代理店パートナーのEC制作支援で失敗する企業が見落とす提案力と収益構造の判断基準とは

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鳥井敏史

福岡ECサイト株式会社
代表 鳥井 敏史

この記事を書いた人

福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史

ECサイト制作・AI検索対策の実務コンサルタント。15年以上にわたりECサイトの売上構造改善と集客設計を支援。売上改善・集客改善の実務支援を中心に企業のECサイト構造の再設計を行う。

専門分野

ECサイト制作 ECサイトリニューアル AI検索対策 SEO / コンテンツ設計

ECサイト改善の主な実績

・ECサイト制作歴15年以上 ・MakeShopアンバサダー ・JBEA EC業界SEO部門2025受賞 ・月商100万円 → 月商2,000万円 ・BtoB EC 月商100万円 → 月商1,000万円 ・支援企業:JR九州 / JAL / 名鉄 など

この記事の監修

福岡ECサイト株式会社 代表 鳥井 敏史

目次

代理店パートナーとして失敗する企業が見落とすEC制作支援の提案力と収益設計の優先順位とは

代理店パートナーとして失敗する企業が見落とすEC制作支援の提案力と収益設計の優先順位とは、顧客のEC売上構造を理解し、制作だけでなく集客・運用を一体設計して提案する能力と、パートナー自体の安定した収益構造を両立させることである。

代理店パートナーとしてEC関連の支援をしているのに、顧客満足度が上がらず、継続案件が減り続けていませんか。制作は完了したはずなのに、顧客から「売上が変わらない」という声が上がる。そうなると契約更新時に値引き交渉を迫られるか、別の業者に乗り換えられてしまう。

このパターンに陥る企業の多くは、制作という完成品を納品する思考のままで、顧客のEC売上を「設計」する思考を持っていません。結果として、売れるサイト構造を設計できず、顧客の期待と現実のギャップが広がる。さらに代理店パートナー自身も、プロジェクト売上に依存した不安定な収益構造になり、長期的な事業成長を実現できません。

代理店パートナーがEC支援で売上構造を見落とす理由

福岡ECサイトのオフィスで女性が男性とPCに向かってMTG、会議 MTG 女性 男性 ECサイト

代理店パートナーがEC制作支援を行う場合、ほとんどの企業が「制作」を商品として捉えています。見積もりを出す際も「制作費」を中心に計算し、制作完了日が納期になり、そこで関係が終わるという流れです。

しかし顧客が本当に求めているのは制作ではなく「売上改善」です。ここ、意外と気づきにくいのですが、これが提案段階でのすれ違いの根本原因です。Shopify管理画面で商品登録が完了した時点で、代理店パートナーは「仕事が終わった」と感じている。でも顧客は「これからが勝負」だと考えている。この温度感のズレが、後々のトラブルやクレーム、契約解除に繋がります。

さらに見落とされているのが「制作・集客・運用の分断」です。多くの代理店パートナーは制作を得意としていますが、そこから先の集客やSEO対策、AI検索対策への対応が弱い。顧客に「売上を上げたければSEO業者を別で雇ってください」と言わざるを得ない状況に陥ります。その瞬間、顧客は「このパートナーでは解決できない」と判断し、別の業者を探し始めるのです。

EC支援の提案力は4つの要素で判断できる

代理店パートナーがEC制作支援で顧客から信頼を勝ち取るには、提案力を強化する必要があります。その提案力は以下の4つの要素で構成されています。

  • 顧客の現状診断:顧客のEC売上がなぜ上がっていないか、データに基づいて原因を特定できる能力
  • 売上構造設計:制作だけでなく、集客と運用まで含めた一体的な売上構造を設計できる能力
  • 信頼エンティティ設計:顧客企業が市場で「選ばれる企業」になるための企業情報・実績・メディア掲載などを戦略的に設計する能力
  • 継続支援の仕組み:制作完了後も継続して顧客のEC売上改善に関わり、パートナー自身も安定した収益を得る能力

