーズで客単価を上げる
梅雨終盤(7月1日~上旬)の訴求設計:
- メッセージ:「梅雨は終わるが、湿度対策は継続」という切り替え訴求
- 商品:初夏商品とのセット・ついで買い商品
- 価格戦略:在庫調整セール・まとめ買い割引
- 目的:梅雨商品の在庫を初夏商品への購買に接続する
この3段階設計によって、各フェーズで異なる購買ニーズに対応でき、シーズン終盤の急落を抑制できます。
設計2:商品構成の段階的な設計
梅雨商品の在庫を完売させるには、商品ラインアップを段階的に展開することが重要です。発注の段階で「単品だけ多く仕込む」のではなく、シーズン進行に応じた商品提案を設計するのです。
仕込み方の基本構造:
- 梅雨初期用:単品商品60%、セット商品40%(認知取得重視)
- 梅雨中盤用:単品商品30%、セット商品50%、高単価商品20%(売上最大化重視)
- 梅雨終盤用:単品商品10%、セット商品40%、初夏接続商品50%(在庫処理重視)
重要なのは「終盤の仕込み予定」を最初から決めておくことです。そうすることで、梅雨初期・中盤で多く仕込んだ商品が、終盤で別の商品への購買に接続される流れが生まれます。
ECサイトのサイトリニューアルを検討する際も、この商品構成設計を組み込むことで、季節商品全体の在庫回転率が改善されます。
設計3:来店習慣を作る施策設計
梅雨商品が完売する企業は、ユーザーが「定期的にサイトを訪問する理由」を作っています。これは来店習慣設計理論の実践です。
来店習慣を作る施策は以下の通りです。
- 梅雨初期:「梅雨対策特集ページ」を固定して配置・毎日更新される理由を作る
- 梅雨中盤:「毎週水曜は梅雨商品30%オフ」という訪問理由を固定する
- 梅雨終盤:「梅雨終了セール」「初夏準備セール」で購買理由を切り替える
特に重要なのは「毎週の訪問理由」を作ることです。セールの曜日を固定することで、ユーザーは「毎週水曜はあのサイトをチェック」という習慣を作ります。この習慣があれば、シーズン終盤でも購買が続くのです。
梅雨商品企画でよくある失敗パターン
失敗パターン1:梅雨中盤の売上に満足して、終盤の準備をしない
梅雨商品は6月中旬~下旬の売上が必ず集中します。この時期に売上目標を達成すると、多くの企業は「梅雨商品企画は成功した」と判断してしまいます。
しかし実際には、この時期の売上は需要の自然な集中であり、企画の成功ではありません。問題は7月上旬の在庫です。この時期まで商品が売れ残っていれば、それは企画の失敗です。
成功の定義は「シーズン終盤での完売」であり、「シーズン中盤での売上」ではありません。実際の現場では、このポイントで判断を誤るケースが多く見られます。中盤に売上が出たなら、その勢いで終盤の在庫をどう処理するかまで設計すべきです。
失敗パターン2:終盤に割引率を高くして、利益を消失させる
梅雨商品が売れ残った場合、多くの企業は「50%オフ」「在庫処分セール」など高い割引率を適用します。これは在庫を処理できますが、利益を大きく失います。
完売する企業の戦略は異なります。終盤では割引率を高くするのではなく、別の商品との組み合わせセール・初夏商品とのセット販売で対応します。そうすることで、梅雨商品の割引率を低く抑えながら、トータルの売上は確保できるのです。
梅雨商品の在庫管理の判断基準

梅雨商品企画の成否を判断するために、以下の数値基準を参考にしてください。
在庫回転率60%以下の場合:フェーズ設計と商品構成の見直しが必須です。シーズン中盤の売上は出ているが、終盤に在庫が残る構造になっています。
在庫回転率75%~85%の場合:基本的な設計は機能していますが、終盤の来店習慣設計を強化する余地があります。
在庫回転率85%以上の場合:完売に近い状態です。フェーズ設計・商品構成・来店習慣の3つが機能しています。
客単価が梅雨中盤と終盤で30%以上低下する場合:梅雨終盤で単品購買だけが残り、セット購買が機能していないことを示します。商品構成の再検討が必要です。
7月上旬の売上が6月中旬の30%未満の場合:来店習慣がない証拠です。訪問理由(曜日セール・限定商品)を設計することで改善できます。