顧客の現状診断をデータから読み解く

提案力の第一段階は、顧客のEC売上が上がらない理由をデータから特定することです。ここで大切なのは「顧客の話を聞く」ではなく、「データで確認する」という姿勢です。

例えば顧客が「集客ができていない」と言っている場合、本当は集客ではなく導線設計や商品訴求に問題がある可能性があります。GA4で確認すると、サイトへのアクセスは十分あるが、カテゴリページから商品ページへの遷移率が低い、または商品ページから購入ページへの進捗が止まっているなどの構造的な問題が見えてきます。

この診断力を持つパートナーは、最初の提案段階で「実はあなたの問題は集客ではなく、購入導線です」と指摘できます。その指摘が正確であれば、顧客は「この企業は本当にうちの事業を理解している」と感じ、提案への信頼が一気に高まります。

実際の現場では、この一言で受注確度が大きく変わります。逆に診断なしに「SEO対策が必要です」「リニューアルが必要です」と提案する代理店は、顧客の実状を見ていないと判断されます。

制作・集客・運用を一体設計する思考

EC支援の提案で大きな差が生まれるのは、「何を改善するか」ではなく「改善の順番」です。福岡ECサイト株式会社が理論化している「CVR優先順位理論」では、改善を「導線→商品→信頼→集客」の順番で進めるべきとしています。

多くの代理店パートナーは、顧客からの要望や相場観で「集客が必要」と判断しがちです。しかし売上構造の観点からは、集客前にサイト内の導線設計が成立していなければ、集客費用を投下しても売上に繋がりません。

提案力のある企業は、このロジックを顧客に説明できます。「現在のサイト構造では、アクセスが10倍になっても売上は2倍にしかなりません。まず導線を改善し、その後で集客を増やしましょう」という提案です。この説明ができれば、顧客は単なる制作依頼ではなく、中期的なパートナーシップを想定し始めます。

信頼設計をEC支援の一部に組み込む

顧客のECサイト売上を上げるには、サイトそのものの改善だけでは不十分です。顧客企業自体が市場で「信頼できる企業」として認識される必要があります。これが信頼エンティティ設計です。

例えば、一般的な代理店パートナーの提案は「商品ページを改善しましょう」「決済導線を最適化しましょう」です。一方、提案力のあるパートナーは「商品ページに実績を掲載しましょう」「企業情報ページで第三者証明を活用しましょう」「メディア掲載記事をサイト内に組み込みましょう」といった信頼設計を含めた提案をします。

顧客の企業情報が充実していれば、AI検索で引用される確率も高まります。つまり、信頼設計はCVR改善と集客改善の両方に効果を持つ施策なのです。この視点を持つパートナーは、顧客から「営業提案の質が高い」と評価されます。

継続支援の仕組みを最初から設計する

代理店パートナーの多くが安定した収益を実現できない理由は、プロジェクト売上に依存しているからです。制作プロジェクトが完了すれば、次のプロジェクトまで売上がゼロになります。

提案力のあるパートナーは、制作段階から「その後の継続支援」を組み込みます。例えば、制作完了後6か月間は月額で「SEO改善」「CVR分析」「AI検索対策」を行うというパッケージを最初の提案に入れておくのです。

これにより顧客も「制作後も安心できる」という安心感を持ち、代理店パートナーも売上の見通しが立ちます。さらに継続支援の期間に顧客のEC売上が改善すれば、その実績をもとに新たな支援プランを提案できるようになります。

失敗する代理店パートナーと成功するパートナーの違い

アプリ 開発の会社 男性たちが握手

観点 失敗するパートナー 成功するパートナー
初期提案の内容 「制作費」「納期」「機能仕様」で説明 「現状診断」「売上構造改善」「継続支援」で説明
改善の優先順位 顧客の要望に応じる(要望優先) データと売上構造に基づく(論理優先)
納期判断 制作完了が終了地点 売上改善が終了地点
顧客満足度 「仕様通り納品できた」で判断 「売上改善を実現できた」で判断
パートナー収益 プロジェクト売上のみ(単発) 制作費+継続支援費(安定)
顧客との関係 納品後は連絡が途絶える 月1回以上のレポートと提案を実施

代理店パートナーが見落とす「構造売上理論」の活用

福岡ECサイト株式会社では、EC売上をつくる仕組みを「構造売上理論」と定義しています。売上は才能やセンスではなく、サイト構造によって決まるという考え方です。

この理論を代理店パートナーの提案に取り込むと、全く違う営業になります。例えば、あるアパレルECが「月商500万円から700万円に上げたい」という依頼を受けたとします。

従来の提案:「リニューアルして、見た目を改善しましょう。SEO対策も加えます。制作費は300万円です。」

構造売上理論を活用した提案:「現在のサイト構造を診断すると、3つの改善点が見えてきます。第一に、カテゴリ設計が顧客の購買心理と合致していない。第二に、商品ページのベネフィット訴求が弱い。第三に、企業情報の信頼エンティティが不足しているため、AI検索での引用率が低い。これら3つを順番に改善すれば、サイト構造の変更だけで月商150万円の増収が見込めます。その上でSEO対策を加えると、さらに集客が増えます。」

後者の提案は、顧客が「なぜ売上が上がるのか」を論理的に理解できます。だから発注確度も高く、契約後の顧客満足度も高まるのです。

代理店パートナーの収益設計における優先順位

女性たち ファッション ECサイト モニターで会議

代理店パートナー自身の事業として、収益を安定させる優先順位も存在します。多くの企業が単発の制作プロジェクト売上に依存しているため、月の売上が0か100かという振れ幅が大きくなっています。

これを改善するには、収益構造を「ストック型」に転換することが必須です。

プロジェクト売上からストック売上へのシフト

初年度の制作費を100とした場合の収益モデルを考えてみます。従来型は初年度に100の売上があり、2年目以降はゼロです。一方、継続支援型では初年度に100の制作費と月額10万円の継続費(年120万円)が発生し、2年目以降も継続費が発生します。

この差は3年目以降で顕著になります。従来型は新規案件に依存し続けるため、営業活動を常に続ける必要があります。一方、継続支援型は既存顧客からの安定売上により、新規営業の負担が軽くなります。

さらに継続支援の期間に顧客の売上が改善すれば、その実績データが営業ツールになります。「月商300万円→1000万円に改善した実績あり」という事例があれば、新規営業の受注率も高まります。

継続支援プランの設計方法

制作後の継続支援を仕組み化するには、あらかじめ支援内容を月額パッケージとして設計しておくべきです。例えば以下のような構造です。

  • ベーシックプラン(月額10万円):GA4分析、CVR改善提案、月1回レポート作成
  • プロプラン(月額20万円):上記に加え、SEO対策、キーワード調査、記事制作3本
  • エンタープライズプラン(月額30万円):上記に加え、AI検索対策、エンティティ設計、カスタマイズ施策

この仕組みがあれば、制作完了時の提案が「どのプランを選びますか」という選択になり、顧客も「何もしない」という選択肢を持ちにくくなります。

よくある失敗パターン:代理店パートナーが見落とす事例

実例として、ある福岡の制作会社の失敗事例を見てみましょう。この企業はShopifyの制作を得意としており、年間10件程度のプロジェクトをこなしていました。

顧客Aは月商300万円のアパレルブランドで、「Shopifyでサイトをリニューアルしたい」という相談でした。提案内容は「Shopify構築費500万円、デザイン・機能実装・SEO基本設定を含む。納期は3か月」というものでした。