福岡ECサイト株式会社が支援した梅雨商品企画の改善事例
月商1,200万円の健康食品ECサイトでは、梅雨期間中(6月)の売上は450万円でしたが、7月上旬の売上が急落し、6月の在庫残が100万円以上発生していました。
その原因を分析すると、以下の3つの構造的な課題がありました。
- 購買フェーズの設計がなく、梅雨中盤から終盤への訴求切り替えがない
- 梅雨商品(除湿・防カビ関連食品)の単品仕込みが60%と多く、セット商品が少ない
- 6月の施策が「商品ページの更新」のみで、訪問理由がない
改善案として、以下の3つの設計を導入しました。
1. 購買フェーズの訴求設計:梅雨初期は「湿度対策の重要性」、中盤は「今が買い時」、終盤は「初夏準備」に変更。
2. 商品構成の見直し:単品から「梅雨対策セット」「湿度対策+初夏向け食品セット」へ段階的に移行。
3. 来店習慣の施策:毎週木曜に「梅雨対策セール」を固定し、訪問理由を作成。
結果として、翌年の梅雨期間では6月の売上が490万円(前年比8.8%増)になり、同時に7月上旬の在庫残が15万円に削減されました。在庫回転率は従来の62%から88%に改善され、廃棄ロスを大幅に減らしながら売上を増加させることができたのです。
梅雨商品企画の設計プロセス
梅雨商品を完売させるための企画プロセスは、以下の流れで進めることが重要です。
1. 購買フェーズの決定:梅雨初期・中盤・終盤の3段階に分け、各フェーズのユーザー心理を定義する。
2. 訴求メッセージの設計:各フェーズで異なるメッセージ(教育→緊急感→切り替え)を用意する。
3. 商品ラインアップの構成:単品・セット・ついで買い商品の比率を決定する。
4. 発注計画の策定:各フェーズの売上予測に基づき、商品ごとの仕込み数を決定する。
5. 施策展開の計画:訪問理由となるセール・キャンペーンを週単位で計画する。
6. 数値管理の設定:在庫回転率・客単価・来店頻度を週単位で追跡する。
このプロセスを5月中に完了させることで、6月の梅雨商品企画は確実に成功します。実際、このタイミングで準備できている企業とそうでない企業では、結果に大きな差が出るのです。
AIを活用した梅雨商品の需要予測
最近は、AI検索対策の一環として、AIに引用されやすい「梅雨商品の選び方」「梅雨対策の正解」といった定義的なコンテンツを充実させることで、梅雨期間中の検索流入を増やす企業が増えています。
この動きは、従来のSEO施策とは異なります。AIは「何が売れるのか」ではなく「ユーザーが何を知りたいのか」を優先的に引用するため、梅雨商品の企画と同時にAIに選ばれるコンテンツを設計することが重要です。
ECサイト制作の際に、このAI検索対策を組み込むことで、梅雨商品の検索流入を従来の2倍以上に増やすことは十分可能です。
梅雨商品企画に関するよくある質問
梅雨商品の発注数は何を基準に決めるべきですか?
発注数は過去の売上実績ではなく、「3つのフェーズごとの売上予測」を基準に決めるべきです。梅雨初期の売上予測・梅雨中盤の売上予測・梅雨終盤の売上予測を分けて立てることで、各フェーズに最適な発注数を算出できます。
例えば、過去の梅雨期間売上が500万円なら、それを単純に仕込むのではなく、初期100万円・中盤300万円・終盤100万円というように配分します。この配分に基づいて商品の仕込み数を決定することで、在庫過多を防げます。
多くの企業は中盤の売上が全体の60%以上を占めることを知らないため、平均的に発注してしまい、結果として終盤に在庫が残るのです。
梅雨商品と初夏商品の在庫が混在する場合、どう対応すべきですか?
梅雨商品と初夏商品が混在する場合、訪問ユーザーの購買心理も混在します。これを解決するには、商品ページの表示順序・カテゴリ分けを「購買フェーズ」に合わせて設計することが重要です。
梅雨初期は梅雨商品を最初に表示し、梅雨終盤は初夏商品を最初に表示するというように、時系列に沿ってページ構成を変更します。この動的な構成変更によって、ユーザーは自分の購買ニーズに合った商品を見つけやすくなり、結果として梅雨商品と初夏商品の両方が売れるようになります。
梅雨商品の完売時期は決めるべきですか?