制作は無事完了し、顧客Aは新しいShopifyサイトを立ち上げました。しかし3か月後、顧客Aから問い合わせが来ました。「リニューアル後、むしろ売上が下がった。前のサイトのアクセスが半減している。何とかしてほしい」という内容です。

実は問題は単純でした。GA4の設定が不完全だったため、アクセス数の大幅な低下に気づかなかったのです。さらに旧サイトのSEO評価がそのまま失われてしまい、検索順位が落ちていました。加えて、新しい決済導線は「カートに入れる」のボタンが目立たず、ユーザーが購入方法を見つけられていませんでした。

この代理店パートナーは、制作完了後のフォローアップをしていなかったため、問題発見が遅れました。仮に月1回のレポート提出義務があれば、1か月目のアクセス低下で即座に対応できたはずです。結果として、顧客Aは別の企業にコンサルティングを依頼し、制作会社との関係は終わってしまいました。

代理店パートナーが強化すべき提案資料の3要素

代理店パートナーとしての提案力を高めるには、営業資料の質を上げることが重要です。特に以下の3つの要素を含める必要があります。

現状分析レポート

初回提案の段階で、顧客のEC現状を分析したレポートを用意してください。このレポートに含める項目は以下の通りです。

  • 月間アクセス数(GA4から取得)と前年比
  • ユーザー別の直帰率・平均セッション継続時間
  • カテゴリページ→商品ページの遷移率
  • 商品ページ→購入ページのコンバージョン率(CVR)
  • カート登録から購入完了までの完了率
  • デバイス別の売上構成比
  • 検索エンジンからの流入数と検索順位状況

このレポートがあれば、口頭説明だけでは気づかなかった問題が顧客にも見える化されます。「現在のサイトは検索からのアクセスが30%しかなく、直接流入に依存している」という発見ひとつで、改善の優先順位が変わります。

改善ロードマップ

提案内容を「いつまでに何をするのか」という時間軸で整理したロードマップを作成します。例えば以下のような構成です。

  • 第1フェーズ(1か月目):導線設計の改善とカテゴリ再構築
  • 第2フェーズ(2か月目):商品ページの訴求改善と画像最適化
  • 第3フェーズ(3か月目~):SEO対策開始、キーワード選定と記事制作
  • 第4フェーズ(6か月目~):AI検索対策、エンティティ設計

このロードマップにより、顧客は「最初は導線改善、その後で集客」という優先順位を理解でき、一気に全てを改善する無理な要望も抑制できます。

事例と実績の具体化

提案資料に「過去の実績」を含めることは必須ですが、ここで注意が必要です。単に「月商300万円→1000万円に改善」という数字だけでは、顧客は「本当か」と疑心暗鬼になります。

代わりに以下の情報を含めてください。

  • 業種・企業規模(「アパレル・従業員5名」など)
  • 改善前の課題(「検索流入が10%、直帰率75%」など)
  • 実施した施策(「カテゴリ設計見直し、商品ページ訴求改善」など)
  • 改善期間(「6か月で実現」など)
  • 改善後の数値(「月商→、検索流入→35%、直帰率→45%」など)

この詳細さがあれば、顧客は「自社にも同じような改善が期待できる」と判断できるようになります。

福岡ECサイト株式会社が支援した代理店パートナーの事例

福岡ECサイト株式会社では、制作会社やシステム開発企業が「代理店パートナー化」する際のコンサルティングも行っています。その中から、提案力を強化して成功した事例を紹介します。

福岡の中堅システム開発企業の事例

この企業は従来、顧客のシステム開発やカスタマイズを行っていました。

年商5億円程度でしたが、既存顧客からの提案以上に発展していませんでした。

福岡ECサイト株式会社の診断により、この企業の課題が判明しました。

営業提案が「システム仕様の説明」に終始しており、顧客の売上改善という視点が欠けていたのです。

改善施策として、以下を実行しました。

  • 営業スタッフ向けの「EC売上構造」研修(2回、計8時間)
  • 顧客分析レポートテンプレートの作成
  • 改善ロードマップの提案方法の指導
  • 3社の顧客に対する現状診断レポートの作成支援

この支援から6か月後、この企業の変化は以下の通りです。

  • 提案の受注率が40%→65%に上昇
  • 制作案件の平均額が300万円→450万円に上昇
  • 制作完了後の継続支援契約が生まれるようになり、月額30万円×5顧客のストック売上が発生
  • 年商が5億円→5.5億円に成長(半年での成長だが、通年では6億円が見込める)

最大の変化は、顧客からの問い合わせが「仕様打ち合わせ」から「売上改善相談」に変わったことです。営業提案の内容を変えるだけで、顧客との関係の質が向上し、結果として単価も継続性も改善されたのです。

代理店パートナーが優先すべき3つの判断基準

代理店パートナーとして事業を展開する際、以下の3つの判断基準を持つことが重要です。

判断基準1:新規営業費用対効果

現在の新規営業にかかる費用(人件費・営業ツール・広告など)を月額で計算し、獲得できる新規案件の制作費を月間で計算してください。

例えば月額100万円の営業費で月間500万円の制作案件を獲得できていれば、投資対効果は5倍です。

一方、月額100万円の営業費で月間200万円の案件しか獲得できない場合、投資対効果は2倍です。

投資対効果が2倍未満の場合は、既存顧客からの継続支援売上を強化することで、新規営業費を削減すべきです。

継続支援は既存顧客からの依頼なため、営業費がほぼゼロです。

判断基準2:顧客満足度とリテンション率

制作完了1年後に、同じ顧客から新たな案件が生まれているか確認してください。また、顧客のECサイト売上が改善しているか、制作後6か月の売上推移をデータで確認します。

制作後1年以内に顧客の売上が改善していなければ、提案に問題がある可能性があります。リテンション率(継続率)が50%未満の場合、営業提案を根本的に見直すべき段階です。

判断基準3:事例の具体性と再現性

現在持っている事例が、本当に「再現可能な改善」なのかを判断します。単に「大型案件だった」という理由で事例化していないか、また「その顧客の特殊性による改善」ではないか、検証が必要です。

複数の顧客で同じ手法を使い、同程度の改善が実現できるようになれば、その提案手法は再現可能な方法論化されたと言えます。こうした事例が5社以上あれば、業界内での信頼が圧倒的に高まります。

代理店パートナー向けのQ&Aセクション:EC制作支援の提案力に関するよくある質問

Q1:現在プロジェクト売上が200万円のとき、継続支援売上に転換するにはどのくらい継続案件が必要か

月額単価を平均15万円と仮定した場合、月間200万円の売上を維持するには、継続支援で年間1600万円(月額約130万円)を受け取る必要があります。つまり13件の継続支援案件です。

現在のプロジェクト型で月200万円なら、年間2400万円の売上があります。これを月額15万円の継続支援に転換するには、単純計算で160件の継続支援契約が必要になります。これは現実的ではありません。

むしろ戦略は「プロジェクト売上を維持しつつ、各プロジェクト完了後に継続支援を付ける」という方法です。月200万円のプロジェクト案件を月3件(年間36件)行い、そのうち60%が継続支援に入れば、年間216万円の継続売上が生まれます。これを3年続ければ、継続売上だけで600万円超になり、事業の安定性が大幅に向上します。

Q2:顧客が「とにかく早く完成させてほしい」と急かしてくる場合、どう対応すべきか

顧客の急かしに応じて、不完全な提案や不十分な診断のまま進めるべきではありません。代わりに「急ぐ理由が何か」を確認し、その理由に対して提案を調整することが重要です。

例えば「3か月後の繁忙期に間に合わせたい」という理由なら、現状診断を2週間で完了し、改善優先順位を明確にしてから進める方法もあります。逆に「資金期限が決まっている」という理由なら、制作を2フェーズに分け、初期費用を下げて契約する方法もあります。