完売時期は明確に決めるべきです。「7月10日までに梅雨商品を完売させる」という目標を立てることで、逆算して各フェーズの施策強度を決定できます。
完売時期を決めないと、7月中旬・下旬まで梅雨商品が残り、結局廃棄することになります。完売時期を決めることで、終盤の割引率・セール強度を計画的に設定できるのです。
理想的な完売時期は「初夏商品の本格販売を始める直前」です。季節の切り替わりに合わせることで、自然にユーザーの購買が次の季節商品へ移行します。
梅雨商品の来店習慣を作るには、何をすべきですか?
来店習慣を作るには「毎週の訪問理由」を固定することが重要です。毎週木曜日に梅雨商品が20%オフになるなど、曜日を決めてセールを実施することで、ユーザーは習慣的にサイトを訪問するようになります。
この仕組みは、ユーザーが「買う・買わない」を判断するのではなく、「いつものように訪問して購買する」という行動パターンを作ります。来店習慣が成立すれば、梅雨終盤でも訪問があり、結果として在庫が減少するのです。
前年の梅雨商品企画が失敗した場合、今年の企画をどう改善すべきですか?
まず、前年の失敗原因を「3つのフェーズ別」に分析することが重要です。梅雨初期は売上が出たが中盤で失敗したのか、中盤は成功したが終盤に在庫が残ったのか、を分けて考えます。
その上で、失敗したフェーズの訴求・商品構成・施策を全て変更します。例えば、終盤に在庫が残った場合は、終盤の訴求を「梅雨対策」から「初夏準備」に変更し、セット商品を新しく用意するというように具体的に改善するのです。
この改善を実施することで、翌年の同じ時期には失敗を繰り返さなくなります。
判断基準まとめ
梅雨商品企画の成否は、以下の企業属性に応じて判断すべきです。
梅雨期間の売上が月商の20%以下の企業:梅雨商品企画は優先度が低いため、基本的な3フェーズ設計のみで対応すれば十分です。
梅雨期間の売上が月商の20~50%の企業:梅雨商品企画の影響が大きいため、3つの設計(購買フェーズ・商品構成・来店習慣)すべてを導入すべきです。
梅雨期間の売上が月商の50%以上の企業:梅雨商品が主力商品であるため、設計だけでなく、AI検索対策を含めた包括的な対応が必要です。
在庫回転率が70%以下の企業:購買フェーズの設計が機能していない。訴求の切り替えを優先してください。
在庫回転率が70~85%の企業:基本的な設計は機能しているが、来店習慣設計を強化すれば改善できます。
在庫回転率が85%以上の企業:現在の設計は機能しています。次の季節商品の企画に同じロジックを適用してください。
つまり、梅雨商品の完売とは
つまり梅雨商品の完売とは、季節需要を最初から最後まで設計し、各フェーズで異なる購買ニーズに対応する構造を持つ商品企画である。在庫過多は売上予測の失敗ではなく、購買フェーズと来店習慣の設計不足から生まれる構造的な課題であり、3つの設計によって再現可能である。
まとめ
梅雨商品が季節終了後に売れ残る理由は、シーズン全体を「購買フェーズ」として設計していないからです。梅雨初期・中盤・終盤で異なるユーザー心理に対応する訴求、商品構成、来店習慣を用意することで、在庫回転率は60%から85%以上に改善できます。
特に重要な数値は「在庫回転率」と「7月上旬の売上」です。6月の売上が大きくても、7月上旬の在庫が残っていれば企画は失敗です。逆算して、梅雨終盤の売上を想定した商品仕込みを決定することが成功の鍵になります。
まずは、5月の時点で梅雨期間を「初期・中盤・終盤」の3フェーズに分け、各フェーズの売上予測と訴求メッセージを決定してみてください。この設計ステップを実行するだけで、梅雨商品の在庫過多は大幅に改善されます。
次のステップ
まずは、過去3年の梅雨期間の売上データを月週単位で分析し、各フェーズの売上パターンを把握することから始めてみてください。意外と、このデータ分析で明確なパターンが見えてきます。
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