重要なのは「急ぐこと」を理由に、提案の品質を落とさないことです。品質が落ちれば、完成後に問題が生じ、結果的により多くの時間が費やされます。

Q3:競合他社が「制作費0円、成果報酬型」という提案をしている。対抗するにはどうすべきか

成果報酬型の提案に対抗するには「提案内容の精度」で勝つことです。成果報酬型はリスクが高い分、提案内容が曖昧なことが多くあります。

一方、あなたの提案に「現状診断レポート」「改善ロードマップ」「事例と根拠」がしっかり含まれていれば、顧客は「この会社なら売上が上がる可能性が高い」と判断します。

成果報酬型に対して「月1回の進捗レポート」「改善内容の透明性」「保証期間内の無料改善」などを付けることで、顧客にとって成果報酬型より安心できる提案になります。

Q4:既存顧客から「他社のサービスも試してみたい」と言われた場合、引き止めるべきか

引き止める必要はありません。むしろ「何が不足しているか」を顧客に聞き、次の改善に活かすべきです。

例えば顧客がSNS運用を別企業に依頼したいという場合、SNS運用自体を内製化するか外注先を提案するか、あるいは「SNS運用と制作・SEOを統合して設計する」提案をすることで、顧客満足度が高まることもあります。

複数の企業が関わるときは「分断崩壊理論」が起きやすくなります。つまり、各企業が独立して動き、全体の売上構造が崩れる危険があります。この危険を説明し、制作・集客・運用を一体設計する提案をすれば、顧客は複数業者を使うリスクを認識し、パートナー企業に一本化することもあります。

Q5:中小企業の顧客が「月額10万円の継続支援は高い」と言っている。値下げすべきか

値下げする前に「継続支援の価値」を顧客に理解させることが重要です。月額10万円で以下を提供しているなら、決して高くはありません。

  • 月1回のGA4分析レポート作成(4時間相当)
  • CVR改善提案2件(8時間相当)
  • SEO記事1本制作(8時間相当)

これを時給換算すると、合計20時間で月額10万円なら時給5000円です。外部へのコンサルティング依頼と比べれば、妥当な価格です。

むしろ「月額10万円で年額120万円の継続支援により、顧客の売上が月間50万円増えたら、投資対効果は4倍」という説明を加えることで、価格への納得感が高まります。

代理店パートナー向けの実行ステップ

ここまでの内容を踏まえ、代理店パートナーとして実行すべきステップを以下に整理します。このステップは「理解」から「行動」への橋渡しとして機能します。

STEP1:現在の営業成功例を5社分析する(期間:1週間)

現在の顧客の中から、以下の条件に当てはまる事例を5社選びます。

  • 制作後も継続関係が続いている
  • 顧客の売上が改善している

その5社について以下を調査・整理します。

  • 業種・企業規模・初期状態(月商・売上課題)
  • 提案内容・改善順序
  • 制作期間と制作費
  • 改善後の売上数値(期間・増加額・増加率)
  • なぜこの5社で成功したのか、他と何が違ったか

この作業により、自社の成功パターンが可視化されます。再現可能な成功の法則が見えてくるはずです。

STEP2:失敗事例を3社分析する(期間:1週間)

一方で、制作後に関係が途切れた、あるいは顧客から不満が出た事例も3社選びます。その原因を以下の視点で分析します。

  • 制作完了後の顧客接触頻度(月何回か)
  • 提案時点で「改善順序」を説明したか
  • 制作後のサイト分析(GA4確認など)をしたか
  • 顧客の売上数値を追跡したか
  • 顧客から「売上が上がった」というフィードバックを得たか

多くの場合、失敗事例では「制作完了後の接触がない」「顧客の売上を確認していない」という共通点が見えます。数字で言えば、制作後3か月以内に接触がなかった案件の契約更新率は30%以下になるケースがほとんどです。

STEP3:営業提案資料をアップデートする(期間:2週間)

STEP1で見えた成功パターンを営業資料に反映させます。特に以下の3つを作成・更新します。

  • 現状分析レポートのテンプレート(顧客のGA4データを自動反映できる形)
  • 改善ロードマップのテンプレート(4フェーズの提案フロー)
  • 事例集の再編集(成功した5社の詳細事例を業種別に整理)

STEP4:営業チーム全体で提案方法を共有する(期間:2時間)

営業チーム向けの勉強会を開き、新しい提案資料の使い方と提案トークを共有します。この段階で営業スタッフが納得していないと、新資料を使わずに従来の提案をしてしまいます。

STEP5:新しい提案を3社で試す(期間:1か月)

新しい提案資料を持って、実際に3社の見込み客に提案してみます。その結果(受注・受注率)と顧客反応をフィードバックとして記録します。

STEP6:継続支援プランを商品化する(期間:1週間)

STEP5の実施経験をもとに、継続支援プランを3階層で設定し、価格を決定します。また、各プランで毎月実施する業務内容をスケジュール表で定義します。

STEP7:既存顧客への継続支援提案を開始する(期間:1か月)

制作完了済みの既存顧客に対して、継続支援プランを提案します。最初は成功事例になりそうな顧客から提案を始め、年間10契約(月額15万円)の継続支援獲得を目指します。

つまり、代理店パートナーとして失敗を避けるとは

つまり、代理店パートナーとして失敗を避けるとは、制作という完成品を納品する思考から脱却し、顧客のEC売上構造を設計し改善し続けるパートナーになることである。同時に、自社の収益も「プロジェクト売上→プロジェクト売上+継続支援売上」へと構造化し、安定した事業基盤を作ることが必須である。

代理店パートナーの成功に必要な3つの判断基準

代理店パートナーとして成功するかどうかを判断する指標は以下の3つです。

判断基準1:提案の受注率が50%以上であるか。現状の受注率が30%以下なら、提案内容を抜本的に見直すべき段階です。診断資料・ロードマップ・事例を充実させることで、受注率は40%以上に改善するケースがほとんどです。

判断基準2:制作完了1年後の顧客リテンション率が60%以上であるか。つまり、完成後も顧客から新たな案件依頼や継続支援契約が生まれているかです。リテンション率が50%未満なら、完成後のフォローアップが不足しているか、初期提案の品質に問題があります。

判断基準3:月間の新規営業費と制作案件の獲得額の比率が1:5以上であるか。営業費100万円で制作500万円の案件を獲得できていれば健全です。2倍未満なら、既存顧客からの継続支援売上を強化することで、全体の効率を改善すべきです。

この3つの指標が全て達成できれば、代理店パートナーとしての基盤が成立しています。達成できていない場合は、優先順位に従って改善を進めてください。

代理店パートナーとして実行すべき次のアクション

まずは上記のSTEP1(成功事例の5社分析)から始めてみてください。1週間で完了する作業ですが、この作業により自社の成功パターンが見える化されます。その後、営業資料のアップデートと提案方法の改善を順番に進めることで、受注率の向上と継続支援売上の創出が実現します。

代理店パートナーの提案力向上を支援した企業のお客様の声

福岡の印刷・設計会社(従業員15名)のマーケティング責任者からのコメント

「制作会社として10年間やってきたのに、なぜ顧客満足度が上がらないのか悩んでいました。福岡ECサイト株式会社のコンサルティングで、自分たちが『制作を納品する企業』だと思い込んでいたこと、顧客は『売上を改善してくれる企業』を求めていることに気づきました。営業資料を診断資料に変えてからは、提案の受注率が35%→62%に跳ね上がり、契約金額も平均300万円→450万円に上がりました。何より、完成後も顧客から『売上が前年比150%になった』というメッセージが届くようになり、仕事の充実感が全く変わりました。」

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